大人も必要な勉強のストレスの解消法 ― たまってしまわないうちに対処しよう!

ストレス

ストレス社会とも呼ばれる現代社会では、学生といえどもストレスから逃れることはできません。特に、受験勉強や試験前の勉強によって起こるストレスは、個人差もありますが心身にとって大きな負担となってしまいます。

そこで、今回は勉強によるストレスを解消する方法についてご紹介します。受験勉強でも、心身を壊しては元も子もありません。ぜひ、溜めすぎないうちに上手に処理しましょう。

この記事を読んでわかること
  • 勉強のストレスが引き起こす不調
  • ストレスの慢性化の危険性
  • ストレスのセルフチェック
  • 勉強中のストレス解消法

勉強によるストレスで起こる体の変化とは?

勉強でストレスを感じる理由は人によってさまざまですが、大きく分ければ以下の2点に絞られるとされています。

努力と結果に差がある
大学院に入りたい、資格を取りたいなど望んだ勉強であっても、強いストレスを感じることは多々ある
自らの努力と実際の成績の間にギャップがあると、それがストレッサーとなる
勉強へのやる気があればあるほど、模試などで思った結果が出ないと「こんなに努力しているのに」とストレスを感じるということ
勉強をするのが嫌である
テスト勉強などで渋々勉強しているときや、勉強内容が理解できないというとき
「やりたくない」という気持ちを抱えたまま勉強を続けていると、脳に大きなストレスが生じ、パフォーマンスも低下してしまう
脳のパフォーマンスは感情によって左右されるため、「嫌いな勉強」と感じるとストレスホルモンが分泌され、記憶を司る海馬や前頭前野が萎縮してしまう

努力してもなかなか結果が出ないストレスは、誰しもが感じたことがあるでしょう。また、勉強が嫌いな人であれば、試験が近づいてくるだけで憂鬱になってしまうかもしれません。しかし、「嫌だ」と思いながら勉強をしていると、どうしても脳はストレスを感じ続け、記憶力も低下してしまいます。

さらには、勉強によって溜まったストレスが心身にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。例えば、以下のような症状です。

  • 夜にちゃんと眠れない、朝起きても疲れが残っている
  • 勉強をやらなければと思うのに、全然集中できない
  • 食欲が湧かない
  • 食事を食べすぎてしまう、または間食しすぎてしまう
  • やりたいことがわからなくなり、意欲がどんどん減っていく

こうした症状が出てくると、不快感や疲労感が強くなり、ますます勉強に集中しづらくなってしまいます。そもそもストレスでこうした症状が出てくるのは、ストレスによって「交感神経」という神経が入りっぱなしになってしまうためです。交感神経は身体のさまざまな機能を調節している「自律神経」のうち、日中に活動するための神経です。

自律神経には交感神経の他にリラックスを司る「副交感神経」という神経があり、この2つの神経がバランスを保つことで人間は活動と休息を繰り返しながら健康的な生活を送れるのです。しかし、ストレスを溜め込んでいると交感神経ばかりが活性化され、特に何もしていなくてもイライラや不安、緊張感を感じたままになってしまいます。

こうしたイライラや不安は勉強をして解消されるならまだしも、勉強によってストレスが溜まってしまうなら、勉強することでさらに交感神経が活発になってしまい、イライラや不安が増幅され、自分で自分の感情をコントロールしにくくなってしまい、余計にストレスが溜まる、という悪循環にもなりかねません。

また、交感神経が働いたままでは筋肉や血管が収縮した状態が続くため、血流が悪くなって臓器の働きが衰えたり、溜まった老廃物をうまく排出できなかったりして、疲労が溜まりやすくなります。このように、ストレスが溜まると心身に悪影響がありますので、上手にストレスを解消し、交感神経を休ませてやらなくてはなりません

勉強で抱えたストレスが続くとどんな危険がある?

