ストレスの解消にはさまざまな方法があり、ゆっくり休息をとったり、美味しいご飯を食べたり、気のおけない友人と話したり、人によって異なります。中でも、趣味や好きなことをじっくり楽しむのは効果的なストレス解消法でしょう。
とはいえ、趣味の中にはストレス解消に向かないものもあります。そこで、今回はストレス解消しやすい趣味、しにくい趣味について詳しく見ていきましょう。
ストレス解消に役立つ趣味にはどんな種類がある?
ストレスを解消するためには、自分の好きな趣味を見つけて余暇の時間を楽しむことが一番だとよく言われます。何を楽しい、心地よいと感じるかには個人差があり、従ってストレス解消のための方法もさまざまですが、大きく分けるとだいたい以下のような6つのタイプに分類できます。
- 休息型
- 休養をとる、リラックスする、眠るなど鎮静化によって心身の疲れを癒すタイプ
- ゆっくりお風呂につかる、好きな音楽を聴く、自然の中でくつろぐなども効果的
- 運動型
- ストレスを受けると身体が緊張するが、戦うか逃げるかなど実際に行動すると緊張が解消される
- ストレス反応によって過剰に分泌された「アドレナリン」などのホルモンを筋肉活動によって消費すればよい
- 特に、全身運動で手軽に行え、長続きするものだとストレス解消に効果的
- 親交型
- ストレスがあっても、相談相手がいる人といない人とでは受けるストレスに程度差があるとされる
- 家族の団欒、友人との食事やスポーツ、誰かとお茶やお酒を楽しむ、など
- 娯楽型
- 快楽を追求することで、ストレスを解消するタイプ
- お酒を飲む、美味しいものを食べる、ゲームを楽しむなど
- 創作型
- 自分の感情をものづくり、作品などの形で昇華する方法
- 絵を描く、音楽を演奏する、庭いじりをする、模型を作るなど
- 転換型
- 不快な気分を、何らかの方法で転換するもの
- 旅行する、部屋の模様替えをする、カラオケで歌う、買い物をするなど
ストレスはすべてがネガティブなものではなく、適度な刺激は交感神経系を活性化してやる気を引き出す働きもあります。しかし、過剰なストレスによって体調が悪くなったり、最初はポジティブなものだったストレスが慢性的に続いてネガティブなストレスに変化したりした場合は、積極的に休養したり余暇の時間を作ったりして解消しなくてはなりません。
具体的に、どんな趣味はストレス解消できるの?
上記のように、ストレスの解消法は人によってさまざまです。そんなストレスの解消法を分類する方法として、「発散系か浄化系か」「動的か静的か」の2つの軸を使う方法もあります。この分類方法の良いところは、例えば普段の仕事がデスクワークなど静的な活動である場合、ストレス発散には逆の動的な活動を行う、というようにバランスをとるような組み合わせを選びやすいところです。仕事もプライベートも精力的に活動しているという人なら、あえて静的なストレス解消法を試すことでより高い効果が得られるかもしれません。
それでは、実際にそれぞれのストレス解消法について見ていきましょう。
ストレス解消法①:動的・発散系
動的かつ発散系のストレス解消法とは、身体を動かしたり騒いだりするタイプのものです。動的かつ発散系の感覚が強い人は、ストレスが溜まりすぎると破壊的な行動に走ってしまうことも少なくありませんので、適度に発散していくことを心がけましょう。
- 打つ・叩く
- バッティングセンター、キャッチボール、ボウリング、ゴルフの打ちっぱなし、サンドバッグを殴る、ドラムを叩くなど
- 打撃を与えるという、比較的わかりやすいストレス発散方法とも言える
- 大声で歌う
- カラオケ、車の中など他人の迷惑にならない場所で大声を出す
- 一人カラオケ専門店などのサービスも出てきたので、誰にも気兼ねせず大声が出せる
- 踊る・ライブ
- クラブ、パーティや、好きなアーティストのライブなど音楽に合わせて声と身体を使って発散する
- スポーツの応援に行って、思いっきり声や身体を動かすのも良い
- 運動する
- 一人で:ランニング、ウォーキング、水泳、サイクリング、スポーツジムなど
- 複数人で:サッカー、野球、テニス、バトミントンなど
- 自然の中で楽しみたい:サーフィン、乗馬、ゴルフなど
- 人とワイワイ交流する
