クラシックでリラックス、集中できる理由とは?どんな曲がおすすめ?

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クラシック音楽とは、一般的に西洋の芸術音楽のことで、だいたい1550年ごろ〜1900年ごろに作曲されたものを指します。いわゆる学校の音楽室にある曲は、多くがクラシック音楽でしょう。

近年、クラシック音楽は聴いて楽しむだけでなく、リラックスや集中にも大きな効果をもたらすことがわかってきました。そこで、今回はクラシック音楽の持つ力やおすすめのクラシック音楽などをご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • クラッシック音楽の効果と作用
  • クラッシックがリラックスや癒しに効くメカニズム
  • オフィスでのクラッシックの役立て方
  • おすすめのクラッシック

クラシックを聞くと眠くなるのはなぜ?

クラシックのCDやレコードを聞いたり、コンサートに行ったりして眠くなってしまったことはありませんか。眠ってしまうと退屈だったのではないかと思ってしまいがちですが、クラシック音楽で眠くなってしまうのには科学的に解明された理由があります。それは「α波」という脳波の影響によるものと、「1/fゆらぎ」という音の波によるものです。

α波で眠くなってしまうのはなぜ?

そもそも、脳波には全部で5つの種類があります。

α波
リラックス状態のときに発生する
δ波
深い睡眠中に発生する
γ波
興奮状態で発生する
β波
日常生活で発生する
θ波
うとうとしたときに発生する

このように、脳波はそれぞれ活動やリラックスと深い関係があります。このうち、α波はリラックスした精神状態になる脳波、またはリラックス中に発生する脳波とされています。α波が発生していると、脳内でβ-エンドルフィンという神経伝達物質が分泌され、ストレスを減少させたり、脳を活性化させたり、幸福感を感じさせたりします。このような効能から、β-エンドルフィンは脳内麻薬と呼ばれることもあります。

長時間走り続けているうち、身体の苦しさが消えて楽しさでいっぱいになる現象を「ランナーズ・ハイ」と呼びますが、これもやはりβ-エンドルフィンによるものとされています。このようにストレスが減少してリラックスモードになった結果、睡眠を誘発しやすくなるのです。特に、クラシック音楽はこのα波を発生させやすいとされていますので、クラシックを聞くと眠くなることが多いというわけです。

とはいえ、ロックやメタルを聴いてリラックス状態になり、α波を発生させることができるという人もいるので、必ずしもクラシック音楽でなくてはα波が出ないというわけではありません。しかし、音楽が人をリラックスさせられる、ということは確かです。このような音楽のヒーリング効果(癒し効果)で心身の疲れを癒し、心と身体のバランスをとるケアが「音楽療法」として介護や精神療法などの現場で取り入れられています。

1/fゆらぎとは?1/fゆらぎで眠くなるの?

1/fゆらぎ(f分の1ゆらぎ)とは、自然界に多く存在する「一見、規則的に見える繰り返しのリズムの中に、不規則なゆらぎが含まれるもの」を指します。例えば、ろうそくなどの揺れる炎、そよ風、小川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声などに1/fゆらぎが含まれています。人間の活動のリズムも1/fゆらぎが関わっていて、心臓の拍動は1/fゆらぎのリズムになっています。

1/fゆらぎは、電気を通す物体に電流を流したとき、その通りやすさが一定ではなく不安定にゆらぐことから発見され、「ゆらぎ」の波の強さがそのときの周波数に反比例していたことから、1/fゆらぎと名づけられました。もともと自然の中で生活し、常に心拍で1/fゆらぎを感じている人間は、この1/fゆらぎと同じ特徴を持つ音楽を「心地よい」と感じる性質があるのです。

1/fゆらぎはリラックスと密接な関係があるとされ、不眠症の人が1/fゆらぎを持つ音楽を聴いて眠りやすくしたり、アプリや動画サイトなどで1/fゆらぎを持つ音楽が「眠れる音楽」として紹介されたりしています。クラシックの名曲なら絶対に含まれている、というわけではありませんが、クラシック音楽にはこの1/fゆらぎが含まれているものが多いのです。

クラシックにはリラックスさせる以外の効果があるの?

前述のように、クラシックには人の脳や身体をリラックスさせ、休息状態や睡眠状態に導く力があることがわかりました。しかし、クラシックの持つ効果はリラックスだけではありません。脳を活性化したり、自律神経のバランスを整えて睡眠の質を高めたりする効果もあります。そこで、これらの効果についても詳しく見ていきましょう。

クラシックで脳が活性化するって本当?

