ストレス社会と呼ばれる現代、リラックスしたいと考える人は多く、その一つとしてヨガを利用する人も増えています。ヨガとは呼吸法を中心に心身の緊張を解きほぐすための健康法の一つで、最近では美容のためにヨガを始める人も多いです。
この記事では、ヨガの目的や期待できる効果、リラックスできるのはなぜなのか、リラックス効果を高めるために気をつけることなどをご紹介します。
- この記事を読んでわかること
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- ヨガとは何か?
- ヨガでリラックスできる理由
- ヨガのリラックス効果をより高めるためのポイント
ヨガの目的と期待できる効果とは?
ヨガとはサンスクリット語で「つながり」を意味し、心・体・魂の3つがつながっている状態のことを表します。呼吸・姿勢・瞑想を組み合わせて心身の緊張をほぐし、心の安定や調和、統一、バランスや安らぎを得るものです。体や心はもちろんのこと、以下のように呼吸や食べ物など人間の活動のさまざまなカテゴリーに関係します。
- 姿勢や動作の異常
- 栄養の異常、過不足
- 欲望や感情の不均整と不安定
- 迷いや執着、誤解
- 仕事や家庭、環境などの異常や、無理な状態
- 筋肉・内臓・神経・骨格など体の異常
こうしたさまざまな異常を自分でコントロールし、修正するためにヨガを行います。そのため、特に意識的な呼吸が大切とされます。医学的にも、ヨガを行うことで以下のような効果があるとされています。
- 肺活量と呼吸量が大きく増加する
- 体重減少、肥満解消
- ストレスに対する抵抗力がアップ
- コレステロールや血糖値の低下
- 慢性的で再発を繰り返す腰痛を改善
ヨガでは呼吸法が重要ですが、その目的は血液や脳に酸素をより多く送ることであり、生命エネルギー(プラーナ)をコントロールすることです。単なる酸素と二酸化炭素の交換に留まらず、「気」をコントロールするという意識で行うことで、活力と集中力を高め、体と心を統合していきます。
正しくヨガが行われれば、呼吸が「心と体の架け橋」となっていることを体感できるでしょう。そして、実践し続ければ健康増進・精神安定・回復能力などが得られ、真の意味で健康な人間になれると考えるのがヨガです。ヨガは激しい運動や体力を必要としないため、以下のような方におすすめです。
- 筋力がない、運動が苦手
- 冷え、だるさ、肩こり、むくみなどを改善したい
- 病院に行くほどではないものの、不快な症状に悩んでいる
- 女性特有の不快症状などを緩和したい
- 多忙でストレスフルである
- 自分を見つめ直す時間がほしい
- リラックスしたい
- 自然との結びつきを感じたい
ヨガを実践し続けると心にも体にもさまざまな効果が期待できますが、具体的には以下のようなものがあります。
- 心に対する効果
- 心が落ち着く(リラックス効果)
- 内観性が高まり、自分自身とじっくり向き合える
- 集中力や感情をコントロールする力がアップする
- ポジティブになり、やる気がアップする
- ストレスやうつ症状を緩和したり、耐性をつけたりする
- 体に対する効果
- 体のゆがみ、くせを直す
- 血流が良くなり、疲労解消につながる
- 肩こりや腰痛、頭痛、冷えや便秘、更年期、月経障害などの病気の予防・改善
- シェイプアップ効果、姿勢が良くなる、内臓が活性化され体内環境を整える
- 自然治癒力や免疫力を高める、自律神経を整える
- 慢性的な症状を緩和する、ホルモンバランスの調整や強化をする
- 骨が丈夫になる、関節の動きがスムーズになる
- 体の柔軟性が高まり、ケガ予防につながる
- 寝つきが良くなり、長く眠れるようになる
- 血流やリンパ流の流れがスムーズになり、新陳代謝が活発化する
もちろん、この効果はあくまでも一例であり、どの効果が現れるか、いくつ現れるかは個人差がありますが、体にとってより良い状態になることは期待して良いでしょう。それぞれの体型や体格によって体の動かし方にも特徴があり、求める効果や気持ちの良いポーズ、運動量なども異なってきます。
ヨガでリラックスできるのはなぜ?
