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ストレスで胃が痛いのは何が原因?何科に行けばいい?

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ストレスで胃が痛い人が医師に相談している ストレス
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ストレスを感じると胃が痛くなる、と感じる人は少なくありません。漫画やアニメなどのフィクションでも、胃痛は心理的なストレスを感じたときの表現としてよく使われています。つまり、それほど胃痛とストレスは関連性があると考えている人が多いのです。

では、ストレスで胃が痛くなるのはどんなことが原因なのでしょうか。そして、胃痛が起こったら何科に行けば良いのでしょうか。

この記事を読んでわかること
  • ストレスで胃痛が起こる理由
  • 胃痛を引き起こす原因
  • ストレスによる胃痛の特徴
  • ストレスによる胃痛の対処方法
  • ストレスで胃痛が起こったときの病院への相談の仕方
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ストレスで胃が痛くなる原因は?

ストレスには仕事によるもの、人間関係によるもの、介護や家庭の問題によるものなどさまざまな身体的・精神的ストレスがありますが、なぜこうしたストレスで胃が痛くなるのでしょうか。これは、胃や十二指腸などの消化器官の働きを調節するのが自律神経だからです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、ストレスによる刺激はこれらの神経の働きに影響します。

具体的には、脳から「副交感神経(のうち、迷走神経)」を伝って胃が刺激を受け、過剰な胃酸やペプシン(タンパク質分解酵素)の分泌と胃の蠕動運動が促進され、胃の緊張が増し、胃壁が痛みやすくなります。さらに、「交感神経(のうち、内臓神経)」を伝う刺激では胃の血管が収縮して血流を減らし、胃の粘液や重炭酸の分泌を減少させ、胃壁を保護・修復する働きが弱くなります。

つまり、ストレスを受けると胃の血液循環や粘膜分泌が減って胃粘膜の抵抗力が弱まり、逆に胃を攻撃する胃液(胃酸)の分泌が増えるため、胃に炎症や潰瘍ができて胃痛となるのです。さらに、ストレスによる副腎皮質ホルモンの増加も、胃酸やペプシンの分泌を増やして胃粘液の分泌を減らすことがわかっています。

また、交感神経が優位になることで血流が滞り、胃に異常が現れる場合もあります。胃で分泌された大量の酸がそのまま十二指腸に流れ込むと、酸に弱い十二指腸壁は大きなダメージを受け、十二指腸潰瘍を発症しやすくなります。胃よりも十二指腸の方が先にダメージを受けて炎症を起こしてしまう人も多いでしょう。

胃炎や胃・十二指腸潰瘍の症状としては「上腹部の痛みや不快感、胸焼け、膨満感、食欲不振、吐き気、嘔吐」などがあります。胃壁や十二指腸壁からの出血が多い場合、吐血や下血をきたすこともありますので、吐瀉物の中に血や凝血が混ざっていたり、便の色が黒っぽかったりする場合はすぐに病院で精密検査を受けましょう。貧血が進んだり、胃壁穿孔や十二指腸穿孔、腹膜炎などに進行してしまったりすると生命に関わることもあります。

ストレスが原因で起こるストレス性胃腸炎の症状は?

ストレス性胃腸炎とは、前述のように心理的・身体的ストレス(不安や緊張・イライラ、疲労や睡眠不足など)を受けることで、腹部に痛みが生じるものです。具体的には、以下のような症状に当てはまる場合、ストレス性胃腸炎の可能性があり、当てはまる数が多いほど、ストレス性胃腸炎を発症している可能性が高いと考えられます。

  • 胸焼け
  • 下痢
  • 便秘
  • 吐き気
  • 疲労感
  • 腹部膨満感
  • 食欲不振
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 不安感
  • めまい
  • 不眠

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ストレスで胃が痛いのに胃に異常がないこともある?

ストレスで胃が痛くなり、病院に行って検査をしたものの、炎症や潰瘍などの異常が見つからないという場合もあります。それが「機能性ディスペプシア(functional – dyspepsia/FD、機能性胃腸症)」と呼ばれる疾患です。

「ディスペプシア」とは「消化不良」という意味で、胃の痛みや食後の胃もたれなどといった症状は出ているにも関わらず、内視鏡検査・腹部エコーなどの検査で胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどのような異常が見つからないため、「機能性」と呼ばれています。

機能性ディスペプシアは決して珍しい疾患ではなく、日本人の4人に1人(約25%)が機能性ディスペプシアを発症しているとされています。誰でもかかりうる疾患として覚えておいた方が良いでしょう。異常がないため生命にかかわるものではありませんが、つらい症状が続くことから、患者さんのQOL(生活の質)は大きく低下してしまいます。

病院で検査してもはっきりとした異常が見られないことから、これまでは「慢性胃炎」や「神経性胃炎」と診断されていましたが、本来「胃炎」とは、胃カメラで胃の粘膜に炎症が起きていることが確認できるもので、症状がなくても炎症があれば「胃炎」なのです。そこで、症状があるのに実際の炎症がない、という場合を「機能性ディスペプシア」と呼ぶようになりました。