クラシックは「A10神経」を刺激しやすいとされています。A10神経とは、脳幹から視床下部を通り、側頭葉、前頭前野まで至る神経系で、ドーパミンの分泌を司ることから「ドーパミン神経系」とも呼ばれています。このA10神経が刺激されると、ドーパミンが分泌されて気分が高揚し、やる気を出すことができるのです。

さらに、イギリスのノーザンブリア大学の研究グループが、学生たちを対象にヴィヴァルディの曲の学習効果について研究したところ、ヴィヴァルディの「秋」よりも「春」の方が問題を解くスピードが速くなり、正解率も高くなったとわかりました。つまり、アップテンポで明るいクラシックは脳の活性化に効果的と考えられます。

このような脳を活性化させる作用に着目し、老人ホームで10年間暮らしている抑うつ状態の高齢者にクラシックを聞かせたところ、元気になったという報告があります。さらに詳しい研究によると、音楽とある特定の出来事や記憶が患者さんの中で関連づけられている場合、その音楽を聴かせれば認知症の人の記憶が蘇る効果が期待できるとされています。

また、音楽は普段使い続けている脳の部分を休める働きも持っています。人間の脳は左脳と右脳に分かれていて、左脳が言語活動や論理的思考を、右脳が身体感覚や芸術的活動などを行っています。つまり、我々の日常生活や仕事の上では、圧倒的に左脳を使っている時間の方が長いのです。しかし、左脳は右脳よりも容量が小さいため、適度に休ませなくてはなりません。

そこで、クラシック音楽を聴くと芸術活動を司る右脳が刺激され、左脳を休めることができます。ここで注意しなくてはならないのは、クラシックに歌詞をつけた曲を聴くのは左脳を休める意味では良くないということです。歌詞がついていると、どうしても無意識に歌詞の意味を追ってしまい、言語活動を司る左脳が働いてしまうのです。

左脳を休め、右脳を刺激するためにクラシック音楽を聴くときは、歌詞のないインストゥルメンタルのクラシック音楽を聴きましょう。

クラシックで睡眠の質をアップできるの?

クラシック音楽を聴くことは、自律神経のバランスを整えることにつながります。現代人は光の刺激や活動時間の長時間化などにより、常に「交感神経(自律神経のうち、活動を司る神経)」が活発になっている状態です。しかし、クラシック音楽によってα波が発生したり、1/fゆらぎを感じたりすると、リラックス状態を司る「副交感神経」が活発になり、自律神経の切り替えが上手くできるようになるため、自律神経のバランスが整うのです。

実際に、兵庫県立大学大学院教授の水野由子氏らが行った実験によれば、クラシック音楽を聴きながら作業を行った場合、アップテンポな音楽を聴きながら作業を行った場合よりも副交感神経が強く働き、その結果、作業後も安定した精神状態が続いたとのことです。このように副交感神経が優位になった状態では身体もリラックスし、快適な睡眠をとることができます。

また、モーツァルトなどのクラシックは非常に綿密に計算され、ロジカルに構成・作曲された音楽です。この緻密な構成が脳を適度に刺激し、ドーパミンやセロトニン、アセチルコリンなどの神経伝達物質を分泌させます。

セロトニンは心を落ち着けて自身を持たせる働きがあり、うつ病の治療に大切な役割を果たします。アセチルコリンは、イライラした気持ちを鎮める働きがある物質です。これらの神経伝達物質(ホルモン)の影響で自律神経のバランスが整うため、クラシック音楽で脳を刺激すると心身ともに健やかな状態を保つことができます。

クラシックはダイエットにも効果的って本当?

クラシックは食欲をコントロールする働きがあります。例えば、レストランでクラシックの音楽が流れていると落ち着いて食事ができるため、少量の食事で満腹感が得られます。一方、ファストフード店などでは照明を明るくし、アップテンポなポップスなどを流すことで食べるペースを速め、回転率を上げています。

このように、クラシック音楽によって気持ちを落ち着けると、必要以上に食べ過ぎなくてもしっかり満腹感や満足感が得られるようになります。ですから、ダイエット中で食べる量を普段よりも減らしたいという場合、食事の際にクラシック音楽をかけて落ち着いて食べるのもおすすめです。

また、音楽の「楽」とは、昔の中国で病を治す音や楽器を表しました。つまり、「楽」と「薬」は同じ意味だったのです。その後、植物によって病気を治療できることに気づいてからは、「楽」と草かんむりをつけた「薬」を使い分けるようになりました。ですから、音楽が人の心を癒し、心の健康が身体の健康につながることは昔から知られていたこととも言えます。

オフィスでもクラシックをかける効果があるの?

