ストレスでじんましんが出るメカニズムと対処法とは?

ストレス

心身にストレスがかかると、精神的にも身体的にもさまざまな影響が現れることは良く知られています。精神疾患はもちろん、胃痛や胸痛などを引き起こすこともあり、ストレスのかかりすぎは心身に良くないのです。

そんな中でも、今回はストレスでじんましんが出てしまうケースについて解説します。じんましんとはそもそもなぜできるのか、ストレスで出た際の対処法なども見ていきましょう。

じんましんは何が原因なの?症状の特徴は?

じんましんは漢字で「蕁麻疹」と表され、皮膚の一部が突然赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなく消えてしまう、という疾患です。「いらくさ(蕁麻/じんま)」という植物の葉に触れるとこうした皮膚症状が起こることから、蕁麻疹という名前がつきました。じんましんの多くは痒みを伴いますが、チクチクとした痒みに似た感覚や焼けるような感覚を伴うこともあります。

一つひとつの皮疹(ブツブツや赤み)はたいてい数十分から数時間以内に消えますが、中には半日から1日くらい生じ続けるものもあります。症状が激しい場合は次々と新しい皮疹が現れ、ずっと皮疹が現れ続けているように見えることもあります。もし、一度出現した皮疹が何日もそこに残ったり、後に茶色くなったり表面がガサガサ、ポロポロしてくるようならじんましんとは別の疾患だと考えられます。

膨疹の大きさは1〜2mmくらいのものから手足全体くらいになるものまでさまざまで、さらにはそれぞれの膨疹が融合して体表のほとんどを覆ってしまうケースもあります。膨疹は形もさまざまで、円形・楕円形・線状・花弁状・地図状などといった表現や分類がされますが、形によって症状が変わったり回復までの長さが変わったりするわけではありません。

じんましんは、皮膚の中の小さな血管が一時的に膨らみ、血液の中の「血漿(けっしょう)」と呼ばれる液体成分が周囲に滲み出た状態です。血漿とは、血液から赤血球や白血球などの細胞を除いた液体のことで、血管が膨らむため皮膚の表面が赤く見え、液体が滲み出るために皮膚の一部が盛り上がります。

皮膚の血管の周囲には、「マスト細胞」と呼ばれる細胞が散らばっています。マスト細胞にはさまざまな顆粒がたっぷり詰まっていますが、何らかの理由で顆粒が放出されると、血管がその成分に反応してじんましんを引き起こすのです。顆粒の中には「ヒスタミン」という物質が含まれ、血管を拡張したり血漿を漏れやすくしたり、痒み神経を刺激したりします。

じんましんはアレルギーが原因じゃないの?

マスト細胞が刺激され、じんましんが引き起こされる原因としては、アレルギー性のものと非アレルギー性のものが考えられます。最もよく知られているアレルギー反応は「Ⅰ型(即時型)アレルギー」と呼ばれるものです。マスト細胞は免疫細胞の一種であり、このⅠ型アレルギー反応はいわゆる花粉症などと同じアレルギー反応です。

マスト細胞の表面には「IgE」というタンパク質が結合していて、さらに「IgE分子」という分子によってさまざまな外来物質(抗原、アレルゲンなどと呼ばれるアレルギーの原因物質)と結合するとマスト細胞が活性化されます。すると、細胞の中に含まれている化学物質が放出され、じんましんが生じるのです。

IgEがどの抗原(アレルゲン)と結合するかはIgEごとに決まっていて、例えばエビアレルギーの人ならエビと結合するIgEを持ち、そばアレルギーの人はそばと結合するIgEを持っているというように、アレルギー反応を引き起こすかどうかは抗原と結合するIgEを持っているかどうかによって決まります。

非アレルギー性のじんましんでは、マスト細胞がアレルギー反応とは異なる仕組みで活性化されて起こります。例えば、ある種の抗生物質や痛み止めなどの薬剤は、IgEを介することなくマスト細胞を活性化させられることがわかっています。

原因がはっきりしないじんましんもある?

