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香りでリラックスできるメカニズム ― 癒し効果を高めるヒントをご紹介

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リラックス
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アロマテラピーという言葉があるように、香りによって癒し効果や心理的な効果が得られることはよく知られています。部屋の中で好きな香りを楽しむことは、特に意識していなくてもゆったりと落ち着くことができ、心を穏やかにできるでしょう。

今回は、こうして香りでリラックスできる理由や、リラックスするのにおすすめの香り、日常生活に香りを取り入れる方法などをご紹介します。

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香りでリラックスできるのはなぜ?

香りでリラックスできることを使って癒し療法を行うのが「アロマテラピー」です。1930年頃にフランスの調香師・香料研究者であるモーリス・ガットフォセが「アロマ(香り)」と「テラピー(療法)」を組み合わせて作った造語ですが、そのフランスでは医師免許取得者によってアロマテラピーが行われるなど、医療行為としての効果も認められています。

アロマテラピーには、植物の花や葉から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使います。改善したい症状や目的に合わせてさまざまな種類の中から精油を選び、アロマディフューザーを使って芳香浴をしたり、エッセンシャルオイルを浴槽に垂らすアロマバスに入ったり、アロマ配合のスキンケアなどによって体内に香りを取り入れたりします。

このように、アロマの香りを感じることでなぜリラックスできるのでしょうか。まず、鼻から吸収されたアロマの芳香成分は電気信号へと変化し、脳の「大脳辺縁系」に伝わります。ここは「快・不快」などの情動に関わる古い脳と言われています。一方で、視覚や聴覚などの電気信号は「知性」に関わる新しい脳「大脳新皮質」に伝えられます。この特徴が、視覚や聴覚と味覚の大きな違いと言えるでしょう。

例えば、バラを見たときに視覚情報ではまず「バラだ」という認識をします。それから、好きか嫌いかという情動的な部分が反応します。しかし、嗅覚からの情報は「いい香り」という情動的な部分が先に反応し、それから「これはバラの香りだ」というように認識するのです。嗅覚からの情報は、大脳辺縁系から視床下部、下垂体などの器官へ伝達されます。

視床下部は自律神経やホルモンのバランスを司る非常に重要な器官で、アロマの香りで刺激を受けると自律神経のバランスが整う効果が期待できます。これは、ストレスを感じている状態だと自律神経のうち、活動するための「交感神経」が活発になっていて、心身ともに安らげないからです。

そこで、意識的な部分を通さず情動的に働きかけられるアロマによって、休息やリラックスのための「副交感神経」を刺激してやれば交感神経の働きが弱まり、自律神経のバランスが整います。副交感神経が優位になってくる過程で、体の緊張がほぐれて気持ちが落ち着き、心身ともにリラックスした状態になれるでしょう。

アロマの芳香成分が伝わるルートが他にもあるって本当?

芳香成分は通常、鼻から脳へ伝わる「第1のルート」によって体内に吸収されます。前述のように、芳香成分が鼻の奥にある「嗅細胞」を刺激して脳の大脳辺縁系、視床下部、下垂体へと電気信号が伝わり、大脳辺縁系の記憶を司る「海馬」や感情を司る「扁桃体」などに働きかけることで、私たちは安らぎや心地よさを感じるのです。

他のルートとして、「肺から全身へ」「皮膚から全身へ」という2つが、すなわち合計3つのルートが考えられます。

第2のルート:肺から全身へ
鼻や口から吸収された芳香成分が、気管を通過して肺に到達する
肺胞から血液に流入し、全身の組織や細胞に運ばれる
第3のルート:皮膚から全身へ
芳香成分は分子が小さいため、皮膚の奥にある毛細血管にまで浸透する
毛細血管を流れる血液に乗って、全身の筋肉や器官に運ばれる

このようなルートで香りが全身に運ばれた場合も、やはりさまざまな器官に良い影響を与えることがわかっています。アロマが心身に与える良い影響は、決して小さくないと言えるでしょう。

リラックスするにはどんな香りがおすすめ?

香りの成分には、成分自体がリラックスをもたらす効果を持っているものもあり、そうした成分を選べばリラックスしやすいと言えます。しかし、できれば知識だけで選ばず、直感的に「いい匂い」と感じたものを選びましょう。「いい匂い」と感じるということは、脳が「心地よい香りだ」と感じたということですから、それが一番自律神経系に良い作用をもたらします。

そもそも、香りだけは最も古い(原始的な動物に近い)脳に直接伝わるのは、敵の匂いや食物の匂いなど、最も自分の生存を左右する情報だからと言われています。この機能があるからこそ、アロマを嗅いだときもその成分が自分にとって必要なのか不要なのかを本能的な部分でちゃんと感じ取れるのです。

