育児は休日も休憩時間もなかなか取りにくく、大変なものです。特に、近年では核家族化が進み、育児の負担が母親一人にかかってしまうことも少なくありません。そのため、育児疲れや育児ストレスは社会問題にもなりつつあります。
今回は、そんな育児疲れや育児ストレスの原因とセルフチェックの方法、育児疲れや育児ストレスをどうやって解消するのかについてご紹介します。
育児疲れ、育児ストレスの原因とは?
日本が、人口の4人に1人が高齢者である「超高齢社会」を迎えたのは2007年のことですが、一方で出生率や出生数も減少を続けており、2019年の出生数は90万人を割りました。このような「超少子化社会」とも言える日本では、乳児に接する機会も極端に減少しています。つまり、核家族化が進み、親戚づきあいや近隣づきあいがどんどんなくなっているのです。
親戚づきあいや近隣づきあいは、人によっては煩わしいものと考えてしまうことも多いのですが、こと育児においてはそれだけとも言いきれません。例えば、普段からご近所づきあいが多く良い関係を保っていれば、お互いの子どもを預け合うこともあるでしょうし、育児に行き詰まったときに相談したり、愚痴を言い合ったりすることもできるでしょう。
育児をする上でストレスを抱えない人はまずいないと考えられます。それは、仕事で全くストレスを感じない人はいないのと同じことです。そして、仕事でストレスが溜まりすぎれば過労で倒れてしまうのと同じように、育児ストレスが過剰に溜まりすぎれば虐待につながる可能性も否定できません。実際に、児童虐待に関するニュースは連日報道されています。
そこで、育児ストレスの原因をしっかり認識し、減らす工夫を行うことと、育児疲れや育児ストレスを上手に解消していくことが重要です。まず、育児ストレス(育児に関連するストレス)の原因について調べた研究では、2007年に岩手の2村に住む199人の乳児の母親を対象に行われた調査があります。
この調査では、育児に関連するストレスを「育児そのものに対するストレス」「母性意識」「対児感情」「夫との関係性のストレス」「特性としての不安の大きさ」「特性としての怒りの大きさ」の6つの尺度から検討しています。特性としての不安や怒りとは、一時的な感情の振れ幅としての不安や怒りではなく、もともとその人自身が持っている不安の感じやすさ、怒りっぽさなどのことです。
この研究によれば、育児ストレスの原因は親自身が持ち合わせている不安や怒りに強く関連すると示されています。しかしそれだけではなく、親という役割に対する意識や、パートナーとの関係性、子どもに対する否定的な感情などもやはり育児ストレスに影響していたのです。一方、子どもに対する肯定的な感情は育児ストレスに関連しないとわかりました。
つまり、もともと不安や怒りを抱きやすい性質を持っている人ほど、パートナーに対するストレスや子どもへの否定的な感情、親という役割への意識などさまざまな要因が影響し、育児ストレスが生じやすくなるのです。さらに、産休・育休中の母親とフルタイムで働く母親、専業主婦の母親の3グループに分けて比較したところ、以下のようなことがわかりました。
- 積極性や母親としての肯定的な意識は、産休・育休中の母親が一番低い
- 子ども関連の育児ストレスは、専業主婦の母親よりも産休・育休中の母親が高い
すなわち、産休・育休中の母親は自分に対して否定的な意識を抱きやすく、消極的な傾向があり、さらに子ども関連のストレス値も高いことから、フルタイムで働く母親や専業主婦の母親よりもさまざまな育児ストレスを溜めやすいと言えるでしょう。夫の両親と同居している世帯では、義母との育児に関する意見の相違がストレスとなることもあります。このストレスは、子どもの夜泣きや睡眠などのストレスに次いで大きなストレスとされています。
このような育児疲れ・育児ストレスの根本的な原因として、「一人になれる自由時間がない」ということが挙げられます。どれだけ子どもに対して愛情を持っていても、家族仲が良くても、24時間いつも一緒にいるとどうしても気を使います。そんなとき、大人同士であればいったん離れて頭を冷やし、後で話し合って修復することができますが、乳児や幼児の世話はそういうわけにいきません。
一人になってリフレッシュする時間が持てないと、身体的にも精神的にも慢性的な疲労が溜まっていきます。実際に、複数の調査で、育児中の課題として「自分の時間がない」ことが挙げられていることからも、母親の自由時間がないことは大きな問題だとわかります。特に、未就学児の母親が自分のために使える時間は1日1時間未満という調査結果もあります。
24時間体制で子どものケアをしながら、家事を負担してその上仕事もこなし、体力的にも休む時間がなく、精神的にリフレッシュできる時間もない、となれば、心身のストレスが溜まっていくのも当然でしょう。母親は、常に子どもや家族を優先してしまい、自分の時間を持てずにいることで、育児疲れやストレスを溜めてしまっているのです。
育児疲れ、育児ストレスの原因は一つじゃない?