- バーベキュー、飲み会、ホームパーティなど
- ショッピング
- 買い物でストレス発散することもできる。特に女性に多いとされる
ストレス解消法②:静的・発散系
静的に発散するストレス解消法とは、感情を吐き出したり身体的にスッキリしたりするものです。この領域の感覚を好む人は、激しい発散を好まないことからどうしてもストレスを溜めこみやすい傾向にあります。ストレスを発散しようと思ったときは、ぜひ自分が想定している場所よりも一段階上までしっかり発散しておきましょう。
- 語る・愚痴を言う
- 女子会・飲み会などでたくさん喋る、信頼できる人に話を聞いてもらうなど
- 解決策や悪口になりすぎないこと、聞いてくれた人に感謝することも忘れずに
- 泣く
- 泣くことによるストレス解消効果は、科学的にも認められている
- 泣ける映画やドラマなどを見るのもおすすめ
- 書き殴る
- ノートや日記にひたすら自分の感情、思ったことを書き殴るのもストレス解消につながる
- 「エクスプレッシブ・ライティング」とも呼ばれ、続けることで効果を実感できる
- サウナで汗をかく
- 汗をかいてスッキリすると、気分的にもスッキリする効果が得られやすい
- 美容院に行く
- 髪を切ると、サッパリして心理的にもモヤモヤをばっさり捨てやすい
- ロングヘアーからショートヘアに、男性ならスキンヘッドにするなど大胆なイメチェンも心理的な変化を得やすい
ストレス解消法③:動的・浄化系
動的に浄化するストレス解消法では、活動的に何かを行いながらストレスを浄化していきます。日常から離れたり、趣味や何かの活動に没頭したり、何か新しい体験をしたりするなどが当てはまります。
- 旅行
- 日常生活から離れ、刺激を受け、世界を広げるなどストレス解消に最適
- 日帰りでも構わないので、普段は行かない場所に行くと良い
- ただし、人混みや渋滞は逆にストレスを溜めてしまうこともあるので注意が必要
- 散歩
- 太陽を浴びながら軽く身体を動かし、お気に入りの場所を散歩すると気分がリフレッシュできる
- 一人でも構わないし、ペットや友人・家族と一緒でも良い
- 掃除
- 部屋がキレイになると気分も良いし、適度に頭と身体を使うのでリフレッシュになる
- 日々の雑用に追われるようにやる掃除ではなく、鼻歌を歌うくらいに楽しめると良い
- 友人やペットと過ごす
- 親しい友人やペットと穏やかな時間を過ごす
- このとき、ストレスを感じる相手では逆効果になってしまうので注意
- 食べる
- 美味しいものを食べることはもちろん、食べる・噛む行為がストレス解消に
食べることがストレス解消になるのは経験則的によく知られていますが、ストレス解消法を食べることだけにしてしまうと、過食や肥満につながってしまうこともあります。適量であれば食べてストレス発散するのも悪いことではありませんので、ぜひ他のストレス解消法と組み合わせて上手にストレスを浄化しましょう。
ストレス解消法④:静的・浄化系
静的・浄化系のストレス解消法では、ゆったりとリラックスした時間を過ごしてストレスを浄化していきます。ただだらだらと過ごすのではなく、意識的に心身をリラックスさせる時間を持つことが重要です。また、雑念にとらわれないよう、できるだけ頭を空っぽにするよう心がけましょう。
- 自然に触れる
- 公園に行く、キャンプやハイキングをする、海や山に出かける、家庭菜園で土に触れるなど
- より深く自然に触れたいときは、登山やカヌー、ダイビングなどもおすすめ
- 落ち着く空間でゆったり過ごす
- ホテルのラウンジ、お気に入りのカフェ、屋台、漫画喫茶など自分が落ち着ける場所で
- リラックスできる場所や、気分が良くなる場所を見つけ、疲れたら逃げ込む
- お風呂・マッサージ
- 湯船につかる、スパや温泉に行く、マッサージやエステに行くなど、身体も心もリラックスする
- 寝る
- 睡眠不足は大きなストレスの原因に。質と時間の両面から良い睡眠をとるのが大切
- アイマスク、耳栓、枕の高さ、ベッドの硬さ、アロマを炊く、など工夫すると睡眠の質が上がる
- 瞑想
- 瞑想・ヨガ・ストレッチなどで深い呼吸を行い、心身ともにリラックスする
- 何度かやっているうちにコツが掴めてくるので、効果も実感しやすくなる
ストレス発散に向かない趣味は?