勉強でストレスを抱えたままの状態が続いてしまうと、腹痛や耳鳴り、不眠などの症状が出てくる場合もあります。それでもストレスを放置したままさらに勉強を続けていると、最悪の場合、「燃え尽き症候群(バーンアウト症候群、学習性無力感)」や「受験うつ病」などを発症してしまうこともあります。

燃え尽き症候群とは、名前の通り「頑張ったけれど成果に結びつかず無気力になってしまう」というものです。勉強の過程で人はさまざまな試行錯誤を繰り返し、それが成果に結びついたり、幼少期なら周囲の大人に褒められたりすると強化され、より良い行動を選び取るというようなトライ&エラーを繰り返していきます。

しかし、試行錯誤をいくら繰り返しても全く成果が得られないと、試行錯誤すること自体をやめてしまいます。つまり、「努力しても実らない」という結果を脳が学習してしまい、努力するためのエネルギーがなくなってしまうのです。まるで燃え尽きたようにフッと努力をやめてしまうことから「燃え尽き症候群」と呼ばれています。

一生懸命勉強をしているのに模試の結果が悪い、問題集に取り組んでいても全然解けない、といった状態を繰り返していると、このように燃え尽きた状態に陥ってしまうことがあります。勉強を真面目に頑張っている人ほど、結果が出なかったときに強いストレスを感じてしまうため、学習性無力感を感じやすいとされています。

もう一つの深刻な疾患と言えば、うつ病です。ストレスからうつ病を発症することがある事実は今では広く知られていますが、勉強によるストレスもやはり、抑うつ状態からうつ病へと進行することがあります。受験期のうつ病としては、大学受験の勉強によるストレスからくるものがよく知られていますが、高校入試や中学入試が原因となることも少なくありません。

受験に失敗して精神的なダメージを受けてしまったり、模試などで思うように成績が伸びない焦りや不安がつのったりしてうつ病を発症してしまうというものです。「小学生や中学生はうつ病にならない」というイメージを持っている保護者も多いのですが、10歳を超えるとうつ病の発症は急激に増えてくるというデータもあります。小学生が中学受験のストレスからうつ病を発症することは、決して珍しい話ではないのです。

受験が主な原因となって引き起こされるうつ病には、以下の3つのタイプがあります。

プレッシャー型受験うつ
家族や先生など、身近な人からの大きな期待がストレッサーとなってしまうタイプ
思春期のうつは、悲しみよりも不機嫌や敵意、欲求不満、怒りの爆発などの形で現れる
家出をほのめかすこともあるが、これは「今の状況から離れたい」と助けを求めるもの
モチベーション喪失型受験うつ
勉強する気も、合格する自信もなくしてうつ病を発症してしまうタイプ
受験勉強が思い通りに進まないことなどが原因とされている
「自分には価値がない」という思いが強くなり、自分への批判や拒絶、失敗に過敏になるなどの症状が見られる
成績が下がったり、勉強ができなくなったりして、学校を休みがちになり、さらに落ち込んでいってしまうことも
比較・競争型受験うつ
他の同級生や受験生と自分を比較してしまい、劣等感を持つことで発症するタイプ
思春期の場合、何人かの友人と交流しながら受験勉強をすることはあるが、抑うつ症状によるさまざまな問題から逃げるためにネット依存症を発症することも
依存症から孤立し、うつ状態を悪化させてしまう場合もあるため注意が必要

ストレスがたまっているサインとは?

ストレスが過剰に溜まってくると、以下のような心身のサインが現れます。

身体に現れるサイン
頭痛が治らない
食欲が湧かない、または逆に食べすぎてしまう
お腹が痛くなる
寝ても寝ても疲れがとれない
眠れなかったり、目覚ましをかけていない早すぎる時間に起きてしまったりする
心に現れるサイン
勉強に集中することができなくなった
受験や勉強に対する意欲が下がってしまった
イライラしたり、悲しみや絶望を感じたりしやすくなった
スマホに依存するようになった
死にたい、消えたいといった発言が増えた

いずれの場合も、1日や2日だけ症状が現れ、その後は普段どおり勉強ができているというならそこまで神経質になる必要はありません。しかし、この状態が1週間以上続いているなら注意する必要があります。そして、2週間以上症状が続いているなら、うつ病の可能性が高いと考えなくてはなりません

ストレス症状としてだけではなく、長く続けば続くほど受験に対しても悪影響を及ぼすことになるでしょう。さらにストレスを溜め込んで深刻な疾患に進行してしまう前に、ストレスを上手に発散したり、専門医に相談したりしてみましょう。

勉強のストレスはどうやって対策すればいい?