前述のように、育児疲れや育児ストレスの原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。子どもに関すること、パートナーとの関係性、ママ友、義父母との関係性、自分自身に関わることなど、以下のようにさまざまな要因が挙げられます。
- 子どもについて
- 子育てに自信がなく、自分の育児が正しいのかどうかわからない
- 子どもが言うことを聞いてくれない
- 子どもの発育に不安や悩みがあるが、誰にも相談できない
- 自分の周囲、育児の環境について
- 悩みを相談できる人がいない
- ママ友との付き合いを楽しめない
- 誰にも認められていないように感じる
- 自分のキャリアについて
- 経済的な安心感がない、または乏しい
- いつかは社会に復帰できるのか(復職できるのか)の不安
- かつての同僚や社会から置いていかれるような気になる
- 自分の身体について
- 一人になれる時間が全くなく、身体を休める時間が取れない
- 疲れが溜まり、ついイライラしてしまう
- 日本の文化・風土的な悪影響
- 妻や母親としての役割に負担が大きく、かつ完璧にこなすことを求められる風潮
- 「三つ子の魂百まで」「三歳児神話」などが根強く信じられている
- 褒めることを良しとしない文化的背景
特に母親に育児の負担がかかりやすい原因として、日本では「三つ子の魂百まで」ということわざや「三歳児神話」という説がいまだに根強く信じられていることが挙げられます。これは、3歳までの時期に母親が育児に専念し、子どもの世話をしっかり行わないと子どもの将来に悪影響がある、と考えられていたものです。
しかし、これらのことわざや俗説は、1998年の「厚生白書」ではっきりと「根拠がない」と否定されています。当然ながら、日本でも海外でも、3歳までに母親が育児に専念していなくても立派に成長している人はたくさんいますし、逆に母親が育児に専念していたからといって、必ずしも子どもが親の思ったように成長するわけではありません。
0歳や1歳から子どもを預けて働く母親にとって、こうした俗説は大きなストレス要因となります。さらに、日本の「謙遜が美徳」という文化がストレスを深めてしまうことも考えられます。どんなに母親が努力して子どものため、家族のために尽くしていても、周囲、特に一番認めてほしい家族から十分に褒めてもらえないという状態になってしまいます。
しかも、子どもの良い面を十分に伸ばしたとしても、母親本人だけでなく子どもも褒めてもらえないことがあります。そんな中では、母親自身も子どもも健全な自己肯定感(自信)を育てられません。さらに、母親や子どもの努力に加え、育児に関連する困りごとやストレスをパートナーに相談しようとしても、共感できない、伝わらないということも決して少なくありません。
とはいえ、昨今の少子化傾向から、政府や自治体は子どもを地域全体で育てるためのさまざまな社会政策を打ち出しています。一人で悩まず、まずはさまざまな公的福祉サービスを利用することを考えてみてはいかがでしょうか。
育児疲れ、育児ストレスのチェック方法は?
