ストレスで免疫低下するのはなぜ?免疫力を高める方法はある?

ストレス

ストレスが身体にさまざまな影響を与えることはよく知られています。特に、長期間のストレスを受けると身体に悪影響が生じることがわかっていますが、風邪を引きやすくなるなど、免疫低下することもあります。

今回は、ストレスで免疫低下する理由やチェック方法、免疫力を高めるためにできるセルフケアをご紹介します。ストレスが多いと感じている人は、ぜひチェックしてみてください。

免疫力の低下とストレスはどう関係しているの?

身体に受けるストレスだけではなく、怒りや悲しみ、恐怖などの精神的なストレスを感じたときにも、私たちの身体はストレスに対抗しようと「交感神経」を活性化させます。交感神経とは、自律神経のうち「闘争と逃走の神経」とも呼ばれ、日中の活動時はもちろん、身体をストレスと戦うため、あるいはストレスから逃げるための状態にする神経です。

交感神経が活性化されると、内分泌系器官に働きかけて「コルチコイド」というホルモンが分泌されます。抗ストレスホルモンとして有名な「コルチゾール」もこのコルチコイドの一種です。コルチコイドはステロイドホルモンに分類され、免疫細胞の働きを弱めたり、死滅させたりしてしまいます。そのため、ストレスがかかると免疫系が弱ってしまうことになります。

また、ストレスによって交感神経が活性化されると、通常はしばらくして副交感神経が活性化されて交感神経は弱まり、やがて自律神経のバランスがとれた状態になるのですが、強いストレスや長期間のストレスを受けると、交感神経が活性化され続けてしまいます。これにより、身体のさまざまな器官を調節する自律神経のバランスが崩れ、免疫機能が低下することもりあります。

外部からのストレッサー(ストレスの原因)は、直接免疫系に影響を及ぼし、自律神経や内分泌系の働きを変化させてしまうこともあります。このように、ストレッサーによって我々の身体はストレス反応を起こし、その結果、免疫力は低下してしまい、身体のホメオスタシスはバランスを失ってさまざまな疾患を招いてしまうのです。

ストレスはがんを招くこともあるの?

前述のように、交感神経は自律神経の一種です。自律神経にはもう一種類、リラックスを司る副交感神経という神経系があり、交感神経が活性化している状態では、白血球の一部である好中球・好酸球・好塩基球などの顆粒球が増えます。また、急にストレスがかかった場合にも末梢血液で好中球が増えるとわかっています。

顆粒球は異物を貪食し、自ら発生させる活性酸素によって異物を殺す働きをします。しかし、この活性酸素は増えすぎると細胞を傷つけるなど、人体に有害な影響をもたらすことがわかっています。その一つとして、がんの発生や転移、再発にも活性酸素が大きく関わっていることが知られています。

また、顆粒球が産生する「サイトカイン」という物質は過剰に産生されると組織を障害する、過剰な顆粒球(好中球)はリンパ球の働きを抑えてしまうと言われています。さらに、交感神経から分泌される神経伝達物質「ノルアドレナリン」を直接投与することでも、末梢血液で顆粒球(好中球)が増え、リンパ球の数が減ることが確かめられています。

ストレスが慢性的に続いて交感神経が活性化されっぱなしになると、リンパ球がリンパ節からの脱出を制限したり、樹状細胞が異物を免疫細胞に教える働きやサイトカインを産生する働きを弱め、T細胞という免疫細胞の活性化を阻害してしまったりする、という可能性が指摘されています。

つまり、ストレスが交感神経を活性化させている状態が長引くと、顆粒球によって活性酸素やサイトカインの産生が活発になり、リンパ球の働きが抑制されます。これは、がんが発生しやすい状態と考えられます。さらに免疫力が低下することで、がんの発生や増殖が促進されているような状態になってしまうのです。

実際に、国立がん研究センターが行った研究によれば、ストレスレベルが高いと自覚しているグループは、常に自覚的ストレスレベルが低いグループと比べ、がんを発症するリスクが11%上昇することがわかりました。この差から、統計的にもストレスレベルが高いとがんを発症しやすい、と言えます。

もちろん、この結果全てが交感神経の興奮による活性酸素などの増加や免疫力低下によるものだとは言いきれないのですが、ストレスとがんに関係があることは徐々に明らかになってきていると言えそうです。ストレスが免疫系を含む身体全体に及ぼす影響は私たちが思っている以上に深刻なものですから、健康のためにも真剣にストレスケアに向き合うのが良いでしょう。

免疫力が下がっているかも?チェックしてみよう!

