ペットロスを克服するため、ならないようにするためにできる対策とは?

癒し

ペットは大切な家族の一員であり、人間の家族と同様に大切にしている人も多いでしょう。するとやはり、ペットを亡くしてしまったときには人間と同じように悲しみや喪失感を覚えます。この状態は、ペットロスと呼ばれています。

今回は、そんなペットロスとはどんな心理状態なのか、ペットロスによって心身にどのような変化が起こるのか、乗り越えるにはどうしたらいいのかについてご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • ペットロスとはどのようなものか
  • ペットロスで起こる変化
  • 定型ペットロスと非定型ペットロス
  • ペットロスの重症化とは
  • ペットロスの治療法と対処法

ペットロスとは?

ペットロスとは、「ペットを亡くした飼い主の体験それ自体や、喪失体験による悲しみのこと」を指します。つまり、ペットロスは珍しいことではなく、ペットを飼ったことがある人なら誰でも経験する出来事と言えるでしょう。中には悲しみや喪失感が重症化し、心身の病に発展してしまう人もいて、そのような場合は「ペットロス症候群」と呼ばれることもあります。

近年、ペットロス症候群に陥ってしまう人は少なくないとされています。かつて、ペットは人間が暮らすために何らかの役割を持つ「使役動物」でしたが、時代を経るごとに役割そのものよりも愛らしさや癒しを求められる「愛玩動物」へと変化し、さらには「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」と呼ばれるようになるまで、ペットの地位が向上してきました。

このようなペットの地位やペットを取り巻く環境の変化、さらには近年の核家族化・少子化などといった人間社会の変化が重なり、ペットは家族の一員として人間と同じように考え、心の触れ合いを求める人が増えています。そのため、ペットの平均寿命は年々増加傾向にあり、その分一緒に過ごす時間が増え、失ったときの悲しみも大きくなってしまうと考えられます。

ペットロスはその症状から、飼い主の心理状態と密接に関係があり、心理学の分野で研究されることが多いです。日本では、1990年代の後半くらいから「ペットロス」という言葉が使われるようになりました。実際に、1990年代後半ではペットロス関連の文献数は11件となっていますが、そこから10年で3倍に増え、2010年代の前半には47件になっています。

心理学用語では、ペットロスは「対象喪失」と呼ばれる体験の一種とみなされています。精神分析学者である小此木啓吾氏の「対象喪失」という著書によれば、ペットロスの他にも家族の死、恋人との別れ、引っ越しや卒業などは全て同様に以下のような定義に基づく「対象喪失」に含まれるとされています。

  1. 愛情・依存の対象の死や、別離
  2. 住み慣れた環境や地位、役割、故郷などからの別れ
  3. 自分の誇りや理想、所有物の意味を持つような対象の喪失
  4. 対象を過度に美化していたことで、現実を知ったときに起こる「理想」の喪失

ペットロスは、上記のうち1の「愛情・依存の対象の死」に当たります。家族の死や失恋も1に含まれますが、必ずしも死別や別れだけではなく、子どもが親離れすることで親が子どもを失う、といった体験も対象喪失に含まれるとされています。

対象喪失が起こると、精神的な苦痛や絶望感から精神疾患を発症することもあります。さらに、恐れや悲しみなど感情の高ぶりが十二指腸潰瘍や心疾患などの身体疾患を引き起こしたり、その経過に影響を与えたりすることもあります。実際に、精神分析医のParkesによれば「夫が死亡した後、妻が医師の診察を受ける率は夫の死亡前に比べ、63%増加した」とのことです。

このような対象喪失が起こるのは、対象を大切に思う「思慕の情」がどうしても満たされなくなることや、失った対象と自分との間に何らかの一体感を抱いていることが理由として挙げられます。失った対象が自分の一部になっているからこそ、喪失が深刻な体験として心身に大きな影響をもたらすのです。

つまり、ペットロスによって深刻な症状をきたす人は、それだけペットのことを愛情深く育ててきたということでもあります。子どもや兄弟のように、本当の家族の一員として感じる人が増えたからこそ、ペットロスに陥る人が増えているのでしょう。

ペットロスで起こる体や心の変化とは?