前述のように、育児疲れ・育児ストレスにはさまざまな要因があります。育児疲れやストレスが全くない人はいないと言われるように、育児疲れやストレスを完全になくすことはできません。ですから、育児ストレスをなくすと考えるのではなく、ストレスをコントロールする「ストレスマネジメント」という考え方が大切です。
ストレスマネジメントのためには、まず自分がイライラしたりストレスを抱えたりしていることに気づく必要があります。気づかないまま身体がストレス状態に慣れてしまうと、自覚のないまま長期間のストレスにさらされてしまいますから、自分自身がストレスを抱えていることに気づき、悪循環を断ち切るよう働きかける必要があるのです。
ストレスに気づくためには、客観的な目線からのセルフチェックが必要です。まずは、体調・メンタル・思考の面で以下のような症状が現れていないか、思い返してみましょう。
- 体調面
- 頭痛、肩こり、目の疲れ
- 動悸や息切れ、吐き気や食欲不振
- メンタル面
- 不安や緊張感が強い
- 小さなことでもイライラしてしまう
- 憂鬱になる、気分が落ち込んで何をしても楽しいと思えない
- 周囲の人から「表情が暗い」「元気がない」と言われることが増えた
- イライラしている、口数が減ったなどと指摘されることが増えた
- 思考面
- 考えがまとまらず、混乱してしまう
- いつも同じことをぐるぐると考え続けてしまう
- 普段なら気がつくような簡単なことに、なかなか気づけない
こうした症状がある場合、まず深呼吸したり身体をリラックスさせたりして心身の緊張をほぐしましょう。感情がある程度落ち着いてきたら、イライラや不安、体調不良の原因となるような出来事やきっかけについて考えてみると、ストレスの原因に気づけるかもしれません。身体と心、思考はつながっていますので、イライラが身体の症状として出たり、疲れから思考がまとまらなくなったりします。まずは、自分の状態に気づきましょう。
他にも、以下のようなことを意識的・無意識的に関わらず思ってしまっているようなら、ストレスが溜まっている可能性が高いと考えられます。
- 最近、家族でご飯を一緒に食べていない
- 最近、子どもと一緒に公園などへ遊びに行っていない
- 最近、近所の人とあまり会話ができていない
- 自分の子どもが可愛く思えない
- 育児雑誌のとおりに行かなくて悩んだり、不安になったりする
- 地域の行事にあまり参加できていない
- 子どもが産まれてこなければ良かった
- 最近、子どもの遊び相手や話し相手になっていない
- 最近、パートナーとよく喧嘩してしまう
- 子育てに追われ、自分の時間がとれていない
- 子どもにどう接していいかわからない
- イライラして子どもを叩きそうになった、あるいは叩いてしまった
- 子どもが言うことをきかない
- 子どものしつけに多少の体罰は必要だ
- 身近に子どものことを相談できる人がいない
- 自分ひとりで子どもをしっかり育てなくてはならない
- 自分の子どもに、ある特定の子どもと遊ばないように言った
- 子どもが自分になついていないのではないか
- 他の子どもと自分の子どもを比較してしまう
- 最近、パートナーが子育てに協力してくれていない
- 子どもを叱った後、後悔してしまう
育児疲れや育児ストレスはどうやって解決すればいい?
育児疲れや育児ストレスに気づいたら、次にそのストレスを解消していきましょう。具体的には、すぐにできる方法、根本的な受け止め方を変える方法、周囲の人と一緒に解決していく方法の3つに分けてご紹介します。
育児疲れやストレスを解消するため、すぐにできる方法とは?
育児疲れやストレスに気づいたら、まずはすぐにできる対処法でイライラや不安、緊張感をほぐしていきましょう。
- 美味しいものを食べる
- ストレスが溜まると甘いものがほしくなる人は多いが、実際にさまざまな研究でも甘いものがストレス解消に役立つとわかっている
- 育児のストレスは、ストレスの原因をなくすことが難しい場合も多い
- 甘いものや美味しいもの、好きなものを食べて気分転換すると、ストレス解消になる
- 泣く
- 泣ける映画や動画を見て思いっきり泣くことも、ストレスから回復する方法の一つ
- 子どもを寝かしつけた後で泣ける映画を見る、子どもが理解できるくらいの年齢なら一緒に見るなどもおすすめ
- 子ども向けアニメでも、大人でも泣けるものもたくさんある
- 笑う
- 泣くだけでなく、笑うこともストレス解消に
- 笑いやユーモアは、ストレスに対抗する力や免疫力アップにも効果的
- 笑うだけで前向きな気持ちになれることを経験した人も多いはず
- 一度、笑いやユーモアを交えることで、その状況を客観的に捉えられるというメリットも
- 客観的になると、イライラするほどのことでもなかったということも多々あるはず