免疫力が低下すると、細菌やウイルスによる感染症はもちろん、生活習慣病やアルツハイマー病など、さまざまな疾患にかかりやすくなってしまいます。とはいえ、免疫力には指標となる数値がありませんので、健康診断などで測定することはできません。そこで、免疫力が低下しているかどうか、簡単なセルフチェックを行いましょう。

  • 風邪をよくひく(年に3回以上ひくなら要注意)
  • 風邪が治りにくい
  • 口内炎ができやすい
  • 肌荒れがひどい
  • 湿疹ができている
  • 傷が治りにくい
  • よく、便秘や下痢になる
  • 冷え性である
  • 睡眠障害がある
  • 気分が落ち込みやすい

風邪をひきやすいのは、外部から侵入するウイルスや細菌に対する最初の防御壁となる鼻やのどの粘液の働きが低下しているからだと考えられます。口内炎や歯周病は、口の中の粘膜が細菌に感染して起こります。この場合は、唾液の分泌量が低下したり、粘液の働きが低下したりしていると考えられます。

肌荒れや湿疹ができるのは皮膚のバリア機能が低下するためであり、便秘や下痢をしやすくなるのは腸内環境の悪化が原因と考えられます。特に、腸は免疫機能に大きく関係していますので、便秘や下痢は免疫力の低下とも密接な関係があると考えられます。そして、睡眠障害や気分の落ち込みは精神的ストレスの典型的な症状です。

さらに、免疫力は生活習慣とも大きな関係があります。特に、毎日の食生活の乱れや精神的ストレスは免疫力低下の主な要因の一つと言えます。以下の項目に当てはまるものが多い人も、免疫力が低下している可能性が高いと考えられるでしょう。

  • 朝食は食べない
  • 栄養バランスをあまり考えていない
  • 食事はファストフードで済ませることが多い
  • ヨーグルト、納豆などの発酵食品が苦手
  • 食事はたいてい一人で食べる
  • 極端な食事制限など、栄養バランスの悪いダイエットをよくする
  • よく暴飲暴食をする
  • 夜型の生活をすることが多い
  • 常に睡眠不足である
  • 運動する習慣がない
  • 1日中、パソコンやスマートフォンの画面を見ている
  • 湯船にはあまりつからない
  • 細かいことが気になる
  • 笑うことがあまりない
  • 悲しいことやイヤなことを引きずりやすい
  • 趣味がない
  • 人とおしゃべりするのが苦手
  • 誰にも言えない秘密がある
  • サプリメントや薬がないと不安になる
  • 喫煙の習慣がある

できるだけ楽しい気分で過ごすと、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。セロトニンはNK細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化するため、免疫力アップに役立ちます。一方、「細かいことが気になる」などの完璧主義者、「趣味がない」「誰にも打ち明けられない秘密がある」などの人はストレスを溜めやすい傾向があるため、免疫力の低下を招きやすいのです。

免疫力を高めるためのセルフケアは?

免疫力を高めるためには、第一にストレス解消を心がけましょう。そのためには、良質な睡眠が最も重要です。心と身体を十分に休ませるためには、1日7〜8時間程度の睡眠が必要です。逆に、睡眠不足や睡眠の質の低下は免疫力を弱め、体調を崩したり風邪を引きやすくしたりしてしまいます。

睡眠の質を高めるためには、ぬるめのお湯にしっかりつかることが重要です。シャワーだけでなく湯船につかることは、ストレス解消にも役立ちますので、ぜひ疲れたときはゆっくり湯船につかりましょう。湯船につかってリラックスすると副交感神経が活性化され、ストレスで昂った交感神経を鎮めて自律神経のバランスを整えられます。

