焚き火の音や光の癒し効果を安全に楽しむ方法とは?

焚き火に癒やされ、リラックスしている人癒し

学校の林間学習などでキャンプファイヤーを見たことがある人は少なくないでしょう。ゆらゆらと揺れる火を見ていると、なんとなくホッとしたり心が開放的になったりします。ドラマや映画の中でも、焚き火の場面は心情的に重要なことが多いです。

このように焚き火が人の心を癒すのはなぜなのでしょうか。焚き火に期待できる効果や、安全に焚き火を楽しむ方法についてご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 焚き火の癒やし効果の秘密
  • 1/fゆらぎの癒やし効果
  • 安全な焚き火のやり方と焚き火のマナー
  • 焚き火ができないとき、代わりにできること

焚き火で癒やされるのはなぜ?

多くの動物と人間の大きな違いの一つが、火を使うことだとされています。人間と火の歴史は長く、南アフリカの洞窟には約100万年前と推定される草木を燃やした跡が発見されており、狩った獲物を焼いて食べるために火を使ったのだと考えられています。このように火を調理に利用することで、人間はタンパク質や炭水化物を摂取しやすくなったのです。

他にも、火は周囲の獣から身を守るのにも、洞窟の中を明るくして生活しやすくするのにも、寒い冬に暖まるためにも役立っていました。人間の生活が文化的に発展していくためには、火が非常に重要な役割を持っていたと考えられます。それはデジタル化・電化が進んだ現代でも変わらず、火が持つ効果について再認識・再評価されているのかもしれません。

というのも、最近では「ソロキャン」などのアウトドアブームが再来していることもあり、キャンプとともに焚き火の人気も上がってきています。画面上で焚き火をしているかのように眺めたり薪をくべたりして楽しめるスマホアプリがあったり、動画配信サイトでただひたすら焚き火の火が燃えている様子だけの動画が上がっていたりします。

海外では、12時間以上も焚き火の映像を流すだけの番組が人気を博していたり、焚き火の音を集めた効果音集が販売されていたりという事実からも、現在焚き火が注目を浴びていて、人気が出てきていることがわかります。

焚き火の癒し効果は「1/fゆらぎ」って本当?

焚き火を見ているとなんとなくホッとしたり、癒されたりするのは「1/fゆらぎ」によるものだとされています。「1/fゆらぎ」とは光や音、振動などに含まれる特別なリズムのことで、一見規則的なリズムに不規則なリズムが含まれることを「ゆらぎ」と呼んでいます。例えば、歌手の宇多田ヒカルさんの声には「1/fゆらぎ」が含まれていると言われています。

東京工業大学名誉教授の武者利光氏によれば、「1/fゆらぎ」とは生体が本来持っているのと同じリズムであり、動物である人間にとっても本能的に快感や快適さを感じられるリズムなのだそうです。具体的には、「1/fゆらぎ」に触れるとリラックスしたときの脳波である「α波」が増えるため、脳や身体の緊張を解す効果が得られるのです。

自然界の規則的な音や変化は、すべてこの「1/fゆらぎ」を持っているとされています。例えば、天体の動きは一定であるように見えますが、その動きは微妙に変化しています。心臓の鼓動も規則正しいリズムの典型的なものですが、やはり速さには多少の揺れが存在します。このように、規則的な部分と不規則的な部分のバランスが取れている「1/fゆらぎ」を感じるとき、私たちはそこから癒しを感じることができるのです。

代表的な「1/fゆらぎ」としては小川のせせらぎ、木の年輪、木目の間隔などが挙げられますが、焚き火の炎がゆらゆらとゆらぐ形にも、やはり「1/fゆらぎ」が含まれています。そのため、ただぼんやりと焚き火が燃える様子を見ているだけで不思議と心が落ち着き、リラックスすることができるのです。

普段は目に見えない空気の流れやゆらぎも、炎が揺れることで視覚的に確認できます。関西学院大学の実験によれば、暖炉の火の前にしばらくいた被験者は、リラックス感や人生への肯定感が増したと報告されています。このように、焚き火などの炎が揺れる様子の「1/fゆらぎ」は、私たちに安らぎや癒しを与えてくれます。

「1/fゆらぎ」は焚き火以外にもあるの?

前述のように、「1/fゆらぎ」は焚き火以外にもたくさんあります。例えば、小川のせせらぎや鳥のさえずり、虫の音や波の音、木漏れ日、木の葉ずれなど、自然界には至るところに1/fゆらぎが存在しています。逆に、ビルが立ち並ぶような人工的な街中、完璧にシンメトリーの絵やコントロールされた風景などには1/fゆらぎが存在しないため、癒しを感じられないのです。

とはいえ、仕事などで忙しい人は、なかなか自然に触れる機会がないという人も少なくありません。そんな人にもおすすめなのは、クラシック音楽を聴いたり自宅の生活空間に自然素材を増やしたりして、上手に1/fゆらぎを取り入れる方法です。特に、モーツァルトの音楽は規則的・不規則的の構成が1/fゆらぎにより近く、癒し効果を得やすいとされています。

焚き火に期待できる効果とは?