じんましんは、前述のように特定の食品や、寒冷刺激・機械的刺激、薬剤性のようなある特定の原因があったときにだけ現れるタイプのものもありますが、多くのじんましんは何日にもわたって症状が出現し、しかも直接思い当たる理由なく現れます。ただし、思い当たる理由がないと思っていても、背後には感染症や疲労などの原因がある場合もあります。

最初の症状が出始めてから1ヶ月以内に症状が落ち着くものを急性じんましん、それ以上続くものを慢性じんましんと呼びます。慢性じんましんの場合、ほとんどの場合は原因を明らかにすることはできません。しかし、最近の研究では、自分自身の血液の中にマスト細胞を活性化するタンパク質(自己抗体)が存在する、自己免疫疾患のケースもあるとわかってきています。

じんましんの多くは夕方から夜にかけて現れ、翌朝から翌日の午前中ごろには消失し、また夕方から出始めるという経過を辿ります。皮膚症状の他にも全身倦怠感、関節痛、発熱などの症状がある場合は、内臓の病気かもしれませんのでできるだけ早く詳しい検査を行わなくてはなりません。

とはいえ、自覚できる症状が皮膚に限られている場合は、数ヶ月〜数年間症状が続いた後、ほとんどは症状がおさまっていきます。

じんましんがストレスで出るのはなぜ?

心身のストレスは、一定の限度を超えるとさまざまな疾患の原因となったり、症状を悪化させたりすることがあります。じんましんの場合もそれは例外でなく、ストレスによってじんましんが悪化する例はよく見られます。食物や物理的な刺激など、他に明らかな原因、誘因があるという場合はストレスの影響はあまり見られないのですが、慢性じんましんの場合は心身のストレスで症状が悪化する場合が多いようです。

心理学的な調査によると、慢性じんましんを発症している人は自覚していないストレス状態にあることが多かったり、ストレスに対して自分の中で抱え込んでしまいがちだったりするとも報告されています。実際に、職場や家庭の環境が変化したことを境にじんましんが現れるようになったり、逆にそれまで毎日のように現れていたじんましんが出なくなったりすることもあります。

毎日のようにじんましんが現れるようになったり、それまでおさまっていたじんましんが再び悪くなったりした場合、そして皮膚以外には身体的な異常が見られない場合には、自分では気づいていない過度のストレスに対する身体からのSOSかもしれません。ストレスの受け止め方や解消方法を見直したり、仕事の内容を振り返ったりする良い機会と捉えましょう。

他にも、ヒステリーやてんかん、自律神経失調症などの精神疾患がじんましんを引き起こす場合、心因性じんましんと呼ばれます。最近では、心因性じんましんの多くはアセチルコリンという神経伝達物質が関わっていることがわかってきました。また、過労や睡眠不足、精神的緊張などの身体的ストレスもじんましんを誘因するケースがあります。

ストレスでじんましんが出たときの対処法は?

ストレスでじんましんが現れやすくなる場合、ストレスの大きさによって原因の刺激に反応するかしないかが変わってくるため、直接的な原因に気づきにくくなりがちです。そこで、じんましんが起こったとき、毎回「直前にしていたこと」を書き出すなどして、共通点を探すようにしましょう。

じんましんも、アレルギー反応や刺激によって起こるものなら、原因となる食物や薬剤を避けていれば基本的に症状が出ることはありません。アレルギーを引き起こす物質はさまざまですが、中でもアレルギー物質としてよく知られる「そば・ピーナッツ・ラテックス(ゴム)」が原因の場合は、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状が出るケースもあり、最悪の場合は生命の危険もあります。

ですから、安易に「体質改善をすればアレルギーは治る」と考えるのは非常に危険です。厳重にその物質を避けるようにしましょう。また、普段から充分な睡眠やバランスのとれた食事、過労、人間関係のストレスなどを解消するよう心がけ、なるべくじんましんが発生しにくい環境を整えることも重要です。