ペットを亡くしてしまうと、飼い主は悲しみ・混乱・怒り・罪悪感・否認・抑うつなどの感情に陥ってしまいます。中でも、「否認・怒り・罪悪感・抑うつ」の4つは、ペットの死に伴う感情の混乱状態の中でも「特に認めたり理解したりすることが困難な感情」とされ、したがって克服も困難な感情と考えられています。

さらに、感情が体調にまで影響を及ぼすと、体にも悪影響が起こることもあります。ペットロスで起こる体や心の変化は、その症状の程度の違いによって2つに分けられます。一般的に誰もが陥る可能性のある「定型ペットロス」と、重症化してペットの死後何年経っても心の傷が癒えず立ち直ることが困難な「非定型ペットロス」の2つです。

定型ペットロスであれば、多少時間はかかっても時間の経過とともに良くなっていくものですが、非定型ペットロスの場合は心身の変化が1ヶ月以上続いたり、悪化したりしてしまいます。その場合は自然に任せておくだけでなく、何らかの方法で適切な治療が必要です。それぞれの変化について、また、なぜ重症化してしまうのかについて詳しく見ていきましょう。

一般的な「定型ペットロス」って?

「定型ペットロス」は、誰にでも訪れうるペットロスと言えます。ペットを亡くした喪失感や悲しみで涙を流したり、ショックで気持ちが落ち込み、何も手につかなくなってしまったりといった症状が一時的に起こるものです。これはむしろ、ペットを大切に思っていた人にとって「正常な反応」とも言えるもので、時間の経過とともに症状が改善されていくのが特徴です。

精神面や心理面では、分離不安や後悔・自責の念、涙が止まらない、何もする気が起きない、ペットのことが頭から離れない、集中力や思考力が低下する、など、以下のような状態が起こります。

否認
心で苦痛を感じないため、現実逃避として事実を否定する状態
怒り
一時的な気晴らしや満足感をもたらすため、怒りを爆発させることがある
怒りの対象は獣医師、致命的な事故や傷害を引き起こした人物、死因となった病気、ペット自身などさまざま
罪悪感
怒りが自分自身に向いた場合、自責の念となり罪悪感を生み出す
安楽死を決断しなければならない場合や、死因がはっきりしなかった場合に多い
自分のせいで死なせてしまった、自分が十分な世話や注意をしなかったからだと思い込んでしまう
抑うつ
元気が出ないといった軽い段階から、情緒的な麻痺が起こる思い段階までさまざま
数時間や1日で終わることもあれば、数週間〜数カ月間続くこともある
抑うつ状態が起こる場合、ペットロス以外の原因が重なっているケースも

人間関係や仕事、家庭問題などで混乱しているとき、ペットの存在を心の拠り所にしているという人も多いのではないでしょうか。どんなに辛いときでも無条件に自分を受け入れてくれるペットの存在がなくなってしまったとき、さらに追い打ちをかけるように人間関係や仕事で辛いことが起こると、より深刻な精神の混乱が起こってしまう可能性もあります。

心身や行動面では、以下のような不調が起こりやすくなります。

  • 体調不良、呼吸が速く浅くなる、食欲不振、拒食または過食
  • 睡眠障害(寝付けない、眠りが浅い、悪夢ばかり見てしまう)
  • 落ち着きがない、ケアレスミスが多くなる、軽度の自律神経失調症
  • 疲労感、脱力感、頭痛、吐き気、動悸、胸の苦しさ、息切れ、下痢

また、前述のような精神面・心理面の大きなダメージが身体的な不調へとつながってしまう場合もあります。心と体には密接な関係がありますので、大切な人の死を期に心疾患を発病したり、がんが悪化したりするケースが報告されているほか、愛犬の死が幻覚や時間間隔の喪失といった精神的な症状に始まり、血圧・コレステロール・尿酸といったさまざまな数値の悪化に影響した例も報告されています。

社会面や生活面では、外に出たくない、人に会いたくないといった社会的ひきこもりのほか、他人のペットを見たくない、情報に触れたくないといった無気力・無関心状態に陥ることがあります。しかし、いずれの症状も定型ペットロスでは時間とともに和らいでいくものであり、感情を抑えすぎずに泣いたり悲しみを人に話したりして心を解放していけば、やがて穏やかにペットの死を受け止められるようになるでしょう。

「非定型ペットロス」ってどんな状態?