近年、日本で広く流行したヨガはフィットネス的な健康法としてすっかり馴染みがあるものとなっています。しかし、古代から伝わるヨガは、そもそも自分と向き合って精神を整えることを目的としてきました。そのため、さまざまなポーズや瞑想の中でも、最も呼吸法が重要視されてきたのでしょう。
息を鼻から深く吸い、鼻から深く吐くという長くゆったりした呼吸法が、リラックス効果のある副交感神経を活性化し、気持ちを落ち着かせてくれます。副交感神経が優位になると、血行が良くなって体のすみずみまで血流が巡りますので、筋肉がゆるんで体全体のリラックスにつながるからです。
忙しい現代人は、気づかないうちに呼吸が短くなってしまいがちです。例えばパソコンを使うとき、集中しすぎて無意識のうちに顔がディスプレイに近づくと、猫背のような姿勢になってしまいます。すると胸が縮こまり、肺が圧迫されるため呼吸が浅くなってしまうのです。
また、日々のストレスも呼吸に関係しています。息が詰まるという表現がありますが、人はストレスを感じると呼吸が浅くなったり、首や肩の筋肉が緊張してしまったりします。肩こりの原因になることもありますので、緊張した心身に深い呼吸で新鮮な空気を送り込むイメージでヨガを行いましょう。
ポーズをとりながら呼吸を整え、ゆっくりと流れる時間を感じるヨガは気持ちが落ち着き、普段使わない筋肉が動かされて血行が促進され、滞っていた血流が促進されて手足の先まで巡りが良くなり代謝もアップします。体中の巡りが良くなりますので、体に溜まっていた疲れも改善されていくでしょう。
このように、ヨガは体の緊張だけでなく、心の緊張も解く効果が期待できます。ヨガの深い呼吸によって自律神経のバランスが整うと、ストレスの改善にも役立ちますし、ポーズを一つ一つ確実に行うことで、自分と向き合う時間や自分を見つめ直す時間ができ、心の安定に繋がるのです。イライラしたり落ち込んだりしたときでも、ヨガをすることで心も体も落ち着くでしょう。
ヨガは誰かと競うスポーツではなく、周囲の目を気にせず自分の体や気持ちに意識を向け「今自分が求めていること」に耳を傾ける、自分だけの時間と言えます。忙しい毎日を送っていると、ついついリラックスする時間を持つことも忘れてしまいがちなのですが、ヨガをすることで自然と頭を空っぽにして休める時間を持つことができるのです。
ヨガのリラックス効果を高めるために気をつけることは?
ヨガのリラックス効果を高めるためには、まず正しい呼吸法が大切です。呼吸によるリラックス効果をもたらす大きな要因は、自律神経の中でも副交感神経が活性化されるからでしょう。ヨガの呼吸法とよく似たやり方や目的をもって行われる療法は多く、深い腹式呼吸でリラックスすること、それによる意識的な副交感神経の活性化は自律神経の訓練にもなることがあります。
例えば、ベルリンの精神科医J.H.シュルツの提唱する「自律訓練法」は、自己催眠を行うことでストレスやイライラを解消するものです。この訓練が終わった後には、必ず最後の調整として背伸びと深呼吸を行いますが、これを行わないと不快感や脱力感が出るとされています。意識的に自律神経を鍛えた後は、呼吸によって整える必要があるということです。
さらに、丹田呼吸法という、直接的に呼吸法によって行う訓練もあります。丹田(腹筋の部分)を使って大きな呼吸を行うことで、過剰に緊張している自律神経をリラックスさせるものです。下腹のあたりを意識して行う呼吸なため腹式呼吸とよく似ており、やはり深い呼吸によって自律神経が整います。
ヨガでは、じっくりと時間をかけて深い呼吸を行います。正しい呼吸法でゆっくりと空気を交換することで、体の血行が促進されて血の巡りが良くなり、心が落ち着いてリラックスを感じられるのです。不調を感じていた心身が和らいでいき、肩のコリや腰の痛み、首のコリ、腕や足のだるさなどの疲れがとれやすくなりますので、体がすっと軽くなっていくでしょう。
体の不調が和らいでいくと、心も落ち着きを取り戻し、イライラを解消できます。イライラやストレスによって便秘を引き起こすこともありますので、便秘に悩まされている人はヨガを行うことで改善される場合もあります。しかし、速く浅い呼吸のままでは、思うような効果は得られません。
ヨガで精神を落ち着かせるために大切なことは?