ストレスが溜まってくると、まず生活リズムが崩れてくるという特徴があります。ですから、生活リズムの変化に心当たりがあるなら、まずは規則正しい生活を送ることを心がけましょう。どうしてもワークを終わらせないと気になって眠れない、宿題が終わらないと夜ふかしをしてしまうこともあるでしょうが、先生に相談したり時間の使い方を見直したりして、生活リズムを整えることを最優先にしましょう。

具体的には、以下のようなポイントを意識します。

  • 朝すっきり起きられるよう、十分な睡眠時間をとる(目安は7〜9時間)
  • 夜ふかしせず、10〜11時ごろには就寝する
  • 寝る直前は、脳を刺激してしまう携帯、スマホ、パソコン、テレビなどの画面を見ない
  • 朝起きたらカーテンを開けたり、外を散歩したりする(※徒歩通学ならそれでも可)
  • 栄養バランスのとれた三食の食事をしっかり摂取する

これらは基本的な生活習慣ですが、受験勉強などのイレギュラーな事態に陥るとついつい忘れてしまいがちなことです。毎日この基本的な生活リズムを守るだけでも、ストレスが溜まりにくくなるでしょう。また、ストレスでこりかたまった筋肉をほぐすためには、適度な運動をしたりお風呂につかったりすることも効果的です。

適度な運動
散歩、ウォーキング、サイクリング、ストレッチなど
受験勉強は椅子に座り続けるため、血流が悪くなりやすい
激しい運動で疲れすぎてしまわないよう、あくまでも血流を良くするための軽めの運動であることを忘れずに
お風呂につかる
39〜40度くらいのお湯に15分間ゆっくりつかると、身体が温まりほぐれていく
ストレスによって収縮した血管や筋肉をほぐし、頭痛や腰痛などの症状を改善できる
お風呂の開放感でストレスが軽減され、体調が良くなる効果も期待できる

他にも、勉強によるストレスを解消する方法として、瞑想や会話、涙を流す、短時間の読書をするなどが挙げられます。順に見ていきましょう。

勉強のストレスを解消する方法①:瞑想

「瞑想(マインドフルネス)」は、ビジネスパーソンにも推奨される非常に有効なストレス解消法としてよく知られています。具体的には、以下のような手順で行いましょう。

  1. 床や椅子に座って背筋を伸ばし、楽に呼吸を行う
  2. タイマーを好きな時間(例:10分)にセットする
  3. タイマーをスタートしたら、目を閉じてリラックスし、呼吸にだけ意識を向ける
  4. 何かを考えたり、何かをしたい衝動が浮かんだりしたら、すかさず呼吸に意識を戻す

たったこれだけですが、ストレスが軽減されるだけでなく、集中力や情報処理能力も高まるとされています。カラオケなどではカロリーを消費するため、疲労感やストレスが余計に溜まってしまう場合もあるそうですが、10分間の瞑想ならそのようなこともありません。衝動を抑えて自分の心を客観的に観察できるようになるため、生産的な思考をしやすくなるのだそうです。

10分間というと長いように感じますが、勉強に集中できないままだらだらと過ごしていると30分や1時間はすぐに経ってしまいます。それを思えば、10分間の瞑想で心をすっきりさせ、パフォーマンスを高めて再び勉強に臨むのは非常に理にかなっていると言えます。遊んでいるわけではないので、「勉強しなきゃいけなかったのに」などと、罪悪感を感じることもありません。

勉強のストレスを解消する方法②:会話

勉強から生じるストレスは、他人に相談しても解決できるものではないと一人で溜め込んでしまうことも多いのですが、「辛い」と人に話し、共感してもらうだけでもストレスは軽減されます。もちろん、相談する相手は選ぶ必要がありますが、仲の良い友人や家族になら、弱音や愚痴を話せるのではないでしょうか。

また、SNSで似たような境遇の人とつながり、励まし合うことも効果的です。「勉強が進まなくて辛い」「なかなか結果に結びつかなくて苦しい」といった気持ちを吐露し、共感してもらったり、他人の同じような投稿を見て「一人じゃないんだ」と思ったりすることで、ストレスを減らすことができるのです。

そもそも、自分の辛さや苦しみを言葉にするだけでもストレスを減らす効果はあることが、実験からも証明されています。注射を打たれるときに「痛い」と言葉を発したグループと、無言だったグループで生じた痛みを比較したところ、言葉を発したグループでは、言葉を発しなかったグループの約5分の1に痛みが軽減されていたという実験もあります。

最近では、勉強専用のSNSやアプリなども多く開発されています。ぜひ、こうしたサービスを活用し、自分の気持ちを溜め込みすぎないよううまく吐き出していきましょう。

勉強のストレスを解消する方法③:涙を流す

もやもや、イライラした気持ちを発散するためには、涙を流すのも効果的です。涙を流すことで、緊張やストレスに関係する交感神経から、リラックスした状態の副交感神経に脳のスイッチが切り替わります。つまり、たくさん涙を流すほど身体はリラックスし、ストレスから解き放たれ、心の混乱や怒り、敵意なども改善していくことが研究でもわかっているのです。

