新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務や外出自粛など、自宅で過ごす「おうち時間」が大きく増加しました。外出できないという閉塞感の中、大人も子どももストレスを感じてしまう人は多いです。
そこで、今回はおうち時間を家族で楽しむための方法についてまとめました。多くなりがちな家事を楽しむ時間にするなど、子どもと一緒に工夫しながらおうち時間を楽しく過ごしてくださいね。
在宅勤務、おうち時間はストレス…でも、メリットもある!
在宅勤務など、自宅で過ごす時間が増えてストレスが増えたと感じる人は多いことが、さまざまな調査から明らかになっています。例えば、積水ハウスが2020年5月に20〜49歳の小学生以下の子どもを持つ男女300名を対象として行ったWeb調査によれば、在宅時間が増えたことでストレスを感じる人は全体で6割、男性が5割、女性が7割という結果になりました。
このうち、アンケートに回答した本人が在宅勤務をしている、という88人を対象とし、在宅時間が増えたことによる不満を聞いたところ、以下の回答が得られました。
- 運動不足になった:37.5%
- 家庭でのストレスが増えた:23.9%
- 家計の出費が増えた:22.7%
- 家事の量が増えた:20.5%
- 自分の自由な時間が減った:19.3%
中でも、家事の量が増えたことで不満を感じる人は男性が13.8%なのに対し、女性は39.1%と約4割の人が不満に感じています。このことが大きなストレス要因となっていることは間違いないでしょう。
一方で、同じ88人に今後も在宅勤務をしたいかどうか質問したところ、86.4%にものぼる人が在宅勤務を望むことがわかりました。それは、上記のようなストレス要因もあるものの、在宅勤務によって以下のようなメリットも生まれたからです。
- 時間に余裕が持てる:50.0%
- 通勤時間を気にしなくて良い:45.5%
- 家族とのコミュニケーションが増えた:39.8%
- 子どもとゆっくり話せる:39.8%
- 出かける準備にかける時間が減った:37.5%
つまり、在宅勤務を総合的に見ると「メリットが多い」「ストレス要因はあっても、在宅勤務を続けたい」と考えている人は非常に多い、と言えます。ですから、在宅勤務やおうち時間をより快適に過ごすためには、家庭で運動したり、家事を楽しんだりしてストレス要因を減らせば良いと考えられます。次章からは、具体的な在宅時間の楽しみ方を見ていきましょう。
在宅の楽しみ方|家事にこだわり生活を充実
在宅時間が増えたことで、家事の負担は大きく増加しました。前述のように、家事を行うことが多い女性に増えた負担がのしかかり、それがストレスにつながるのでしょう。実際に、ライオン株式会社が「外出自粛・在宅勤務になってから増えた時間」について調査した結果によれば、1位に「掃除」、3位に「料理」と、家事の時間が上位にランクインしています。
そこで、1日の中で多くの時間を費やし、かつ、誰か1人に負担が集中するとストレス源になりやすいこうした家事の時間を、あえて「楽しみながら」「家族みんなで」行ってみてはどうでしょうか。家事の時間が楽しみになれば、在宅時間のストレスが減り、家族全員が充実した時間を過ごせることでしょう。
家族みんなで一緒に取り組めば、家事の大変さを理解してもらうことにもつながりますし、家事を通じて新たなコミュニケーションも生まれます。家の中がスッキリしたり、美味しいご飯を食べられたりすれば、おうち時間はさらに快適なものとなるでしょう。
掃除は、心地よい空間づくりのため
在宅時間が増えたことで、より快適に過ごすためには室内の環境を良くすることが必須です。部屋の中の掃除はもちろん、窓にも注目してみましょう。普段はなかなか手が回らないカーテンや、窓・窓枠の掃除をすると、部屋が明るくなったり、空気が良くなったりするでしょう。同じように、なかなか洗う機会がない寝具もこの機会に洗濯・陰干ししてはいかがでしょうか。
また、キレイなお風呂でゆっくり入浴できるよう、在宅時間を利用して「カビ予防」を行うのもおすすめです。浴室の壁や床の汚れをしっかり落とした後、目に見えない「カビの原因菌」を退治できるような薬剤を使って黒カビの発生を防ぎましょう。蛇口・鏡・イス・洗面器など、小物類のくすんだ汚れも落としてピカピカにしておくと、浴室がよりスッキリ明るく感じられます。
料理を楽しみながら作ろう
家族がいつも全員家にいると、食事を毎回作るのも大変です。しかし、そこを逆転の発想で、長く家にいる子どもと一緒に料理を楽しんでしまうのはいかがでしょうか。つぶしたり、丸めたり、包んだりする手作業を子どもに手伝ってもらえば、子どもも充実感を持って料理を楽しめるでしょう。
