福利厚生は、従業員が暮らしやすく、働きやすくするために企業側で行う制度のことです。福利厚生で心身をリフレッシュすることは、ストレスケアやメンタルケアにも役立ちます。日本人は有給などの「従業員の権利」を主張するのが苦手な傾向がありますが、与えられたサービスを利用しないことは、会社にとっても良くないことを知っていますか?
今回は、福利厚生サービスについて解説していきます。自分自身の心身の健康を守るためにも、企業に貢献するためにも大切な情報になりますので、参考にしてください。
福利厚生とはどういう制度?
福利厚生は、給料やボーナス以外の形で従業員とその家族に報酬として与えられるものです。もともとは、もともとは労働力を確保するために作られた宿舎や食堂を指すものでしたが、時代とともに目的や提供の方法が変化しています。最近は、生活の質を高めて安心して働ける環境を用意することで、人材を確保することを目的に実施されていることが多いようです。
少し前までは「ブラック企業」がはびこり、義務付けられている福利厚生が提供されていない企業や、あったとしても形骸化していて利用できない状況も少なくありませんでした。
日本人は気質的に利用することに罪悪感を覚えてしまう傾向がありますが、福利厚生の制度を用意することは会社の義務であり、利用することは従業員に与えたれた権利です。
従業員のこころと体を守るだけでなく、会社を守ることにもつながりますので、きちんと利用するようにしましょう。
福利厚生を導入、利用するメリット
福利厚生の導入には費用がかかりますが、企業側にとって以下のメリットがあります。
福利厚生のメリット(従業員)
採用活動で人が集まりやすい
最近は、多様的な考え方が広がってきていて、給与だけでなく福利厚生の充実化も就職・転職の理由になっています。大人数の採用を目指す新卒採用の機会では、武器になることも多いでしょう。実際に、新卒を対象にしたアンケートでは、福利厚生の充実を重視しているという声も聞かれています。
優秀な人材の確保
福利厚生を充実させることで、従業員に「ここで働き続けたい」「ここ以外で働きたくない」と思ってもらえるようになれば、優秀な人材の流出を防ぐことができます。働きやすく、プライベートを充実させやすい環境が整えば、離職率も自然に下がっていくでしょう。
業務効率の向上
休みがとりやすく、働きやすい環境が整っていれば、従業員のモチベーションも自然と高まっていきます。また、疲労や心労をきちんとリフレッシュできる環境にあれば、仕事中の集中力やパフォーマンスも向上します。
企業の信頼性、ブランドイメージの向上
福利厚生が充実していることは、企業の資本力が十分であることの証明にもなります。また、従業員を大切にしている「優良企業」というイメージにもつながりやすいです。最近は、企業PRとして福利厚生の充実化に力を入れている企業も少なくありません。
従業員のメリットは?
福利厚生は、従業員にとって生活の質を高め、人生を充実させる手助けになります。また、心身の健康維持に役立ち、仕事でもプライベートでもイキイキと過ごしていけるようになるでしょう。
「福利厚生はいらないから、もっと給料を上げてほしい」という人もいるかもしれませんが、人生の充実や心身の健康は、お金だけでは手に入らないものです。長い目でみれば、変えられない財産になると思います。
福利厚生の種類は?どんなものがあるの?
福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生があります。法定福利厚生は法律で定められた「必ず実施しなければいけないもの」で、法定外福利厚生は企業独自の判断で実施してよい福利厚生のことです。
最近は、企業イメージの向上のため、法定外福利に力を入れている企業が増えてきています。
法定福利厚生の例
- 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の一部負担
- 雇用保険料の一部負担
- 労災保険の負担
- 災害補償
- 児童手当拠出金 など
法定外福利厚生
- 通勤手当
- 住宅手当
- 家族手当
- 健康診断補助費
- 結婚・出産祝い金
- 社員旅行
- 社食サービス
- フィットネス
- 児童託児所手当 など
法定福利厚生については、何もしなくても自動的に受けられるものなので良いのですが、法定外福利厚生に関しては、従業員自ら積極的に申し出る、利用するなどしなければせっかくの制度が無駄になってしまいます。
福利厚生を正しく利用して自身の健康と仕事へのモチベーションを保つことは、企業側のメリットにもなるのですから、遠慮せずにどんどん利用しましょう。
最近は、カウンセラーを配置したり、ストレスチェックを行うなどして、従業員のメンタルヘルスを守る福利厚生を取り入れているところも増えてきています。カウンセラーに相談すること、ストレスチェックを受けることは、恥ずかしいことではありません。「ちょっと熱を測る」くらいの気軽な気持ちで受けてみましょう。
企業側の働きかけも大切
せっかく導入した福利厚生も、従業員が利用しなければもったいありません。経費も無駄になってしまいます。最近は変わってているとは言え、日本人は権利を主張しにくい気質を持っています。福利厚生を利用することは、会社のためになるのだから、どんどん使うように促してあげましょう。
まずは、社長や役員など、上役にあたるものが積極的に利用するようにすると、一般の社員も利用しやすくなります。また、どうやって使ったら良いか、パートやアルバイトなどの非正規雇用の人は自分が福利厚生を利用できると知らない場合もありますので、利用していないようであったら声をかけてあげるようにしましょう。
もちろん、従業員側の人は積極的に利用し、わからないことがあれば専門部署に問い合わせ、制度を無駄にしないようにしてください。
従業員に人気の福利厚生サービスは?
年齢層や性別にもよりますが、従業員の目線からでは、食事や家賃補助、住宅手当、健康診断の補助、宿泊・レジャー施設の割引きなどが喜ばれているようです。また、介護休暇や育児休暇、バースデー休暇などの休暇制度の充実や、リフレッシュルームや託児所、授乳室の充実化なども人気があります。
せっかく導入するのであれば、喜ばれるものを導入するべきです。企業側は、アンケートなどで意見を求めても良いですし、直接感想を言い合える関係性を保つように心がけましょう。
メンタルヘルスを守るための福利厚生の利用方法
メンタルヘルスを守るためには、まずストレスを溜めないことが大切です。与えられた休憩や休暇はしっかりとり、心身をきちんとリフレッシュしましょう。ストレスチェックやカウンセリング、健康診断もきちんと受け、自分の健康状態を把握するように心がけてください。
体の健康はこころの健康に直結します。社食や昼食補助がある場合は、バランスの良い食事を選ぶようにしてください。土地柄にもよりますが、野菜は高価になりやすいので敬遠されがちです。積極的に野菜をとるようにしましょう。
だるくなってしまい効率が落ちる人もいるので無理に利用する必要はありませんが、シェスタやマッサージの福利厚生がある場合も、相性に合うようであったら利用してみてください。これは旅行やレジャーのサービスも同様です。
ただ、1人でのんびり過ごしていたほうがリフレッシュできる場合もあります。「自分にはこの福利厚生は合わない」と思うようなら、一度「こんなサービスが欲しい」と声を上げてみるのもいいかもしれません。
おわりに:福利厚生はどんどん使うことが大切。利用しやすい環境を整えて
福利厚生は、従業員にとっても企業にとってもメリットがあるサービスです。形骸化したサービスにしないためにも、上司にあたる人から積極的に利用して「使いやすい環境」を整えるようにしましょう。
ただし、自分に合わないサービスを無理に利用すると、かえって疲れやストレスが溜まってしまうかもしれません。無理に利用する必要はありませんが、こんなサービスが欲しいと何らかの形で伝えることをおすすめします。
コメント