焚き火には「癒し」を中心としたさまざまな効果があるとされています。具体的には、主に以下の6つのことが挙げられます。

癒し効果(ヒーリング効果)
揺れる火を眺めているだけで、精神的な安定が得られる
人間関係に悩む人やリラックスしたい人はもちろん、うつ病の人にも効果が期待できるとされる
余計なことを考えず、ただ非日常空間である焚き火に身を任せるだけ
コミュニケーションのきっかけに
複数人で焚き火を囲めば、自然と会話が始めやすい
普段はあまり話さない人でも、焚き火をきっかけにコミュニケーションが取りやすくなる
もともと仲が良い人では、より深い話をして親交を深められるかも
暖炉の火にも同様の効果があるとされている
脳の発達に良い
最近の研究では、子どもの脳の発達に良い影響があるとわかってきた
焚き火は、現場対応能力や注意力を養うのに適している
実体験で得られるものは動画や本よりもずっと多いため、情操教育の一環としてもおすすめ
ただし、子どもと一緒に焚き火をするときは安全管理をしっかり行う
暖をとれる
大昔から人間がしてきたように、焚き火で暖まることができる
秋なら落ち葉を燃やして焚き火をしやすいことに加え、暖を取るために人が集まりやすい
寒い季節に焚き火を囲みながらコミュニケーションを取るのは趣がある
浄化作用がある
火は「悪い気」など、形のあるなしに関わらず悪いものを燃やしてくれるイメージ
実際に、イヤなニオイの元を燃やして消滅させてくれたりする効果もある
このような浄化作用から、アロマなどにも火が利用されている
なんとなく空気が淀んでいると感じたときには、火を焚いてみるのも良い
生活力をつける
焚き火はどんな種類の木を薪にするか、火を長持ちさせるためにはどうするかなど、知恵や知識を育むのにも良いとされる
薪の加工や台のセッティングに手先を使うことは、普段しない刺激で脳細胞を活性化させられる
ボタン一つでできてしまう便利な世の中で、不便な自然に向き合って段取りを考えることは非常に良い経験になる

このように、焚き火にはヒーリング効果の他にもさまざまな効果が期待できます。コミュニケーションの活性化にも、子どもの情操教育にも、焚き火は有効だと言えるでしょう。

焚き火をするときに気をつけるべきことは?

焚き火をするときに最低限必要なものは、「焚き火台・レザーグローブ・焚き火トング・ターボライター」の4つです。

焚き火台
地中の微生物を殺さないため、直火の可不可に関わらず必ず焚き火台を使う
炎の大きさをコントロールできるため、薪の残量などを調節しやすいメリットも
レザーグローブ
耐火用、耐熱用でなくても構わないが、必要以上に分厚くならないよう注意
必ず試着し、手に馴染んでものを掴んだり操作したりしやすい厚さを購入する
焚き火トング
薪をくべるのはレザーグローブで構わないが、火のついた薪や炭は火傷を防ぐため、必ず焚き火専用のトングで扱う
慣れている大人は短くても良いが、初心者や子どもはなるべく長く捻れない硬いものを使う
ターボライター
焚き火の種火を作るのはなかなか大変なため、簡単に素早く火をつけるために準備しておく
使い捨てライターの炎温度は約400℃ですが、約1300℃まで上げられる
災害時にも役立つため、1つ用意しておくと安心

焚き火で一番注意すべきことは、地面に直に火を起こさないということです。地面を直接焼いてしまうと、雑草が燃えるだけでなく地中の根や微生物までも死んでしまいます。焼かれた地面からは一定期間草が生えられず、結果として自然を破壊してしまうことにもつながりかねません。直火可になっている場所であっても、焚き火台は必ず使いましょう

他にも、焚き火を行うときは以下のようなことに注意しましょう。

すぐに消火できるよう準備しておく
キャンプ場で焚き火をするときは基本的に薪が燃え尽きるまで行うが、万が一人や所持品に燃え移ってしまったときのため
焚き火に火をつける前に、水を入れたバケツや消火器などの消火準備を
焚き火本体だけでなく、火の粉が飛んでいって燃え移る可能性もあるため十分に注意する
ゆったりした服、燃えやすい服を避ける
思わぬタイミングで火が燃え移ってしまう可能性があるため、焚き火の際には避ける
燃えやすい服は、小さい火の粉でも簡単に焦げたり穴が開いたりしてしまう
お気に入りの服、高価な服なども同じような理由で避ける
できるだけぴったりした服を選び、可能であれば市販の焚き火用の燃えにくい服を上から羽織ると安心
後片付けを忘れずに
焚き火は基本的に燃え尽きるまで行うものだが、燃えカスなどが残ったら放置せずきちんと片づける
薪にちょっとでも赤い部分があればまだ火がくすぶっている可能性があるため、水をかけるなどして完全に消火する
キャンプ場で焚き火をした場合、使う前よりもキレイにするぐらいの意識で

万が一のときを考えてすぐ消火できるような準備をしておくことは、焚き火を行う上で一番大切なことです。また、うっかり火が燃え移って火傷するのを防ぐため、ゆったりとした服や燃えやすい服は避けましょう。最後に後片づけをするときに燃え残りがあれば、水をかけるなどして完全に消えたことを確認してから片づけましょう。

焚き火できる場所はどうやって探せばいいの?