もちろん、手の込んだ料理である必要はなく、電子レンジ調理できるような簡単な料理で構いません。例えば、ポテトサラダや鶏チャーシューなどは鍋を使う必要がありませんので、子どもと一緒にキッチンに立っても安全です。
また、調理バッグを使って電子レンジ調理するのもおすすめです。朝ごはんの後、食材を切って調味料と一緒にバッグに入れておけば仕込みができ、お昼や夜に食べられるという手軽さ。初めて作る料理でも、レシピ通りに材料を入れれば良いだけなので、失敗しにくく誰でも簡単に作れます。
「いつもの家事」をグレードアップさせよう
そもそもおうち時間が増えた理由として、外出自粛だけでなく通勤時間が減ったことも挙げられます。その浮いた通勤時間を使って、いつもの家事をちょっとグレードアップさせてみるのもおすすめです。パパこだわりの料理を作ってもらったり、出汁からとる本格和食に挑戦したり、トイレのすみずみまで掃除したりと、1〜2時間あればできることはたくさんあります。
スポーツやゲームが好きなお子さんなら、親子・兄弟対抗で家事を競い合うとより楽しめるでしょう。例えば、以下のような競技が考えられます。
- たたみ方と積み上げ方のキレイさを競う「洗濯ものたたみ競争」
- 居間の窓、左右どちらがクリアになるか「窓拭き競争」
- 素早さと見栄えの良さがポイント「餃子早包み競争」
これらの競技を組み合わせて、運動会のように1日使った「家事大会」を開催するのも面白いかもしれません。子どもと一緒にゲーム感覚で没頭するうち、大人にとっても家事が楽しい時間になることでしょう。
子どもと一緒に楽しむおうち時間|発育にも影響
前述のように、大人の家事を子どもと一緒に行うだけでなく、子どもの遊びを大人が一緒に楽しむことも大切です。特に、子どもが小さいうちはひとり遊びも必要ですが、同時に、大人が一緒に遊ぶことでコミュニケーション力を育てたり、愛情を育んだりする必要もあります。増えたおうち時間で、ぜひ、子どもとじっくり向き合いましょう。
まず、0〜2歳くらいの乳幼児期は、だいたい以下のように年齢に合わせたおもちゃを使って遊びましょう。
- 0歳〜:ベビージム、モービルなど
- 首がすわったら:ボール、ラトル(いわゆるガラガラ)など
- おすわりができるようになったら:積み木、音が出るおもちゃなど
- 1歳ごろ〜:パズル、乗り物のおもちゃなど
- 2歳ごろ〜:レゴブロック、着せかえ人形など
1歳くらいまでは、知育玩具で脳に良い刺激を与えると良い、とされています。新生児はまだ自由に動けないので、視覚と聴覚で楽しめるベビージム、モービルなどが良いでしょう。首がすわった後はおもちゃへの好奇心が高まってきますので、実際に触って遊べるボールやラトルがおすすめです。
おすわりができるようになったら、積み木や音が出るおもちゃでより感覚を鍛えましょう。この頃、鍵盤や打楽器などに興味を示す子もいます。1歳を過ぎる頃からは、目と手を使って遊ぶパズルなどで創造力を育てましょう。2歳になれば、さらに創造力に働きかけられるレゴブロックや着せ替え人形など、おもちゃのバリエーションが増えてきます。
子どもがさらに成長してきたら、工作・お絵描きや歌・ダンスなどで感性を育みましょう。料理やお菓子づくりをしたり、作ったものを自宅で食べるピクニックごっこをしたりするのもおすすめです。詳しく見ていきましょう。
感性を育てるおうち遊び
工作やお絵描きはおうち遊びの定番とされ、創造力と感性の両方を育むことができます。何を作っているのか、何の絵を描いているのかなど、大人が上手にコミュニケーションをとって一緒に楽しみましょう。
- 折り紙
- 折って指先を鍛える、切る、ぐちゃぐちゃに丸める、お絵描き用の紙にする、と自由自在に使える
- 100円ショップでも手に入るので、コスト面でも嬉しい
- 粘土、段ボール
- 指先の感覚を鍛えながら、想像力を働かせて遊べる
- カラフル粘土を使い、一緒に連想ゲームで作りたいものを決める、などの楽しみ方も
- 白紙に絵を描く
- 子どもの空間認識能力を高め、手や腕の運動が文字を書くのに役立つ
- 絵を描きながら視覚・聴覚などの感覚を思い出すので、感受性を高められる
また、歌やダンスは運動不足の解消にもなります。好きな音楽や映像を流しながら子どもと一緒に体を動かせば、おうち時間の運動不足解消、ストレス解消に役立つでしょう。リズム感・音感・自己表現力なども同時に育めます。もちろん、子どもが怪我をしないよう十分なスペースをとり、元気いっぱいに身体を動かせる環境を作ってあげましょう。