一方で、ペットの死後何年経っても心の傷が癒えることなく、頭からペットのことが離れず不安を抱えてしまったり、後悔の念や自責の年で押しつぶされそうになったりしてしまい、苦しみ続ける人もいます。これが「非定型ペットロス」と呼ばれるもので、ペットを亡くした悲しみや辛さが重症化し、精神面・肉体面・社会生活面でさまざまな支障をきたすものです。

ペットを亡くしたことが重篤な苦痛であることを理解しにくいという人もいますが、実際にペットを愛してきた時間や気持ちの分だけ、「もっとこうしてあげればよかった」「あのときああしてあげればよかった」と自責の念に苛まれてしまう人も多いのです。そのまま放置していても良くなる見込みがないことから、何かしらの治療や対応策が必要という意味で「病的な(正常でない)ペットロス」と呼ばれることもあります。

具体的には、以下のような症状が現れます。

精神面・心理面
定型ペットロスの症状や悲しみが1ヶ月以上癒えず、悪化していく
重度の精神性のうつ病、絶望感、悪夢が連日続く、度重なるフラッシュバックなど
身体面・行動面
重度の身体的なうつ症状、重度の心身症、パニック障害、体重の極端な増減、長期にわたる睡眠障害など
生活面・社会面
長期にわたる引きこもり、自傷行為、他害行為、継続的な幻覚・幻聴など

「非定型ペットロス」へと重症化してしまうのはなぜ?

では、なぜ「定型ペットロス」から「非定型ペットロス」へと進行してしまうのでしょうか。その要因として、本人自身の問題・取り巻く環境の問題・亡くなり方やタイミングの問題という3つのポイントから見ていきましょう。

ペットロスは本人自身の問題で重症化する?

ペットロスに陥りやすい人の特徴として、真面目で優しく気を使いすぎてしまう人や、完璧を求めすぎてしまう人が挙げられます。ペットロスで生まれてくる「否認・怒り・罪悪感・抑うつ」の4つの感情は克服しにくいのも事実ですが、その感情のまま間違った方向に向かってしまうとペットロスの症状が回復しないだけでなく、重症化してしまうこともあるのです。

例えば、「怒り」をペットの死の原因にぶつけることが、悲しみを乗り越える原動力になることもあります。しかし一方で、「自分のせいで死なせてしまった」「あのときああすれば良かった」と、罪悪感に苛まれてそれを一人で抱え込んでしまうと、無力感から回復の妨げになってしまうのです。「この先の人生では絶対に後悔しないように、自分の悪かったところを直そう」という建設的な姿勢が重要です。

他にも、ペットに依存するような過剰な愛情を注ぎ、溺愛していると亡くしたときの喪失感が大きく、否認や抑うつの症状が強く生じてしまうこともあります。現代では「うちの子」という表現で表されるように家族の一員としてペットを扱う人も多く、人間と見た目や大きさが違っても、人間と同じかそれ以上に信頼関係を築ける場合もあることから、失ったときの悲しみも計り知れないものでしょう。

また、死をタブー視しすぎるあまり、ペットの死を通じて不安や恐怖が頭の中を回ってしまい、ペットロスが深刻化してしまうタイプの人もいます。特に、死を苦しみだと捉えていると、死に対する恐怖から身体的症状や精神的症状が現れることもあります。

取り巻く環境によってペットロスが重症化することもある?

ペットロスに遭遇した本人を取り巻く環境にまつわる問題の中で最も大きな要因は、周囲との間の価値観の不一致です。ペットに対する考え方は実際にペットを飼っているかどうかで大きく異なるものですが、さらにペットロスの悲しみの度合いは飼い主によって異なりますので、周囲から「そんなに悲しんでいてもしょうがないでしょ」と軽く扱われ、症状が悪化してしまうこともあります。

最も酷い場合は、ペットを飼ったことがない人などから「たかがペット、また飼えばいいでしょ」といったように生命そのものを軽視するような発言を受け、「愛するうちの子」を、お金を出せば買える単なる商品としか扱われなかったことにショックを受けてしまうケースです。このような発言をする人の根底には、ペットと人間の命の重さを天秤にかける差別意識があると言えるでしょう。