まずは、日常生活の中でリラックス効果を感じられる香りについてご紹介します。

金木犀(キンモクセイ)
リラックス効果(イライラの軽減)、ダイエット効果(食欲の抑制)
秋頃に独特の甘い香りを放つ、オレンジ色の花を咲かせる庭木
金木犀を植えている家の横を通ると、辺り一面に香りが漂うため強く記憶に残りやすい
ヒノキ
抗菌作用、消臭効果、リラックス効果、リフレッシュ効果
古代から建材としても重宝されてきたヒノキは、現在でも資材として最高品質とされる
アロマの世界でも、ヒノキの香りはさまざまな効果を得られる貴重な香料とされる
森林浴を思い起こさせる香りで、心身にすっと馴染む
コーヒー
リラックス効果、集中力を高める
仕事中の飲み物としても人気なコーヒーは、嫌いな人も少ない
コーヒーが好きな人は、カフェに入ったり自宅でドリップしたりするときの香りで安らげるかも
バニラ
リラックス効果、ネガティブ感情の軽減
お菓子作りに使われるバニラエッセンスの甘い香りは、お菓子の風味を格段にアップする
バニラという植物の種子(バニラビーンズ)から香りを抽出しているもの
すずらん
集中力を高める(作業ミス軽減)、疲労感の軽減
控えめで可憐な白い花を持つすずらんは、爽やかで素朴なフローラルの香り
昔からすずらんの香りは人々を魅了してきたため、バラ・ジャスミンと並んで「三大芳香花」と呼ばれる

このように、アロマグッズやアロマオイルなど特別なものを揃えなくても、身近にあるもので香りを楽しめます。イライラしたり、ちょっと疲れたなと思ったりしたときには、まず身近にある香りでリラックスできるものを探してみましょう。

精油(エッセンシャルオイル)から選ぶ場合は、以下のような香りがおすすめです。

ラベンダー
数あるアロマの中でも人気が高く、フローラルで優雅な香りが女性に人気
緊張やストレスを和らげ、気持ちを落ち着かせてくれる
ベルガモット
オレンジに似た柑橘系のフルーティな香りが特徴で、紅茶の香りとしてもよく知られる
リラックスとリフレッシュ、両方の効果を持つとされる
ゆず
爽やかな柑橘系の香りが日本人にお馴染み
料理の味を引き立てることでも知られ、嗅いでいるだけで心が穏やかに
ネロリ
ビターオレンジの花から抽出された香りで、優雅でフローラル
不安なときや気分が沈んでいるときなどに嗅ぐと、心が癒される
サンダルウッド
エキゾチックな香りが特徴のネロリは、お香にも使われていて日本人に馴染み深い
不安を払拭し、心安らかにしてくれる

ここまで効能をご紹介してきましたが、やはり自分が嗅いだときに「いい匂い」だと感じられるものが最も良いでしょう。迷ったときや通販で買うときには上記の効果などを参考にしていただきたいですが、お店で試せる場合はぜひ実際に香りを嗅いでみてください。

その他の香りの効果にはどんなものがある?

香りにはリラックス以外にも、さまざまな効果を持つものがあります。以下にその一例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

イライラやストレスを解消したい
イランイラン、ローズ、ラベンダー、レモン、ベルガモット、カモミール
ぐっすり安眠したい
ラベンダー、オレンジ、ベルガモット、ネロリ
情緒不安定を落ち着けたい
ゼラニウム、ネロリ、ティーツリー、マンダリン
元気を出したい
タイム、ジャスミン、グレープフルーツ
リフレッシュしたい
ペパーミント、レモン、グレープフルーツ
集中力を高めたい
ユーカリ、レモン、オレンジ、グレープフルーツ
記憶力を高めたい
ローズマリー
冷静になりたい
ヒノキ、カモミール
瞑想にふけりたい
サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド

日常生活に香りを取り入れるにはどんな方法がある?

香りにはさまざまな効果があり、アロマテラピーなど医療行為にも使われる反面、日常生活で感じられる香りにもリラックスやリフレッシュなどの効果が得られることがわかりました。そこで、最後に香りを日常生活の中に取り入れる方法をご紹介します。身に着けたり、部屋の中で楽しんだり、他のリラックスアイテムと組み合わせたりして、自由に香りを楽しみましょう。