- お笑い番組を見たり、子どもと一緒に楽しいことを探したりするのもおすすめ
- 音楽を聴く、歌う
- 音楽には、気持ちを落ち着かせてくれる効果があるとされる
- 知っている曲を聴くよりも、リズムが安定していてゆったりしたリラクゼーションが適している
- ある実験によれば、15分程度の音楽鑑賞でもリラックス効果があるとわかっている
- 運動する
- 身体を動かして全身のバランスが整うことで、精神的にも安定する効果が期待できる
- 育児中はまとまった運動時間をとるのは難しいが、特別な運動でなくてOK
- 1日15分程度、歩いたりストレッチしたりするだけでも緊張がほぐれる
- 十分な睡眠をとる
- しっかり寝ることで、体調を整え気持ちを安定させられる
- 睡眠不足は多くの育児ストレスの要因で、近年は第一子の出産年齢が上がっていることからも、睡眠不足から母親が体力的な不安を抱えやすい
- 睡眠不足で体力的な不安を感じたら、周囲に助けを求めて睡眠をしっかりとることが重要
- お風呂に入る
- 湯船につかることで血行がよくなり、リラックスして精神的に安定する
- 忙しいとシャワーだけになりやすいが、たまには湯船につかることが重要
- ストレス解消だけでなく、睡眠の質も上がるので、週末はパートナーに子どもの世話を任せて湯船にしっかりつかるとよい
- 日記などに気持ちを書く
- 気持ちを書き出すことは「筆記開示」とされ、場所も時間も選ばず一人でできる
- 些細な日常を書くよりも、衝動的・感情的な出来事を書き出すとストレスが減って心の健康を保ちやすかったという研究結果も
- 育児でイライラしたときの気持ちを書いておくと、育児日記にもなる
- 自分で自分を褒める
- 日記を書くときには、自分で自分を褒めるのも自尊心が高まり、落ち込みからの回復力アップにおすすめ
- 育児も家事も仕事も頑張っている自分は、ぜひ自分自身で一番褒めてあげよう
- アプリでストレス解消
- ゲームなどでなくても、動画を見たり、音楽を聴いたり、日記をつけたりとストレス解消をアプリで実践できることも
- アプリ上で悩みを書いたり、褒めてもらったりするのもおすすめ
- 子どもがいるときにアプリを触りづらいと考える人もいるかもしれないが、ストレス解消のために便利なものは使った方が良い
もちろん全てを行う必要はなく、自分にできそうなこと、やりたいと思えることをしてみましょう。どうしても時間がないときなら、ご飯を食べるときに好きなものを自分ご褒美として食べてみるだけでも気分転換になります。もう少し時間がありそうなら、日記アプリや動画アプリで気持ちを書き出したり、音楽を聴いたりしてリラックスするのが良いでしょう。
パートナーに子どもの世話を任せられる状況があれば、ゆっくり湯船につかったり、日頃の睡眠不足を解消したり、身体を動かしたりしてみるのがおすすめです。身体の疲れがとれると、心にも思考にも良い影響が期待できるでしょう。
育児疲れやストレスに対する根本的な受け止め方を変えるには?
上記のような方法でまず心身の緊張をほぐしたら、ストレスに関する根本的な受け止め方を変え、ストレスが溜まりにくくなるような対処法を少しずつ実践していきましょう。具体的には、「アンガーマネジメント」「マインドフルネス」「レジリエンス」の3つの方法があります。
アンガーマネジメントってどんな方法?
アンガーマネジメントとは、文字通り「アンガー=怒り」をコントロールするための方法です。近年では、企業研修などにも取り入れられています。アンガーマネジメントでは、「怒りの衝動は6秒でおさまるため、その6秒をコントロールできれば怒りに飲み込まれない」と考えます。ですから、基本的な方法は非常にシンプルで、怒りを感じたら「6秒カウントダウンする」というだけです。可能であれば、その場を離れて6秒カウントしましょう。
子どもに怒りを感じてしまうときは、トイレに行くなどしてその場を一度離れられると良いでしょう。その6秒で怒りが和らぎ、一呼吸置いて冷静になれるとされています。それでもイライラがおさまらない場合には、「ご飯を食べるべき」「口答えせず言うことを聞くべき」など、「すべき」思考に陥っていないか確認してみましょう。
子どもに対して「すべき」思考で接すると、自然とイライラの機会が増えてしまいます。それは、子どもは大人に比べて理解力や判断力が未熟なため、大人から見て「自分でやるべき」「言うことを聞くべき」「今はご飯を食べるべき」という状況が単にわかっていないだけということも多いからです。
つまり、親に反抗する気持ちがなくても、状況が理解できておらず親の言うことを聞けなくなってしまっているだけかもしれません。もっと幼い子どもなら、ただ親に甘えたいだけでわざと言うことを聞かないこともありえます。「すべき」という感情を一旦置いておいて、改めて子どもと話す時間をとってみても良いでしょう。
マインドフルネスってどんな方法?
