自分では気づきにくいストレス、どうやって対処すればいい?

ストレス

ストレスを感じると、心だけでなく身体にもさまざまな影響があることがわかっています。しかし一方で、ストレスを感じていても自分ではストレスに気づきにくいことや、身体の不調の原因がストレスとは思い至らないことも多いのです。

そこで、今回はストレスに気づかないのはなぜなのか、気づかないままでいるとどうなってしまうのか、気づくためにはどうすれば良いかについてまとめました。

この記事を読んでわかること
  • ストレスの原因
  • ストレスに気づきにくい理由
  • ストレスによる症状
  • ストレス解消方法
  • 友達のストレスに気づく方法と声かけの例

ストレスを自分で気づけないことがあるのはなぜ?

ストレスという言葉はもともと物理学用語でしたが、それが転じて「生体に何らかの外的な刺激が加えられたとき、発生する生体側の歪み」として医療・心理学用語として使われるようになりました。こうした生体の歪み(ストレス反応)を生じさせる外的な刺激のことを「ストレッサー」と言い、例えば以下のような日常生活における刺激や変化がストレッサーになりえます。

家庭内で起こりうる刺激や変化
親しい人の死去や病気、怪我
自分や家族の結婚や離婚
配偶者や子どもとの別居、または家族が増える
引っ越しや新改築など、住環境の変化
自分や家族の入学・転校・卒業・受験など
仕事で起こりうる刺激や変化
職場での地位や環境、仕事内容の変化
自分や家族の解雇・失業・退職
経済状態の大きな変化(上方・下方のいずれも含む)
職場での人間関係や、社会でのトラブル・プレッシャー
その他、日常生活で起こりうる刺激や変化
妊娠・出産・子育て
日常生活習慣の変化
長期休暇や学業の休止、留学
移住・災害・戦争など、大きな社会環境の変化
大きな成功や称賛、または大きな失敗や叱責

以上のように、ストレッサーとなりうる刺激は必ずしも不快なことや嫌なこととは限りません。昇進や進学・就職など、喜ばしいことも大きな刺激となり、ストレッサーとなりうるのです。なにかと悪い印象を持たれがちなストレッサーですが、中には良いものも悪いものもあるということです。

ストレッサーのうち、人に良い影響を与えたりやる気を引き出したり、進歩を生み出したりするものは「ユーストレス(eustress)」、心身にさまざまな悪影響を引き起こすものは「ディストレス(distress)」と呼ばれています。日本語ではよりわかりやすく「善玉ストレス(良いストレス)」、「悪玉ストレス(悪いストレス)」などと呼ばれることが多いです。

私たちは「ストレス(ストレッサー)」という言葉を使うとき、ついつい悪いストレスのことを考えて「ストレスが全くない状態が良い」と考えてしまいがちです。しかし、人にやる気や進歩を生み出す「良いストレス」は適度にあるべきなのです。ストレスがない状態とは全く刺激のない状態ですから、例えば高齢者では認知症を進行させてしまうなど、かえって悪い状態を引き起こしてしまうからです。

また、同じ出来事が起こっても、人によっては良いストレスと感じる人と、悪いストレスと感じる人に分かれます。例えば、他人から自分の欠点について指摘されたとき、気分が落ち込んで何もかもやる気がなくなってしまったり、不安や恐怖に駆られてしまう人もいれば、その指摘を受けて現在の自分を見つめ直したり、新しいことを始めるきっかけになるという人もいます。

もちろん、このように良いストレスと悪いストレスの感じ方が分かれる原因は当人の受け止め方だけに限らず、言葉を発した人の言い方や場の雰囲気、当日の体調や社会的な立場など、さまざまな要素が合わさっています。ですから、逆に同じストレスを受け続けていても、良いストレスが悪いストレスに変わってしまうときがあります

例えば、とある医師が学会発表をするにあたり、最初はやる気に満ちてわくわくしていました。これは明らかに良いストレスでしょう。しかし、何度も発表を繰り返すうち、「最近は人に会うのが面倒だと感じる、人に会うと酷く疲れるようになってしまった」と感じるようになりました。このように感じたときは、既にストレッサーは悪いストレスに変化していると考えられます。

このように良いストレスが途中から悪いストレスに変わってしまう場合、自分が悪いストレスに晒されていることに気づきにくくなってしまうため、より注意が必要です。最初は良いストレスであった場合、人はつい心身の健康も顧みず、どんどんやる気のままに物事を進めてしまいがちです。心身に悪影響が現れたら、悪いストレスに変わったサインかもしれません

ストレスに気づかないままでいるとどうなる?