ペットであれ人間であれ、命の重さは一つで皆同じものです。特に、家族の一員としてペットと暮らしてきた人にとって、ペットの命は決して人間よりも軽んじられるものではありません。ですから、ペットロスの話をする相手は慎重に選び、生命の尊さをわかってくれる人に話すことが重要です。

また、周囲が励まそうとして「元気を出してよ」「泣いてばかりだと、ペットも成仏できないよ」と言う言葉が逆効果になってしまうこともあります。特に、ペットを亡くしてすぐ、心の準備もできていないときに言われると、それを真に受けて強引に自分を納得させようとし、無理に泣いたり落ち込んだりといった感情を抑えつけてしまうこともあります。

しかし、自分の感情を強引に押さえつけることは一時的な逃避にはなるものの、心には歪みが生じます。悲しみが解決するものではなく、心にわだかまりを抱えたままペットロスが悪化してしまうこともあるのです。人によっては、苦しみがトラウマのように一生続いてしまうかもしれません。もし、身近にペットロスを経験した人がいたら、悲しみにそっと寄り添ってあげる姿勢を大切にしてください

ペットの亡くなり方やそのタイミングでペットロスが重症化する?

ペットの亡くなり方やそのタイミングは、ペットロスが深刻化してしまう要因の中でも、飼い主自身の力ではどうしても避けられない問題です。例えば、ペットが事故や突然の病気で急死してしまった場合は、ペットの死に対して心の準備ができておらず、「あれもしてあげたかった、こうしてあげていればよかった」と、ペットロスの悲しみが重症化しやすいのです。

また、ペットの死が家庭や仕事の辛い時期と重なった場合も、ペットロスが長引いてしまうことがあります。特に、ペットを心の拠り所として家庭や仕事で辛いことがあったときの心の支えにしていた場合、ストレスや苦痛を浄化する術がなく、より深刻な抑うつ状態に陥ってしまう可能性があるのです。

ペットロスを乗り越えるためにどんなことをすればいい?

そもそも、ペットだけでなく大切な存在を亡くしたときには、死の受容の5段階を経るとされています。ペットに置き換えてその5段階をご紹介すると、以下のようになります。

第1段階:拒否
ペットの死を受け容れられず、認められない状態
ペットの死を現実のこととして受け止められず、ショックで放心状態になっている
第2段階:怒りと後悔
なぜ自分がこんな目に合うのか、とやり場のない怒りから周囲や自分、ペット、死の原因などに怒りをぶつける
動物病院の獣医や家族に向かうことも、自分に向かうこともあり、後悔や自責の念に苛まれることも
この段階で、ペットの死を現実のものとして認識できる
第3段階:取引交渉
お願いだからペットを返してくれ、と神頼みをする時期
自分の命と引き換えにしてもいいから、など、人知を超えた存在に取引を願う
スピリチュアル・宗教などに没頭する人も
第4段階:悲しみ、抑うつ
塞ぎ込んで落ち込み、何もできない状態
怒りや敵意、自責の念などの強い感情は消え去り、涙が出るなど深い悲しみに沈み込む段階
涙が溢れて止まらなくなることもあるが、心残りがないよう悲しみ尽くしておくことが大切
抑うつ状態となり、食欲が出ないなどの状態に陥ることも
第5段階:受容と回復
ペットの死を受け容れ、新しい人生を歩んでいく
楽しい、美味しい、幸せなど本来の感情が戻ってきて、回復に向かって歩き出す段階

とはいえ、これらの段階は必ず順番通りに進んでいくとは限らず、行ったり戻ったり、5段階目に進んだと思ったら2〜4段階目の感情がぶり返してくることもあります。焦らず、じっくりと時間をかけてペットロスに向き合っていくことが重要です。

また、ペットロスを乗り越えるためには「悲しみを解放する」「適切な治療を受ける」「周囲を気にしすぎない」「ペットの幸せを願う」という4つのポイントがあり、これらを心がけると回復が早いと考えられます。これらのポイントを確認してから、最後にそもそもペットロスにならないための対策を5つご紹介します。

悲しみを解放する方法って?