じんましんの直接的な原因が分かれば、心身が疲れているときにはその刺激を避けるなど、ストレス反応によるじんましんの発生リスクを下げられます。もし、原因がわからなかったり、原因を避けるのが難しかったり、頑張って避けていてもじんましんの薬をやめるとまたぶり返してしまう場合は、ストレスの解消を心がけるようにしましょう。

いずれにしても、一度じんましんが起きてしまうと、しばらくじんましんが起きやすい状態が続いてしまいます。慢性のじんましんで悩んでいる方は皮膚科医の診察を受け、薬と生活習慣の改善からじんましんのコントロールを目指しましょう。ストレスを自力で解消しきれないと感じているなら、心療内科などで相談するのがおすすめです。

また、ストレス性かストレス性でないかに関わらず、じんましんが現れたときは以下のような対処を行うと良いでしょう。

  • 強い痒みがあるときは入浴を避け、患部を冷やす(※寒冷刺激によるじんましんのときを除く)
  • 衣類などによる摩擦や圧迫の刺激を与えないよう注意し、ゆったりと安静に過ごす
  • 小さい子どもの場合は、アレルギーを起こす可能性がある食べ物に保護者の慎重な配慮が必要
  • 子どもはじんましんの痒みを我慢しきれないため、かき壊しを防ぐため早めの配慮を
  • じんましんだけでなく、まぶたや唇の腫れ、呼吸困難などを伴う場合は危険な状態の可能性があるため、すぐに医療機関を受診する

じんましんの治療の中心は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服ですが、腫れや痒みが強くて我慢できないほどである場合は、併せて充分な強さのステロイド外用薬を使うのが良いでしょう。痒みを早めに抑えることで心理的なストレスも軽くなるため、かき壊しを防ぐのに役立ちます。

もし、かき壊してしまった場合は、抗生物質が配合されたステロイド外用薬を使い、炎症と殺菌の増殖の両方を抑えましょう。ただし、じんましんが広範囲にわたる場合は市販薬だけで解決しようとせず、医師の診察を受けてください。

ストレスを溜めやすい考え方を変えるにはどうしたらいい?

ストレスが関係するじんましんには、心理療法も効果的です。「右手が温かい」などと自己暗示をかけてリラックスする「自律訓練法」などが代表的で、ストレスを溜めやすい考え方やライフスタイルを改善していくと良いでしょう。

その際、皮膚科の治療で使う抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬、向精神薬、漢方薬などの薬物療法を組み合わせて治療を進めていくこともあります。アレルギー反応が出る前にヒスタミンの働きを抑える「抗アレルギー薬」を点滴しておくと、症状は治まります。

じんましんの患者さんは、なぜ発症してしまうのか、いつ発症してしまうのかと恐れるあまり、かえって強いストレスを溜め込んで症状が悪くなってしまう人がいます。ですから、まずは薬で症状を抑えて心理療法を進め、様子を見ながら徐々に薬の量を減らしていくのが良いでしょう。

ストレス解消を心がけていても、環境を整えてもどうしてもじんましんを繰り返して困ってしまっている場合は、皮膚科を受診してみましょう。それでも良くならない場合は、心療内科の専門医や心理療法に長けた皮膚科医に相談してみるのがおすすめです。じんましんは数時間で治るからと放置してしまう人もいるのですが、それがストレスになってしまうようなら、思いきって治療してみてはいかがでしょうか。

おわりに:ストレスでじんましんが出る場合、ストレス解消や薬物療法を併用して

じんましんにはアレルギー反応とそうでないものがありますが、さらにストレスなどの要因で発症する場合や、ストレスや疲労によってじんましんが起こりやすくなる場合があります。直接的な原因を見つけて避けることや、ストレス発散が重要です。

また、じんましんがいつ起こるのかわからなくて余計にストレスになるときは、まず薬物療法を行いながらストレスや疲労の回復、心理療法などを組み合わせると良いでしょう。

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