足音が気になる場合は、防音マットなどを敷くのがおすすめ。好きなキャラクターが登場するダンスや体操の動画を見ながら行えば、子どもが最初は興味なさそうにしていても、自然と身体が踊り出してしまうかもしれません。身体を動かしたいと思ったら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
料理を作って食べる楽しみを味わう
半日以上時間にゆとりがある日は、子どもが大好きなお菓子作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。もちろん、本格的なものでなくて構いません。例えば、ホットケーキミックスを使うとパンケーキやマフィン、スコーン、ドーナツ、クレープ、クッキーなどが簡単に作れます。どれも子どもが好きなメニューなので、できた後に食べるのも楽しいでしょう。
外出自粛が最初に叫ばれたとき、ホットケーキミックスが売り切れ続出になったこともあったほど、ホットケーキミックスは手軽で代表的なお菓子作りの材料になりえます。他の材料も牛乳・サラダ油・卵・砂糖と、家にいつもあるもので作れますし、アレンジも生クリームやアイス、チョコチップなど簡単です。フライパンやオーブンは熱くなるので、大人がしっかり見てあげてください。
お菓子ができたら、自宅でピクニックごっこなどを楽しむのもおすすめです。大きなレジャーシートを敷いたり、部屋の中を華やかに飾り付けてお祭り風にしたり、子どもと一緒に特別な雰囲気を楽しみましょう。居間にテレビがあれば、子どもや家族が好きなアニメや映画を流すこともできます。
夫婦でおうち時間を楽しむことも忘れずに
最後に、夫婦やパートナーどうしでおうち時間を楽しむにはどうすれば良いのでしょうか。女性に外出自粛で夫やパートナーと過ごす時間が増えたかどうか質問した調査によれば、増えたと回答した人は59%、変わらない・減ったと回答した人は41%となり、約6割の人は夫やパートナーと過ごす時間が増えたことがわかります。
例えば、二人とも在宅勤務になったので平日も含めて一緒に過ごす時間が増えた、休日はほぼずっと一緒にいる、などの回答が目立ちました。勤務先が違っても在宅勤務なら一緒にいられますし、外出自粛の影響でバラバラに出かけることも減ったと考えられます。また、おうち時間を2人で一緒に過ごすとき、以下のようなことをして楽しむ人が多いようです。
- YouTube、Netflixなどの動画視聴サービス
- おうち時間が長いからこそ、イッキ見もできる
- 気になっていたドラマやアニメ、映画などをこの機会に見るのがおすすめ
- 料理やお菓子作り
- レストランやカフェに出かけにくいからこそ、一緒に料理やお菓子を作る
- おうち居酒屋やおうちカフェなど、作る過程からコミュニケーションができる
- インスタグラムなど、ネットサーフィン
- 好きな有名人のインスタグラムやブログを見たり、情報収集したりする
- スマホではいくつかのサイトを見比べるのが難しいが、おうちでパソコンを使えれば比較も簡単
- オンラインゲーム
- 彼と一緒にするのも、一緒の空間で別々にするのもおすすめ
- ゲーム内のコミュニケーションを楽しめるゲームも多い
- 筋トレ、ダイエットなど
- 一緒に筋トレをしたり、ダイエットを兼ねて運動したりする
- YouTubeなどの動画サイトを見ながら、一緒に行うのもおすすめ
一方で、おうち時間を楽しむためにはお互いの「一人の時間」を尊重することも大切です。一緒にいる時間が長いと、どうしても些細なことから口論になり、ストレスが溜まってしまうことも。一緒の空間にいても好きなことをしたり、干渉しすぎるのを避けたり、ときには別々の部屋で一人になる時間を作ったりしましょう。
夫婦でもパートナーでも、別々の人間である以上、ほどよい距離感は重要です。また、何かしてもらったら「ありがとう」、衝突したら「ごめんね」など、相手を思いやりながらコミュニケーションをとることも忘れないようにしましょう。
おわりに:在宅勤務やおうち時間を、家族みんなで楽しもう
在宅勤務や休校、外出自粛などでおうち時間が増えたことをストレスと感じる人は多いです。特に、女性に負担が集中しがちな家事や炊事は大きなストレスになってしまいます。そこで、家族みんなで家事や炊事を楽しみながらやってはいかがでしょうか。
もちろん、子どもの遊びや夫婦・パートナーでの時間も大切です。新型コロナウイルス感染症の影響で生活は大きく変わりましたが、あえて楽しめるような発想の転換、工夫をしましょう。
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