悲しみを解放するための最も効果的な方法は、我慢せず泣くことです。もちろん、外では人目がありますので、自宅や自室で思いっきり泣き、感情を押し殺さないようにしましょう。喪失感から出る涙は自然なことであり、ストレス解消など心の浄化作用があります。ときどきは思い出し、やがては幸せな思い出で笑顔になれると良いでしょう。

家族や友人、ペットに関連する知り合いなど、ペットロスの辛い気持ちをわかってくれそうな人に話してみるのも一つの方法です。ペットロスは人によっては理解できないこともありますので、このときに話す相手は慎重に選ぶ必要があります。

話せる相手が見つからない場合や、誰に話してもペットロスの辛さが紛れないという場合はペットロスカウンセラーに相談してみると良いでしょう。ペットロスに特化した専門のカウンセラーが気持ちに寄り添い、適切なアドバイスをしてくれます。ペットロスに特化していなくても、心療内科やメンタルクリニックなどに相談するのもおすすめです。

また、ペットロスに関する相談に特化した電話相談サービスもあります。女性限定の有料サービスもあれば、傾聴訓練を受けたペットロス経験者のボランティアによる無料電話相談サービスもあります。お試しコースなどを活用し、自分に合ったサービスを選びましょう。

他にも、同じようにペットロスを体験した人が集まるセミナーやワークショップ、グループミーティングなどに参加するのも良いでしょう。グリーフワークという、悲しみのプロセスをケアするグリーフケアセラピーを受けるのもおすすめです。グリーフワークとは「喪の作業」という意味で、悲しみから立ち直るために行う作業や体験のことを指します。

悲嘆に暮れるあまり深刻化してしまったペットロスを、ごく一般的なペットロスに戻すために、苦しみや辛さといった感情を吐き出して癒していきます。SNSのコミュニティ内でペットロス体験や克服のエピソード、気持ちの整理のつけ方、どうやって立ち直ったのかなどについて共有することも、克服の近道となるかもしれません。

ペットロスに適切な治療は必要?

一般的なペットロスでは、時間が解決してくれるため治療が必要ない場合がほとんどですが、 1ヶ月以上改善の傾向がない、または悪化しているという場合は、病院で適切な治療を受けた方が良いでしょう。精神安定剤や睡眠薬などを処方してもらい、医師の指導の元で使いながら回復に向かいます。もちろん、副作用と思われる症状が出た場合はすぐに相談しましょう。

このとき、「治療しているんだから早く治さなくては」と焦らないことです。時間が最も良い薬、と呼ばれることは多いですが、ペットロスも同じです。ゆっくり自分の感情と向き合いながら、ペットロスを受け容れていきましょう。

周囲を気にしすぎるとペットロスの回復が遅くなる!?

ペットロスは、前章でもご紹介したようにまだまだ理解が広まっているとは言えません。ですから、無理解な人がいるのは仕方がないことです。周囲がなんと言おうと、飼い主の悲しみや苦しみは飼い主本人にしかわからないものですから、心無い言葉を言われても気にしなくて構いません。時間が心に余裕が出てきたら、少しずつ周囲に目を向けていきましょう。

また、人間は何もしないでいるとついネガティブな方向に考えてしまいやすい生き物です。考えれば考えるほど落ち込んでしまいますので、スポーツや家の掃除など、意識的に身体を動かせるアクティブな動作にチャレンジしてみましょう。仕事やプライベートで集中して取り組めるものがあれば、それに集中して取り組み、気持ちを紛らすことも大切です。

気持ちに余裕ができたら友人とカフェに行ったり、旅行に行ったりするのも良いでしょう。部屋の模様替えをしたり、家にあるものを思い切って捨て、断捨離したりするのも気持ちを切り替えるのに効果的です。瞑想などで内面に向き合ったり、バランスをとったりしていくことも良いでしょう。

やがてはペットのことを忘れている時間も増えていくでしょうが、それに対して罪悪感を感じなくても良いのです。自分の心が壊れてしまわないよう守ることは、人間が生きていく上で重要なことなのです。

ペットの幸せを願うことは、ペットロスからの回復になる?