近年ではGoogleが取り入れていることで有名になったマインドフルネスも、ストレスの軽減に効果的だとされています。マインドフルネスとは「瞑想」のことで、もっと具体的には「今、この瞬間に集中すること」を指しています。いろいろなやり方がありますが、一番簡単なものとして「呼吸瞑想法」があります。
- 椅子に座り、背筋を伸ばして肩の力を抜き、腹式呼吸をする
- ゆっくりと腹式呼吸を繰り返しながら、呼吸に意識を向けていく
- 吸うときは吸うことに、吐くときは吐くことに集中する
- 頭の中にさまざまな考えが浮かぶが、浮かんだらそっと受け流す
- 受け流すとは、ただ感情があるな、と認識し、そのまま呼吸に注意を戻すこと
呼吸瞑想法によって、自分と感情の間に距離を置けるようになったり、自分の注意力をコントロールできるようになったりするとされています。イライラが続くとどうしても自分の感情に振り回されてしまいがちですが、マインドフルネスに慣れてくれば、日常生活の中でイライラすることがあっても上手に感情を切り離し、受け流せるようになってきます。
子どもにイライラしてしまったときは、静かな場所に移動して数分間瞑想してみるのも良いでしょう。寝る前など、決まった時間に行う習慣を持つのもおすすめです。
レジリエンスってどんな方法?
レジリエンスとは、「しなやかな心」「精神的な回復力」のことを指します。何かストレスがかかることがあっても、それに飲み込まれてしまわない精神力や落ち込んだ気持ちを回復させる力のことです。このレジリエンスを鍛えることは、ストレスを軽減させる一因になることが研究によっても示されています。
レジリエンスを鍛えるためにはさまざまな方法がありますが、手っ取り早い方法として運動が効果的だとされています。筑波大学の研究によれば、レジリエンスに関わる脳の認知機能ネットワークは「高強度インターバル運動」によって鍛えられるとわかっています。ざっくり言えば、休憩をはさみながら強めの筋トレを行うことです。
例えば、HIITと呼ばれる「スクワットや腕立て伏せなど強い負荷の筋トレ4種類を、順番に20秒行っては10秒休む」というトレーニングを「2周行う」という方法があります。負荷が高い、つまりちょっとキツいなと思うくらいの筋トレなら何でも構いませんので、好きなものを行いましょう。このトレーニングは脂肪燃焼効果も高いですから、精神的な効果だけでなく、ダイエットに対しても良い効果が期待できるでしょう。
育児疲れやストレスは、周囲の人と一緒に解決していく方法も
ここまでご紹介してきたように、育児疲れやストレスは、一人だけで解消しようと思っても限界があるものです。そこで、パートナーや両親に子どもの世話を頼む、ファミリーサポートなどを利用する、保育園の一時預かりを利用するなどして、ストレス解消のための自分の時間を作るようにしましょう。
自分のための時間を作るというと、罪悪感を感じてしまう人も多いものです。しかし、育児中の母親にとって、ストレスケアは立派な育児の一部と言えるでしょう。育児疲れやストレスで母親が倒れてしまったり、最悪の場合はイライラを子どもにぶつけてしまう虐待などに進行してしまったりしたら本末転倒です。
そうでなくても、育児ストレスを抱えている母親は子どもとの会話がおろそかになりがちで、子どもとの良好な信頼関係が保てなくなることもあります。つまり、ストレスケアは母親本人にとってだけでなく、子どものためにするべきことでもあるのです。ぜひ、定期的に自分の時間を確保し、上記でご紹介したようなストレス解消を行いましょう。
また、両親やファミリーサポートなど、パートナー以外のサポートが得られるようなら、たまにはパートナーと二人だけで過ごす夫婦の時間を持ってはいかがでしょうか。夫婦関係が良好であれば、ちょっとしたこともお互いに相談できますし、それが結果的にお互いのストレスを軽減させることにもつながります。
逆に、夫婦ともにストレスを抱えたまま夫婦げんかになってしまうと、子どもの行動や正確にも将来にまでわたって影響を与える可能性もあります。パートナーは本来、育児に対し最も身近な協力者です。パートナーと相談できているほど育児に対する不安が低いこともわかっていますので、時々はパートナーと二人だけで過ごす時間を持ってみましょう。
おわりに:育児疲れやストレスを感じない人はいない。気づいたら解消しよう
仕事でストレスを溜めない人がいないように、育児疲れやストレスを感じない人はいないとされています。ですから、自分の疲れやストレスに気づき、ストレスを解消する対処法やストレスを感じにくくするような対処法を行っていくことが重要です。
また、育児疲れやストレスを一人で解消しようとするにも限界があります。公的サポートや保育園などを利用したり、両親やパートナーなど周囲を頼ったりして、ストレスケアを行いましょう。
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