機能性ディスペプシアの主な症状は、以下のようなものです。

  • 食後の胃もたれがつらいと感じる
  • 食事を始めた後、すぐに食べ物で胃がいっぱいになるように感じてしまい、それ以上食べられなくなる(早期膨満感)
  • みぞおちの痛み(心窩部痛)
  • みぞおちが焼ける感じ(心窩部灼熱感)

この機能性ディスペプシアが、ストレスによって引き起こされることもあるのです。脳と腸管は相互に密接に関係しています(脳腸相関)が、不安や抑うつ症状、生育期の虐待歴など、心理的なストレスが原因となって胃や腸の運動や感覚に変化が起き、機能性ディスペプシアを引き起こす場合があります。また、ストレスによって増えた胃酸が胃や十二指腸の知覚に影響することもあります。

機能性ディスペプシアを引き起こす原因としては、他にも以下のようなものが考えられます。

胃や十二指腸の運動が障害されている
胃排出(食べたものを胃から十二指腸へ送る)の異常、または胃適応性弛緩(食事のときに胃が拡張し、食べ物を貯留しておく能力)の異常
胃排出は、遅すぎても早すぎても症状と関連する
胃適応性弛緩は、通常の食事量が食べきれずすぐお腹がいっぱいになってしまう「早期膨満感」と関連する
胃や十二指腸の知覚過敏が生じている
知覚過敏とは、少ない刺激でも痛みを感じるなどの症状が出やすくなること
健常者よりも軽い胃の拡張刺激によって症状が出てしまう
十二指腸での胃酸や脂肪に対し、知覚過敏となって症状が出ることも
ヘリコバクター・ピロリ菌への感染
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌によって症状が軽快することがある
遺伝的要因
生まれつき機能性ディスペプシアになりやすい人がいる
サルモネラ感染など、感染性胃炎にかかったことがある
感染性胃炎の既往歴がある人は、機能性ディスペプシアにかかりやすくなる可能性がある
アルコール、喫煙、不眠など生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れから機能性ディスペプシアにかかることも
生活習慣を見直し、改善することで症状が改善する可能性がある
胃の形態
特に瀑状胃(ばくじょうい、胃の上部が拡張し変形したもの)など、胃の変形が機能性ディスペプシアを引き起こすことがある

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多分ストレスで胃が痛いと思ったとき何科に行けばいいの?

ここまでストレスが原因となる胃痛についてご紹介してきましたが、実際にストレスが主な原因となって胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすことはまれです。では、なぜ胃痛がストレスと直結して連想されるのかというと、既に別の原因で胃や十二指腸に炎症や潰瘍ができていて、ストレスによって悪化することで、痛みなどの症状が酷くなって現れてくることが多いからです。

とはいえ、ストレスが直接の原因ではなくても、ストレスによってそもそもの病気が悪化していることは事実ですから、痛みが続くようなら早めに病院に行き、原因を解明しておく必要があるでしょう。強いストレスが続く人は、病院での胃腸の治療に加えて、ストレスの原因を取り除いたり、生活習慣を整えたりと胃腸の調子を改善する工夫をしなくてはなりません。

このとき、最初に何科に行けば良いのかという問題ですが、胃腸の痛みですから「内科・消化器内科」を受診するのが良いでしょう。そうすることで、そもそも胃腸に炎症があるのかどうか、異常のない「機能性ディスペプシア」なのかなどを確認し、最もつらい腹部の痛みという症状を軽減できます。

また、胃腸の痛みは「よくあること」「軽い痛みだから大丈夫」「一晩寝れば治るだろう」と軽視してしまう人も多いのですが、胃腸は全身の臓器の中でもかなり「辛抱強い」部位であることを念頭に置いておく必要があります。肝臓が「沈黙の臓器」であるように、胃腸は消化器官の中でも生命維持に非常に重要な役割を持つため、少しの異常では症状を発しにくくなっているのです。

そのため、症状が出てきたら軽度な場合でもそれなりに胃腸に負担がかかっていることを自覚する必要があります。ごく軽度な痛みや違和感の場合は、まず生活習慣を整えたり、ストレッサーとなっている原因を自分なりに取り除いたりしてみましょう。それでも症状が改善されず、1ヶ月以上続く場合は病院に行くのがおすすめです。

また、市販の胃腸薬を飲む場合は、飲み始めて2週間経っても胃腸の症状が改善されなければ病院を受診しましょう。市販薬が合っていないか、市販薬では手に負えない状態になっていると考えられるからです。わずかな痛みや違和感だからと軽視せず、胃腸の不具合が続いている場合は心身のどこに原因があるのかを病院で検査し、特定しておきましょう

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おわりに:ストレスで胃が痛くなるのは、胃の炎症や潰瘍が引き起こされるから

ストレスを受けると自律神経が刺激され、胃酸の分泌が増えたり胃粘膜の抵抗力が下がったりして、胃壁や十二指腸壁が傷つけられるため、炎症や潰瘍を引き起こして胃痛が生じます。また、炎症がなくても痛みが生じる「機能性ディスペプシア」の場合もあります。

ストレスが原因でなくても、ストレスによってもともとの疾患が悪化して胃痛が起こる場合も多く見られます。胃痛が1ヶ月以上続くようなら、消化器内科を受診しましょう。

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