上記のようにストレス解消にはさまざまな趣味がありますが、逆に、ストレス解消に向かない趣味もあります。特に、以下のような行動は一般的にストレス解消だと思われがちですが、やめておいた方が良いでしょう。
- 長湯
- 過度な飲酒
- 激しい運動、長続きしない運動
- ギャンブル
長湯はよくリラックス法だと思われがちですが、ただ長く入れば良いというものではありません。ストレス解消が目的の場合は、半身浴で15分くらいにとどめましょう。また、同じように適度が重要なのは運動やお酒です。どちらもやりすぎ、飲み過ぎは身体にストレスがかかってしまうほか、活性酸素を生み出して老化の原因になったり、肝機能に障害を引き起こしたりしてしまいます。
ストレス解消のための運動としては、ウォーキング程度の軽めの有酸素運動が最もおすすめです。最初から30分歩くのがつらいときは、5分や10分から始めても構いませんので、「継続する」ということが重要です。長続きしない運動を行うと「またできなかった」とネガティブな感情から余計にストレスが溜まってしまいます。
他にも、ダンスなどレッスンに通ってみたものの、正しく踊ろうとしすぎて全く楽しめない、集まる人たちの人間関係が新たなストレスになってしまう、といったケースもあります。こうした場合には、気軽に辞めて別のストレス解消法を試してみましょう。真面目な人ほど「一度始めたからには形になるまで続けなくては」と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
しかも、その思いがさらなるストレスになってしまうこともあります。これではストレス解消法として本末転倒ですから、気軽にさまざまなことを試し、自分に合ったストレス解消法を探しましょう。
自分に合う趣味をセルフチェックで探してみよう!
自分が動的タイプなのか静的タイプなのか、発散タイプなのか浄化タイプなのかわからないという場合は、セルフチェックを行いましょう。例えば、以下のような心理テストがあります。質問に対し、それぞれA・B・Cのいずれかで答えて集計しましょう。
- 休暇で旅行に行ったとき、買うのは?
- A:面白グッズをお土産に
- B:Tシャツなど
- C:絵葉書
- 一番よく履くのはどんな靴?
- A:可愛いパンプス
- B:歩きやすいスニーカー
- C:着脱が楽なローファー
- ワードローブにいくらあっても足りないと思うものは?
- A:ハンドバッグ
- B:靴
- C:セーター
- 毎朝の化粧時間を平均すると?
- A:10分以上
- B:10分以下
- C:普段、化粧をしない
- 週末には、家族や友人と何をして遊ぶ?
- A:ジェスチャーゲーム
- B:ミニチュアゴルフ
- C:モノポリー
- あなたの家の壁の色は?