ストレスによる反応は、心理的なもの・身体的なもの・行動に現れるものの3種類に分けることができます。

心理的なストレス反応
不安や気分の落ち込み、興味・関心の低下、イライラ、意欲の低下、集中力の低下など
身体的なストレス反応
寝つきが悪い(入眠障害)、夜中に目が覚める(中途覚醒)、不眠、疲れやすい、頭痛や肩こり、腰痛、目の疲れ、めまいや動悸、腹痛や食欲低下、便秘・下痢など
行動に現れるストレス反応
飲酒・喫煙量の増加、食欲亢進(やけ食い・どか食い)、引きこもり、欠勤や遅刻の増加、仕事でのミスやヒヤリハットの増加など

ストレッサーへの対処が適切に行われていれば、こうしたストレス反応は次第に落ち着き、改善されていきます。しかし、ストレッサーを改善できない場合やストレスに対処しきれていない場合は、ストレス反応が長引くことがあります。これらのストレス反応が長引いている場合は、過剰なストレス状態に陥っていると考えられるでしょう。

そこで、ストレス反応が現れたら、ストレスを溜め込まないうちに早めに解消しておきましょう。具体的には、日頃から以下の「3つのR」によって、適度に休息をとることが重要です。

Rest(レスト:休息、休養、睡眠)
オンとオフをしっかり切り替え、十分な休息や睡眠をとる
仕事中なら、席を立って歩いたりコーヒーを飲んだりして、疲労が蓄積する前に意識的に短い休息を取るのも効果的
Recreation(レクリエーション:運動、旅行、ガーデニングなど趣味や娯楽、気晴らし)
レクリエーションとは、ストレス発散につながるような何らかの趣味、娯楽のこと
忙しくても1週間に1時間程度はレクリエーションの時間を取り入れる
好きなことに思いきり打ち込む時間を作り、日々のストレスから意識を逸らすことが重要
Relax(リラックス:ストレッチや瞑想、音楽、アロマセラピーなどリラクゼーション)
呼吸を落ち着かせたり、筋肉の緊張を解いたりするなど、精神を安定させるリラクゼーションを行う
家族や親しい友人との団らんなど、緊張を解きほぐせるような時間を持つことも大切

また、抑うつ状態やうつ病を発症する要因として、生活習慣の影響も指摘されています。米国・カリフォルニア大学のブレスロー教授が生活習慣と身体的な健康度(疾病・症状など)の関係を調査した結果に基づいて作った以下の「7つの健康習慣」などは、心身の健康を保つためのライフスタイルの基本と言えるでしょう。

  • 7〜8時間の睡眠をとる
  • 朝食を必ず食べる
  • 間食は控えめに
  • 標準体重を保つ
  • 適度な運動を行う
  • 禁煙する
  • 適正飲酒を心がける

これらの健康習慣を自分のライフスタイルと比べ、欠けている部分があればできるだけ近づけていくようにすると良いでしょう。例えば、朝食の摂取や適度な運動などは比較的すぐに改善しやすいポイントです。帰り道は一駅前で下りて歩いたり、シリアルなどの簡単なものでも朝食を摂取したりと、やりやすいことから始めてみましょう

友達や同僚のストレスに気づくにはどうすればいい?

現代社会はストレス社会とも呼ばれるように、大きなストレスを抱える人は決して少なくありません。つまり、自分も周囲の人もさまざまなストレスを感じていて、ストレス反応が出ている人も多いと考えられます。もし、友達や同僚が過剰なストレス、あるいは悪いストレスを抱え込んでしまっているなら、気づいて声かけをすることが本人の気づきのきっかけにもなります。

友達のストレスに気づくためにはどうすればいいの?