ただし、このとき注意が必要なのは、玉ねぎを切ったときに流れる涙のように、単なる外的な刺激によって生じた涙ではストレス解消効果はないということです。あくまでも、心が揺さぶられて流れる「情動の涙」だけがストレス解消に効果があります。試合で負けたときや大切な人が亡くなったとき、悔し涙や悲しみの涙を流すと、それだけで気持ちが少し楽になるのは、こうした理由によるものです。

とはいえ、これらの涙は流そうと思って流せるものではありません。そこでおすすめなのが「感動の涙」です。映画や小説など、自分とは直接関係がなくてもストーリーによって心を動かされれ、涙を流すことはマイナスの体験を伴わない積極的なストレス解消方法です。たまには勉強を忘れ、感動する映画やテレビドラマ、漫画、小説などに触れてみましょう。

勉強のストレスを解消する方法④:短時間の読書をする

普段、本を読む習慣がないという人でも、勉強のストレスを解消するために読書をするという方法があります。イギリスでは、薬の代わりに本を処方する「ビブリオセラピー」という方法があるほど、読書にはストレス解消効果があることがわかっています。イギリスのサセックス大学の研究によれば、6分間の読書で現代人のストレスの68%を解消できるとのことです。

また、読書によるストレス解消効果はコーヒーブレイクや散歩、音楽鑑賞、テレビゲームといった他の娯楽よりも効果が高かったともわかっています。これは、読書によって登場人物の感情に感情移入し、自分の鬱積していた感情が代わりに放出される「カタルシス」という効果によるものだと考えられています。

つまり、フィクションのストーリーを通じて実際に出来事を体験したかのように感情が動くことで、心が浄化されたり心地よさを感じたりできる、登場人物たちと一緒に笑ったり泣いたりすることで、ストレスも解消されるというわけです。ですから、このときに読む本は難しい実用書などではなく、さらりと読みやすく感情移入しやすいものを選びましょう。

勉強のストレスを解消する方法⑤:とにかく好きなことをする

時間を決めて、とにかく好きなことに没頭してしまうという方法もあります。楽器を弾く、絵を描く、テレビゲームをするなど、受験勉強のために我慢している趣味があるなら、ストレス解消のために多少の時間は思いっきり楽しむのも良いでしょう。とはいえ、もちろん勉強に支障が出るほどの長時間行うのは良くありません。適度な時間だけ楽しむようにしましょう。

受験うつ、両親や保護者ができることはある?

子どもが受験うつかもしれないと思ったとき、両親や保護者はもどかしいと感じてしまったり、責任を感じてしまったりすることもあるでしょう。しかし、そんなときには以下のような対策で、そっと子どもをサポートしてあげるのがおすすめです。

十分に休養をとらせる
脳がパンク寸前になっているため、のんびりリラックスさせる時間が重要
生活リズムを改善する
生活リズムの乱れは抑うつ状態を悪化させるため、睡眠時間や起床時間、食事や入浴のリズムを崩さないよう気をつける
栄養バランスのとれた食生活を
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を多く摂取し、脳のバランスを整えられるようなメニューを
チーズや牛乳など乳製品、大豆製品、カツオやマグロなど魚類、ナッツ類、鉄分の多いレバーやほうれん草、ビタミンの多いバナナなどがおすすめ

また、弱音や不満を抱え込んでいるようなら、話を聞いてストレス解消させてあげたり、信頼のおける人に聞いてもらうようアドバイスしたりするのも良いでしょう。何よりも大切なのは、過剰に期待でプレッシャーをかけないことです。子どもは親が思っている以上に親の気持ちを敏感に読み取って、期待に応えようと必死で頑張ってしまうのです。それが思うようにいかないと大きなストレスになってしまいますので、できるだけ温かい目で見守ってあげましょう。

おわりに:勉強のストレスは、溜め込みすぎる前に解消しよう

勉強でストレスを感じる理由はさまざまですが、思うような成果が出ないときや、もともと嫌な勉強をするときにストレスを感じやすいです。こうしたストレスを放置したまま受験勉強などを続けていると、やがてうつ病などの深刻な疾患を引き起こす場合もあります。

そこで、勉強のストレスは溜め込みすぎないうちに発散しましょう。生活リズムを整えたり、運動したり、感動する映画を見たり、自分に合ったストレス解消を行いましょう。

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