- A:部屋によって違う
- B:ほとんど白
- C:グレーやベージュなどの柔らかい中間色
Aが多い人は、芸術家タイプだと言えます。飽きっぽくさまざまなことに手を出し、ある程度上手くなると他のことに手を出すという傾向があります。このタイプの人はいろいろなことを試すとインスピレーションや新たな自信が得られ、それによって現実の困難や生活に向かうエネルギーを得ているのだと考えられます。
Bが多い人は、エネルギッシュなので趣味も動的なものがおすすめです。ダンス、ハイキング、ヨガ、太極拳など、視線が動き続けるものだとたくさんの刺激を受けられるので、リラックスできると考えられます。
Cが多い人は、頭を使うことが好きなタイプです。つまり、クロスワードパズル、雑学クイズ、チェス、数独など、ほどよく頭脳を刺激するような趣味を選ぶと良いでしょう。
このように、自分がどんな性質を持っているかを知ることは、ストレス解消のための趣味を見つける上でも重要です。Aの多い芸術家タイプの人は、絵を描いたりアクセサリーを作ったり、文章を書いたりするといった趣味も良いでしょう。また、Cが多い人で絵が好きなら、アプリなどにもある「大人の塗り絵」もおすすめです。
また、趣味を新しく始めるのはなんとなくハードルが高いと感じてしまう人は、もう一つ以下のような心理テストをしてみましょう。自分にとってどの程度の変化が必要なのか、その程度をはかることも重要です。
- 朝、目覚ましが鳴ったとき
- A:背を向け、もう少し寝る
- B:すぐに起き、これから何が起こるだろうと想像してみる
- C:布団にもぐりこみ、今日やらなければならないことを考える
- 高校の卒業アルバムを見て、今も変わらないなと思うことは
- A:髪型、化粧、服も同じものがある
- B:自信
- C:笑顔
- 週末の短い移動も含めて、旅行はどれくらいする?
- A:めったにしない
- B:少なくとも、1年に1回以上
- C:1年に数回
- 行きつけのレストランに行ったとき
- A:一番お気に入りの料理を注文する
- B:その日のスペシャルを頼む
- C:3つの好きな料理のうち、どれかを注文する
- 週末は、たいてい何をしている?
- A:終わっていない用事を片付けたり、食料品を買い出したり、掃除をしたり
- B:ゆっくり休む
- C:友人や家族と交流する
- 新しい友人と会って、何かを計画したのはいつが最後?
- A:覚えていないほど前
- B:昨年
- C:半年以内
- 次のうち、一番想像することはどれ?
- A:もっと自分の時間があったら。
- B:違う仕事に就いたら。
- C:宝くじに当たったら。
- テレビで、視聴者がキレイに変身する番組を見た。あなたはどう思う?
- A:あれが私だったらいいのに
- B:これが何の役に立つっていうんだろう
- C:すごい!あの人、キレイになったなあ
Aが多い人は、生活の変化を望んでいながらも、大きな変化には不安を感じてしまうタイプです。このタイプの人は、ごく小さなことから始めると良いでしょう。例えば、近所を軽く散歩したり、久しぶりにゆっくり湯船につかったりするだけでも構いません。手軽に始められる瞑想をしてみても良いでしょう。
Bが多い人は、概ね現在の生活習慣に不満はないものの、変えたいと思っていることがいくつかあるようです。髪型を変えてスッキリしたり、絵や文章を書いたり、掃除をしたりといったように、「具体的な変化」をキーワードにして趣味を探してみましょう。華やかな服や香水を買って気分を変えるのもおすすめです。
Cが多い人は、そもそも変化を好むタイプで、何にでもすぐに飛び込んで行きやすい傾向にあります。このタイプの人は、自分が本当にやりたいことかどうか、楽しめることかどうかを考えて何事にも取り組んでみましょう。新しい友人を作ることで、自分の新しい面を知ったり、どんな行動を起こすかの照準を定めたりするのも良いことです。
自分に合う趣味と一口に言っても、やりたいことや合うことが自分でわかっている人もいれば、なかなかわからない人もいます。自分に合う趣味がわからない、何から手をつけていいのかわからないという人は、まずこういったセルフチェックから始めてみてはいかがでしょうか。
おわりに:ストレス解消に役立つ趣味も人それぞれ。自分に合った趣味を探そう
趣味は人それぞれ千差万別のものですが、ストレス解消に役立つ趣味もまた人それぞれです。例えば、動的・静的、発散・浄化などの軸から、普段どんな仕事やプライベートの活動をしているかと考えあわせてバランスよくストレス解消法を選ぶのも一つの方法です。
一方で、ギャンブルなどストレス解消には向かない趣味もありますので、注意しましょう。どんなことを始めれば良いのかわからない人には、セルフチェックもおすすめです。
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