精神を落ち着かせるためにヨガを行う場合、頭の中を無にしてポーズを取りながら呼吸を整え、ゆっくりと流れる時間を感じることが重要です。ヨガの最中はあまり余計なことを考えず、正しい呼吸を行うことに集中しましょう。精神を統一して安らぎを得ることができますので、気持ちを落ち着けストレス改善にも役立ちます。
特に精神的な安定を得る効果が高いとされるヨガとして「山のポーズ」や「太陽礼拝のポーズ」が挙げられます。
- 山のポーズ
- あらゆる立ち系ポーズの原型とも言われる、非常に有名なポーズ
- 完全にマスターすれば平衡感覚を整えられて心が安定し、立ち姿もキレイに
- ヒップアップやウエストの引き締めにも効果あり
- 太陽礼拝のポーズ
- 名前の通り、太陽への感謝の気持ちを込めて祈るという意味合いがあるポーズ
- 体全体を使ってポーズを取るので気分転換にもなり、呼吸を合わせてポーズを取れば血行促進にもなる
ただし、ヨガを行うときは無理をしないことが大切です。人によって体の硬さは違いますので、体が比較的硬めの人が、比較的柔らかめの人と同じような動きをすることはできません。無理をすると体を痛めてしまいますし、ストレスも溜まってしまいますので、くれぐれも無理せず自分のペースで行いましょう。
ヨガを夜に行うときに注意することは?
夜に行うヨガで自律神経を整えれば、リラックス効果から快眠につながります。ヨガ特有の呼吸法によって心身をリラックスさせ、一日のストレスを解消することで、深い眠りを得られるでしょう。そのためには、「正しい呼吸法を行うこと」「食後、時間を空けてから行うこと」の2つのポイントに注意しましょう。
- 正しい呼吸を行う
- ヨガは腹式呼吸なので、深く息を吸って吐き、自律神経を整えて副交感神経を活発にする
- 緊張していると副交感神経が活発になりにくい
- 呼吸法でリラックスしながら、ポーズで適度に体をほぐしていこう
- 食後、時間を空けてから行う
- 夕食に限らないが、食後すぐに行ってしまうと内臓に負担がかかるため避ける
- 食事の後は、2〜3時間以上空けて行う
- 夜行う場合は寝る直前でも構わないので、時間がないからと食後すぐに行わないよう注意する
ヨガは体を激しく動かすスポーツではなく、あくまでも呼吸法をメインとして体をほぐしていくことが目的です。そのため、ポーズを正しくすることよりは、正しく呼吸を行うことに重点を置いて副交感神経を働かせましょう。体の声を静かに聴くイメージで、脳や体を休めて十分にリラックスすることが重要です。
おわりに:ヨガは腹式呼吸で副交感神経を活性化し、リラックスできる
ヨガはサンスクリット語で「つながり」を意味し、心・体・魂がつながっている状態のことを表します。メインは深い呼吸によって全身に新鮮な酸素や気を送ることで、ポーズによって体をほぐしながら心の安定もはかれます。
深い呼吸によって副交感神経が活性化されると、心身のリラックス効果が得られます。ヨガを行う際には正しいポーズよりも正しい呼吸法を意識し、じっくりと時間をかけて深い呼吸を行いましょう。
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