ペットロスの直後は、ペットにごめんね、ごめんねと謝ってばかりかもしれません。しかし、少し落ち着いてきたら、ごめんねと言っただけ「ありがとう」と感謝しましょう。飼い主さんが謝ってばかりいると、ペット自身も罪悪感にとらわれてしまうかもしれません。落ち着いてきたら謝るのはやめ、「いままでありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。

ペットに手紙を書いたり、日記やブログに気持ちを綴ったりするのもおすすめです。手を合わせて、今まで一緒に過ごしてくれたペットに感謝しましょう。ペットと一緒に過ごした楽しい日々の写真を現像したり整理したりして、アルバムを作ってみるのもおすすめです。ペットが残してくれたたくさんの楽しい思い出を、じっくり振り返ってみましょう。

もちろん、忘れたくないと思ってペットの遺品をそのままにしておくこともあるでしょう。捨てる気になれないときに無理に捨てる必要はありません。例えば、目の前から別の場所へ移動することで気持ちが落ち着くならそれも大切なことでしょう。捨てなくてはならないけれど捨てられない、という場合は、大きさや材質にもよりますがお焚き上げができる寺院などでお焚き上げをしてもらうと、心の整理がつけやすくなります

また、ペットを葬った後は、しっかりお参りや供養をしてあげましょう。何度かお参りや供養を繰り返すうち、穏やかにペットの死を受け容れ、心の拠り所にすることができるはずです。決してペットの後を追うようなことをせず、ペットの思い出とともに飼い主さんが幸せに生きていってくれることこそ、ペットが望んでいることではないでしょうか。

ペットの死を受け容れ、しっかり心が落ち着いた後でなら、必要に応じて新しい子をお迎えするのも良いでしょう。喪ったペットとの別れの悲しみを紛らわせるためではなく、新しい信頼関係や愛情関係を築くために新しい子を迎えられるのなら、飼い主さんも新しいペットも幸せになれることでしょう。

ペットロスを予防するためにできる対策って?

ペットロスを予防するためにできる対策としては、主に以下の5つがあります。

ペットは人間よりも寿命が短いことを知っておく
犬や猫、ハムスター、うさぎ、インコなど、ペットとなる動物はいずれも人間と比べて寿命が短い
命あるものには、必ず死別という別れが来ることは避けられない
だからこそ、生きている時間を後悔しないよう楽しく幸せに過ごすことが重要
生きている間、存分に愛情を注ぐ
老衰してきたとき、死を想像して不安や恐怖に襲われることもある
そんなときこそ、生きている今のうちに十分に愛情を注いであげる
後悔しないためにも、別れの後に心残りを残さないためにも必要
依存しすぎず、ほどほどの関係を
対象に依存しすぎると喪失の苦しみが辛くなってしまうのは、人間もペットも同じ
人間でもペットでも、相手に依存しすぎずある程度は自立した関係を築くことが重要
ペット仲間を作っておく
家族や友人など、一人で抱えきれない苦しみを支えてくれる人を作っておく
いざペットが亡くなったとき、助け合える仲間がいてくれることは大きな助けに
身近でいなければSNSなどで探しても良いが、可能なら直接会える友達が良い
ペットロスに対する正しい知識をつける
そもそも、ペットロスは飼い主さん自身もよく知らないことがある
家族の一員と思っていても、企業では忌引きを取れないことも多いなど社会的な保障はまだまだ少ない
ペットロスに対する正しい知識は、自ら探してつけていく必要がある

ペットロスに陥らないために上記のような対策をしておくことはもちろん重要なのですが、ペットロスに対する正しい知識をつけ、ペットロスに陥ってしまう自分を必要以上に責めすぎないことも大切です。ペットを愛していればこそ、亡くしたときの悲しみも苦痛もあるのは当然のことです。感情を押し殺しすぎず、ゆっくり自分の心やペットの死と向き合っていきましょう。

おわりに:ペットロスを克服するためには、時間をかけてじっくり向き合うのが重要

ペットロスは心理学的には「対象喪失」の一つとされ、ペットに愛情深く接してきた人ほど深いペットロスに陥りやすい傾向があります。一般的な「定形ペットロス」なら時間とともに落ち着いていくのですが、「非定型ペットロス」に重症化してしまうと治療が必要になることもあります。

重症化しないためには、悲しみを押し殺さず、今までのペットの思い出に感謝しましょう。必要に応じて適切な治療を受けることも大切です。

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