最近では、オフィスを完全に静かな状態にしておくのではなく、何らかの「オフィスBGM」を取り入れる企業も出てきました。約4割の企業がオフィスBGMを取り入れているとされ、実際にオフィスBGMとしてクラシック音楽を取り入れた企業では以下のようなメリットがあったと報告されています。

  • イライラした気分が落ち着く
  • 集中力が上がる
  • 単純作業のスピードが上がる
  • ミスが減る
  • 仕事の成果の質が上がる

これらの効果がもたらされるのにはさまざまな理由が考えられますが、前述のように歌詞がなく左脳のキャパシティを邪魔せず右脳を刺激できる点、計算高くロジカルな構成で論理的思考が誘発される点、A10神経を刺激してドーパミンによるやる気を出せる点などが特に仕事の効率をアップする要因に挙げられます。

リラックスしたい、集中したいときにおすすめのクラシックは?

それでは、実際にリラックスしたいときや集中したいときにおすすめのクラシックを5曲ずつご紹介します。

リラックスしたいときにおすすめのクラシックは?

リラックスしたいときにおすすめのクラシックは、以下の5曲です。

シューベルト「野ばら」
歌曲の王、シューベルトの代表曲。穏やかで美しいメロディ
学校の授業で習うこともあり、ゲーテが歌詞をつけたバージョンを知っている人も多い
左脳に負担をかけないため、リラックスしたいときは歌詞なしの方がおすすめ
ビゼー「組曲『アルルの女』第2組曲第3曲『メヌエット』」
フルートの美しい音色が特徴的な名曲で、好きな人には非常におすすめ
組曲「アルルの女」はドーデの戯曲の劇付随音楽として作曲した中から数曲を選び、演奏会用にしたもの
中でも第3曲「メヌエット」はビゼーの歌劇「美しきパースの娘」の曲をビゼーの死後に友人のギローが転用し、編曲したというもの
ヨハン・シュトラウスⅡ世「美しく青きドナウ」
軽快で優美な舞踊曲(ワルツ)で、オーストリアでは「第2の国歌」と俗称されるほど人気が高い
プロイセンとの戦争に破れた祖国を元気づけようと作曲されたもの
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートでも毎年演奏されている
J・S・バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻『1.プレリュード』」
「音楽の父」J・Sバッハの記した「音楽の聖書」と呼ばれる
平均律とはそのままの意味でなく、調律を変更しなくてもあらゆる調で演奏可能という意味
奇をてらわず、美しい旋律を美しいまま楽しめる楽曲
J・S・バッハ「G線上のアリア」
CMで使われたり、洋楽でカバーされたりと、どこかで一度は聴いたことがある曲
数あるクラシックの中でも特に有名な曲で、美しく清々しい旋律が特徴的
ヴァイオリンの「G線」のみで演奏できることが曲名の由来だが、作曲者ではなく編曲者による命名

いずれもクラシックの名曲の中でも超有名と言える曲ばかりで、タイトルを知らなくてもどこかで聴いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。この他にもさまざまなタイトルのクラシックがありますが、ぜひお気に入りのリラックス曲を見つけてみてください。

集中したいときにおすすめのクラシックは?