久しぶりに会ってみたら、なんだか友人の様子がいつもと違う、と感じたことがある人も多いでしょう。なんだか調子が悪そうだと思っていたら、後から「あの時期はストレスが多くて」と打ち明けられた、などということもあります。心の調子を崩し始めるサインには、「元気がなくなる」「以前よりイライラしやすい」「一人になりたがる」など、さまざまなものがあります。

こうした違和感に気づいたら、「元気がないみたいだけど、なにかあった?」「最近、イライラしているようだけど、どうしたの?」など、声をかけて話を聞くと良いでしょう。自分からつらい気持ちを話し始めるのは勇気がいることですが、友人の方から声をかけて話のきっかけを作ってもらえれば、つらい気持ちも話しやすくなります。

声をかけるときは、以下のようなポイントに注意しましょう。

声かけは気軽に
相手が話したくないようなら、近くで寄り添って見守る
緑の多い公園や映画、ライブなどに誘ってみる
外を嫌がるなら、一緒に家で音楽やゲームを楽しむのも良い
話し始めたら、真剣に向き合う
自分を信頼して話してくれたことに対し、感謝の言葉を伝える
「相手を心配している」という気持ちを伝える
落ち込みがひどい、自分を傷つけているなどの場合は、自分たちだけで解決しようとせず専門家や周囲の手を頼る

話を聞いてみた結果、自分と友人だけの力では解決できないこともあるかもしれません。そのようなときは抱え込まず、専門家や周囲の人の助けを求めましょう。また、本人が助けを求められない状態にあるようなら、サポートしてあげることが大切です。

部下や上司、同僚など職場の人のストレスに気づくためには?

頻繁に顔を合わせる職場の人は、友人よりもさらにストレス反応に気づきやすいかもしれません。周囲にいる人がすぐにその変化に気づくことができれば、心や身体の問題が深刻化する前に対処できる可能性が高いでしょう。そこで、職場では普段から以下のようなポイントに気をつけておきましょう。

普段から積極的なコミュニケーションを心がける
心身ともに健康な状態のときの人柄や性格を知っておき、変化を見抜けるようにする
仕事の話ばかりではなく、何気ない世間話ができるような関係性を築いておけると良い
仕事に対する姿勢の変化に注意する
遅刻や欠勤が増えた、仕事のペースが遅くなった、周囲とうまく折り合いをつけられなくなったなどは要注意
安心できる環境で声をかけ、コミュニケーションをはかる
元気がないなと思っても、他人がいる場所で声をあげて激励するなどは厳禁
仕事から離れ、ゆっくりと話ができるような場所で、本人に負担がかからない範囲で話す
最後までじっくり腰を据えて聞くことも重要
症状の重さによっては、上司や家族、専門家などと相談を
しばらく様子を見ても本人の心の負担がなかなか解消されない場合は、他の人の手を借りる
上司や企業内カウンセラー、家族、専門医などに状況を説明し、適切な対応を求める

「最近、独り言や独り笑いが増えた」「以前に比べて動作や反応が鈍くなってきた」「以前に比べて表情に乏しくなった」などの場合は、心身に何かしらの悪いストレスがかかっている可能性が高いです。気づいたらすぐに対処できるよう、周囲の人にもぜひ心を配っておきましょう。また、ストレスに自分たちだけで対処できない場合は、専門家や上司・家族などにも相談し、適切な対応を求めることも重要です

おわりに:良いストレスが悪いストレスになることも。周囲の気づきも重要

私たちは、自分自身が感じているストレスにはなかなか気づきにくいものです。特に、ストレスの原因となるストレッサーには良いものもあり、途中から悪いストレスに変わってしまう場合があります。このような場合はよりストレスの悪影響に気づきにくいです。

そこで、周囲の人がストレス反応に気づくことも重要です。友人や同僚の変化に気づいたら話を聞いたり、専門家や周囲の人への助けを求めるサポートをしたりしましょう。

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