焚き火をする場所は、基本的には安全に行えるキャンプ場が良いでしょう。有料の場所も無料の場所もありますので、事前に調べておくと安心です。他にも、ちょうど良い私有地があり、土地所有者の方と連絡が取れるのであれば、私有地を借りて焚き火をする方法もあります。このとき、周辺住民の方が煙を見て驚かないように周知しておいてもらえると安心です。

河川の岸や国有林、浜辺などで焚き火をしたい場合はその場所の管理者か、土地を管理している官公庁・役所などに確認を取りましょう。このとき、土地の所有者は国や県であるものの、土地を管理しているのは管理事務所や出先機関であるというように管理者と所有者が違う場合がありますので、まずは管理者に確認を取りましょう。

たいていは周辺に看板があり、公園管理事務所や河川管理事務所の連絡先が書かれていることが多いです。もし看板などがなくてわからなければ、その地方の森林管理局や役所などに問い合わせると、管理者と連絡先を教えてもらえます。ただし、許可が必ず下りるとは限りませんので、その点には注意しましょう。

また、許可が下りたとしてもやはり煙が上がっていると「火事ではないか」と周辺住民の方が不安に思ってしまう場合もあります。こうした事態を防ぐためには、なにか聞かれた場合にも万全の準備ができていることを示せるよう、水や携帯用消火器を用意しておくのはもちろん、風向きや風の強さ、炎の大きさを調べて調節するとともに、後始末の準備などをしっかり行いましょう。

焚き火ができないときに代わりにできる癒し対策は?

キャンプ場が遠くて行けない、時間がないという人の場合は、実際の焚き火でなくても焚き火に似た癒し効果を得る方法があります。具体的には、動画サイトなどで焚き火のチャンネルを見たり、炎の色を再現したLED照明を見たり、キャンドルや暖炉型のヒーターを使ったりという方法が挙げられます。

動画サイトなどの焚き火・暖炉チャンネルを見る
動画配信サービスや動画投稿サイトなどに、焚き火の動画はたくさん上がっている
部屋の照明を抑え、テレビやPC画面で焚き火の映像を流せば、本当に焚き火をしているかのような感覚になれる
焚き火や暖炉の薪がただ燃え続けるだけの動画は、海外でも人気が高い
炎の色を再現したLED照明を使う
一般的な白色の電球ではなく、炎の暖かな色を再現したLED照明を使うとリラックスしやすい
赤い色の成分が多く含まれるため暖かな印象になるほか、炎の再現度が高いものも
普段から間接照明を使っている方は、こうした電球に換えるとよりリラックス効果が高まる
就寝前の読書タイムなども、ゆったりとくつろげる時間に
キャンドルを灯す
リラックスツールとして定番のキャンドルも、焚き火の炎と同様に1/fゆらぎが含まれる
さまざまな香りが含まれるアロマキャンドルもあり、よりリラックス効果を高めることもできる
火を室内で使うのが不安な場合、電気式の疑似キャンドルも売られている
単に電球の明かりがつくだけでなく、炎のゆらぎを再現できるものやタイマー機能がついたものも
可愛いデザインが苦手な方でも抵抗を感じにくい、シックなデザインのキャンドルも多い
暖炉型ヒーター
火は使っていないが、本当に薪を燃やしているように見える暖炉を模した形の電気ヒーターも多い
電気キャンドルと同様、火のゆらぎまで忠実に再現しているものもあり、本物同様の癒し効果を期待できる
アンティークなインテリアとしてのデザイン性に優れたものも多い

焚き火ができなくても、動画を見たり、キャンドルなど小さな炎を使ったり、電気で擬似的な炎の光を見たりすることが同様の癒しにつながるでしょう。特に、電気キャンドルや暖炉型ヒーターの中には実際の炎のゆらぎを再現したものも多く、安全でありながら本当に火を燃やしているのと同じような癒し効果が期待できます。

おわりに:焚き火の音や光の癒し効果は「1/fゆらぎ」によるもの

焚き火をぼーっと眺めているとなんとなく気持ちが落ち着いたり、リラックスできたりするのは「1/fゆらぎ」という特別なリズムによるものだとされています。焚き火にはその他にも浄化作用やコミュニケーションの活性化などさまざまな良い効果が期待できます。

焚き火ができない場合は、動画サイトやLED照明、キャンドル、暖炉型の電気ヒーターなどで焚き火に近い癒し体験ができます。ぜひ、焚き火による癒し効果を体験してみましょう。

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