香りを身に着けよう

香水やハンドクリーム、入浴剤などで香りを体や洋服にまとえば、好きな香りとともに過ごせて気分もアップするでしょう。

香水・コロン
香料をアルコールなどに溶かして作られるもので、目的に合わせて体や衣服につけて香りを楽しむ
ファッションの一部とも言えるが、つけすぎると周囲に迷惑となる場合もあるので注意
練り香水
香料をワックスなどに練り込んで固めたもので、普通の香水と比べると香りは控えめ
肌が弱い人やアルコールアレルギーの人でも使えて、液体よりも扱いやすいという人も
ボディクリーム、ハンドクリーム
肌を保湿するためのクリームで、乾燥が気になるときやお風呂上がりに
自分の好きな香りのボディクリームを使うと、スキンケアしながらリラックスできる
寝癖直しウォーター
コラーゲンやヒアルロン酸、はちみつなどの保湿成分に優れたものや、UVカット・トリートメント効果などがあるものも
香りもやはりさまざまなため、好みの香りのものを選ぶ
シャンプー、ボディソープ
最近では使用感も良く、香りも良いというシャンプーやボディソープも増えている
髪から良い香りがするとやはり気分も良いもの。好きな香りを使うのがおすすめ
入浴剤
浴槽に好みの入浴剤を入れて癒し・リラックス効果アップ
お風呂上がりから寝るまで効果が続くため、安眠効果も得やすい
口臭予防タブレット
口臭は男性・女性問わず気にしている人も多い
生薬や植物由来成分のすっきりした香りで口内環境を整え、息を爽やかな香りに

シャンプーやボディソープ、入浴剤などお風呂に使うアイテムに好きな香りのものを使うと、お風呂上がりや寝るときにも香りを感じられ、安眠効果を得やすいです。なんとなく寝つきが悪いな、と感じているような人はぜひ好きな香りの入浴アイテムを取り入れてみましょう。

部屋の中で香りを楽しもう

部屋の中で香りを楽しむ方法として代表的なのはアロマディフューザーやアロマキャンドルですが、他にもさまざまな方法があります。

アロマディフューザー
火を使わず、アロマの香りを部屋の中に拡散させられる
空気清浄機能がついた製品なども販売されていて、機能や予算で選べる
アロマキャンドル
キャンドルの炎のゆらぎと合わせ、癒しアイテムの代表的な存在とも言える
インテリアとしても雰囲気があっておすすめ
お香
火を使って焚くことから、香りを楽しむ以外に煙で部屋を浄化する効果も
本格的な香り以外にもお花やハーブの香りのものもあり、ちょっと気分転換したいというときにもおすすめ
ポプリ
花や葉っぱを乾燥させ、エッセンシャルオイルなどと混ぜ合わせて瓶に入れたもの
ガラスの瓶から見える花のキレイな色は見た目にも美しく、インテリアにもぴったり
小さな巾着などに入れて持ち運ぶのもよい
ルームスプレー、リネンウォーター
エッセンシャルオイルと精製水を混ぜ合わせ、スプレーボトルに入れたもの
お部屋の空間や布製品(カーテン、クッションなど)にスプレーして香りを楽しむ
来客の前に使うのもよい
ファブリックミスト
衣類・ファブリックにスプレーして使う。衣類のシワを取るのにも、静電気防止にも
抗菌剤などが含まれるため、しっかり除菌・消臭したい人におすすめ
お出かけ前にスプレーし、香水代わりに使う人も
芳香剤
スプレータイプと置き型タイプがあり、手軽でコスパも抜群
香りの種類も多く、部屋用・トイレ用・車用など細かくシーン別で販売されている
気に入った香りがあれば、シリーズで揃えるのも手

室内で使うものはキャンドルやお香のように焚くタイプ、スプレーやミストのように吹くタイプ、ポプリや芳香剤のように置いておくタイプなどさまざまなタイプがあります。目的や用途に合わせて選びましょう。

他のリラックスアイテムと組み合わせよう

他のリラックスアイテムと組み合わせ、さらに効果を高める方法もあります。アロマバスにキャンドルを持ち込んだり、室内で音楽を聴きながら頭をからっぽにしてゆっくり休んだり、緑を配置して視覚からも癒されたりと、さまざまな方法があります。

キャンドルの炎は「1/fゆらぎ」という、そよ風や人間の心拍など自然界によく見られる独特のリズムを持っています。アロマキャンドルの香りを感じながら揺れる炎を眺めたり、入浴剤を入れたお風呂にキャンドルを持ち込んだりすると高いリラックス効果が得られるでしょう。

また、緑は室内に飾るだけでなく、お風呂場に飾るのもおすすめです。半日陰で湿気の多い環境でも生育できる植物もありますので、園芸店などで相談してみると良いでしょう。

おわりに:香りでリラックスできるのは、良い香りが副交感神経を刺激するから

嗅覚は「大脳辺縁系」という、情動に関わる本能的な脳に直接訴えかける感覚刺激です。そのため、視覚や聴覚などが働きかける、知性を司る「大脳新皮質」よりもダイレクトに感じ取れるという特徴があります。

ですから、脳が「いい香り」と直感的に判断した香りが自分にとって最も良い効果を持つと言えます。アロマオイル以外にもキャンドル、香水、入浴剤、お香やポプリなど、さまざまな方法で好きな香りを楽しみましょう。

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