他にも、腸内環境を良くすることや、身体を冷やさないことも免疫力アップに効果的です。腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の菌がいて、善玉菌が多いと免疫力が高まります。善玉菌を増やすには、オクラ・モロヘイヤ・海藻・こんにゃくなどの「水溶性食物繊維」を多く含む食品を摂取すると良いでしょう。便秘の解消にもなり、免疫力が高まります。

また、ヨーグルトに含まれる「ビフィズス菌」は細胞膜に免疫力を高める働きがあり、ビフィズス菌が腸内で作る「酪酸」は大腸がんを抑制するとされています。ビフィズス菌は血圧を抑えたり、コレステロール値を下げたり、ウイルスを排除したりウイルスの増殖を抑える「インターフェロン」の産生を促したりするので、免疫力アップに効果的です。

逆に、脂肪の多い食事は悪玉菌を増やしてしまいますので、できるだけ控えましょう。

免疫力アップには抗酸化作用のある食材も良いって本当?

抗酸化作用のある食材とは、抗酸化作用を持つビタミンや栄養素を含む食品のことで、活性酸素を取り除いて組織が傷つくのを防いでくれます。抗酸化作用を持つのはビタミンC・E、ビタミンB群、β-カロテン、ポリフェノールなどで、野菜や果物に含まれています。以下の3つは、特に免疫力アップにおすすめの食材です。

にんにく
アリインというタンパク質が多く含まれ、アリインは酸素に触れるとアリシンに変化
アリシンは細胞内に浸透しやすく、酸素と結びつきやすいため、細胞膜や遺伝子の代わりに活性酸素と結びつき、体外に排出してくれる
がん予防や免疫強化作用に優れているため、1日1〜2かけ程度の適量摂取がおすすめ
バナナ
白血球の働きを高め、免疫力アップに効果的。栄養価も高く、消化吸収も抜群
便秘を防いでくれるため、腸内環境が整うほか、がん予防に役立つ
かぼちゃ
β-カロテンが豊富で、粘膜などの細胞を強化して免疫力を高める
β-カロテンには抗酸化作用もあり、アンチエイジングやがん予防にも効果が期待できる
ビタミンC・E、葉酸、食物繊維なども含まれているので、ぜひ摂取したい

間違ったダイエットが免疫力を低下させるのはなぜ?

ダイエットとは本来、疾患の治療や健康増進を目的とした食事療法、またはそのための特別食や制限食を言うのですが、一般的には美容や肥満防止のための食事制限や減量法の意味で使われています。そのため、テレビなどでダイエット特集番組などがあるとすぐに飛びついてしまう人も多いのですが、中には間違ったダイエットもあるので注意が必要です。

特に、単一食品だけをずっと食べ続ける「バナナダイエット」「キャベツダイエット」などは避けましょう。「朝だけバナナ」くらいなら問題はないのですが、ずっと同じ食品だけを食べ続けていると、必要な栄養が取れず何らかの疾患を招いてしまいます。

そもそも肥満になってしまう原因の多くは、摂取した分のエネルギーを消費できないからです。つまり、ざっくり言えば運動不足なのです。運動量が少ない人は、その分摂取カロリーを減らせば肥満になりにくいのですが、食べるのが好きな人などはついつい美味しいものを食べすぎて肥満になってしまいます。

もちろん、肥満は高血圧や高脂血症などあらゆる生活習慣病の引き金となってしまい、最終的には生命を脅かすことになりますので、肥満の傾向がある人は適切な方法でのダイエットが重要です。あくまでも栄養バランスはできるだけ保ったまま、運動量を増やして適正な体重を目指しましょう

おわりに:ストレスで免疫低下するのは自律神経の乱れやホルモン分泌

ストレスで免疫低下するのは、コルチコイドホルモンによって免疫細胞が死滅したり、自律神経が乱れたり、活性酸素やサイトカインによって臓器や組織が傷つけられたりするためです。ですから、免疫力アップのためにはまずストレス解消を心がけましょう。

他にも、ビタミンC・Eやβ-カロテンなど抗酸化作用のある食材や、腸内環境を整える食材を摂取したり、身体を冷やさないよう気をつけたりすることも免疫力アップに効果的です。

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