集中したいときにおすすめのクラシックは、以下の5曲です。

ショパン「子犬のワルツ」
題名通り、子犬が駆け回るような軽快でアップテンポな曲
ショパンらしく美しいメロディも特徴的で、聴きやすい
ショパンの恋人が飼っていた子犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回る習慣を持っていて、その様子から即興で作曲されたものと言われている
モーツァルト「ピアノ・ソナタ第15番ハ長調K.545-第1楽章」
モーツァルト自身が「初心者のためのソナタ」と記しており、ピアノ学習者にはおなじみの曲
旧モーツァルト全集では第15番、新モーツァルト全集では第16番とされる
第1楽章はアレグロで、軽快で明るい曲調が作業にぴったり
ブラームス「交響曲第1番」
ベートーヴェンの「交響曲第10番」だと評されるほど、実際にそれを意識して作られた楽曲であり、完成度も非常に高い
非常に厳しく推敲が重ねられたゆえに、着想から完成まで21年の歳月がかかった
壮大ながら比較的穏やかな曲調なので、作業を妨げることなく聴ける
チャイコフスキー「バレエ音楽『くるみ割り人形』第5曲『アラビアの踊り』」
E.T.A.ホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王様」をもとにしたバレエ音楽
劇中でコーヒーの精がアラビアの踊りを披露するという筋立ての曲で、どこかエキゾチックながら落ち着いた曲調
第3曲「金平糖の精の踊り」や第8曲「花のワルツ」も有名
モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219(トルコ風)第3楽章」
モーツァルトが19歳の時の作品であり、最後のヴァイオリン協奏曲と言われている
「トルコ風」の渾名は当時の流行であるトルコ趣味から名づけられた
優雅な輪舞曲(ロンド)で、トルコ風の行進曲部分を持つ

作業中にかけるBGMとしては、やはり軽快なものやアップテンポなもの、メロディが聴きやすいものがおすすめです。クラシックにはこうしたアップテンポな曲もたくさんありますので、スッと集中に入りやすい曲をぜひ探してみてください。

寝るときにおすすめのクラシックは?

クラシックを聴くと眠くなる、という話を最初にご紹介しましたが、逆に寝る前にクラシックを聴くとどんな影響があるのでしょうか。ここで、就寝前(だいたい布団に入る1時間〜30分前)に45分間クラシック曲を聴くグループ、オーディオブックを聴くグループ、無音のグループに分けて3週間にわたって調査を行った結果を見てみましょう。

すると、クラシックを聴いたグループの86%で睡眠の質が上がったものの、他のグループでは大きな変化は見られなかったという調査結果が報告されました。ただし、この調査結果はバッハ「ゴルトベルク変奏曲」やラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」などのスローテンポで音数が少なめの曲を聴いた結果であり、アップテンポで高揚感のある曲はクラシックでも眠りには向かないと考えられます。

そこで、同様に寝る前におすすめのクラシック音楽を著名なショパン・バッハ・ベートーヴェンの中からご紹介します。

寝る前におすすめのショパン
夜想曲(ノクターン):1〜21番まであり、ほとんどが三部形式
革命のエチュード:正式名は「練習曲作品10-12」で、友人フランツ・リストに献呈されたもの
子守歌(変ニ長調 Op.57):ピアノ独奏曲で、全体的にゆったりと落ち着いた静かな曲
バッハ
ゴルトベルク変奏曲:グレン・グールドのデビュー盤でも有名な曲で、世界的な大ヒットとなった
無伴奏チェロ組曲:第1番〜6番があり、チェリストの聖典的な作品としてよく知られている
ブランデンブルク協奏曲:6曲からなる合奏協奏曲集で、献呈された伯爵の領名がついている
ベートーヴェン
月光ソナタ(ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 Op.27-2):第8番「悲愴」、第23番「熱情」と並んで三大ピアノソナタと呼ばれることもある
ロマンス第2番(ヘ長調 Op.50):管弦楽の規模が小さくこぢんまりとまとまっており、旋律が美しい輪舞曲
交響曲第九番:いわゆる「第九」としてNHK交響楽団による年末のコンサートで演奏されるものが有名。第4楽章は特に「歓喜の歌」としてよく知られている

もちろんこの他にも、ゆったりとしたテンポの曲や音の数が少なく落ち着いた曲であれば何でも構いません。あるいは、多少アップテンポであってもお気に入りの曲を聴いた方がよく眠れるという人もいるでしょう。日替わりでいろいろな曲を聴いてみるのもおすすめですので、ぜひさまざまな曲に出会ってみてください。

おわりに:クラシックでリラックス・集中できるのは自律神経が整うから

クラシックの効果としては、リラックス状態を導く脳波「α波」と、自然界のリズム「1/fゆらぎ」の2つが挙げられます。これらの効果によって、リラックスを司る「副交感神経」が活発になり、自律神経のバランスを整えられるのです。

リラックスしたいときや眠りたいときにはスローテンポで落ち着いた曲を、集中したいときには軽快でアップテンポな曲を選ぶと良いでしょう。ぜひ、さまざまな曲の中からお気に入りを見つけてください。

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