猫が持つ癒し効果 ― 猫をマッサージすると人間も癒される?

癒し

SNSにアップされる猫の写真や動画を見て、ほっこりとした気持ちになった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。くりっとした目やふわふわの体毛、のびのびと自由に振る舞う様子などに魅了される人も多くいます。

では、なぜ猫を見たり猫と触れ合ったりすると癒されるのでしょうか。また、人間だけでなく猫自身も癒されるためのマッサージについても見ていきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 猫の癒しパワーの秘密
  • 猫の癒しパワーの効果の具体例
  • 猫も人間も癒やされるマッサージの方法

猫といると癒されるのはなぜ?

猫と触れ合ったり一緒に過ごしたりしていると、イライラした気分が落ち着いたり、心がゆったりと穏やかになったりします。その理由は、触れ合いによって脳から分泌される「オキシトシン」と、なにかのお世話をすることで自分が癒される「逆セラピー」の作用によると考えられます。

オキシトシンとは?
「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させたり痛みを和らげたりする
柔らかいものを撫でると、気持ちよさを感じる神経線維「C触覚線維」が脳に信号を伝え、オキシトシンを分泌させる
気持ちを落ち着かせる「セロトニン」や、快感や多幸感を得られる「ドーパミン」の分泌を促す作用も
逆セラピーとは?
自分から他者(人間以外も含む)の世話をしたり与えたりすることで自分自身が癒されること
精神的に疲れたり、怪我や体調不良で思い通りに行動できなかったりすると、無力感に苛まれやすい
自分よりも小さいものやか弱いものの世話をすると、「自分にも何かができる」というポジティブな感情が生まれ、心身の状態が改善する
猫の世話をすることで生活に張り合いが生まれ、元気になる意欲が湧いてくる

猫の体毛は柔らかく、恒温動物で体温が高いことから、C触覚線維がよく反応してオキシトシンが分泌されます。また、猫という小さな生き物の世話をすることは、与えることで自分が癒される「逆セラピー」につながります。また、猫に特徴的な喉を鳴らす「ゴロゴロ」という音は、ストレスを軽減したり精神的な健康状態を改善したりする効果もあるとされています。

ストレスが減ると、さまざまな健康増進効果があります。例えば、心臓麻痺が起こる可能性が40%減少する、脳卒中になるリスクが30%減少するという報告や、約80%の人で血圧が下がったとする報告もあります。心臓に良いことがコレステロール値を減らしたり、心筋梗塞になるリスクを減らせたりするとも言われています。

2002年に行われたニューヨーク州立大学の研究によれば、ストレスの多い仕事に従事している人がペットと触れ合うとストレスが軽減したという結果が出ています。このように、猫と触れ合うと癒されるだけでなく身体にも良いことは、心理的な体感はもちろん、さまざまな研究結果からもわかっているのです。

猫のゴロゴロ音にも癒し効果があるって本当?

猫が気持ちよさそうに喉を鳴らす「ゴロゴロ」「グルグル」という音は、約25〜150ヘルツの周波数帯です。これは非常に低い周波数で、心身をリラックスさせたり筋肉の緊張を解したりする副交感神経を優位にできます。副交感神経が優位になると、体温を上げて血圧を下げる効果も期待できます。精神的にも前向きな思考をもたらしたり、多幸感につながったりします。

さらに、このゴロゴロ音は猫が他の動物よりも約3倍という驚異的なスピードで骨折が治ることに関係していると考えられています。ゴロゴロ音による振動が骨密度を高め、骨芽細胞を活性化するからだという研究結果も報告されています。

さまざまな良い効果が報告される「ゴロゴロ音」は、フランスでは「副作用のない薬」と呼ばれ、ゴロゴロ音を活用した「ロンロンセラピー(※フランス語で猫のゴロゴロ音はロンロンと表現される)」という名前で人気になりました。実際に、フランスでは人間の骨折治療にも使われている例もあります。

猫の効果を具体的に説明するとどんなものがある?

猫の癒し効果については前章でご紹介しましたが、猫と過ごしたり、猫を飼ったりすることで得られる効果を詳しく見ていくと、どんなものがあるのでしょうか。身体的な効果、精神的な効果、子どもへの効果の3つに大きく分けて見ていきましょう。

猫と過ごすことで得られる、身体的な効果とは?

猫と過ごすことで、主に以下のような身体的効果が得られるとされています。

病気のリスクが軽減する
心臓発作、脳梗塞、循環器系疾患のリスクを減らせる
ミネソタ大学の研究によれば、猫と暮らすと脳梗塞のリスクを33%、生命に関わる循環器系の疾患は30-40%減少する
血圧やコレステロール値を下げる
猫を飼っている人の方が、飼っていない人よりも血圧が低い
猫に触れることでコルチゾールの分泌を抑え、血圧を下げる効果もある
カナダの研究では、コレステロール薬よりも猫を飼う方がコレステロール値を下げると言われている
猫を飼っていると、高コレステロールの原因となるトリグリセリド(中性脂肪)が少なくなる
免疫力アップ
猫に触れると分泌が促進されるオキシトシンには、免疫力を高める効果も
骨や筋肉の損傷があったとき、治りを早くする
ゴロゴロ音は、その周波数によって骨や筋肉の自然治癒の速度を高めるとされる
うつ病や認知症の状態をサポートする
うつ病の気分の落ち込みを改善したり、認知症の進行を抑えたりする
快眠できる
イギリスでは恋人と一緒に寝るより、猫と一緒に寝る方がよく眠れるというアンケート結果も
猫の性格によっては、安眠を妨害されることもある
人命を救うことがある?
人間や他の動物の病気や危機を感じ取れると言われ、具合が悪いときに他の家族を起こしてくれることも
猫に救われたという話は世界各地で聞かれるため、全く信憑性がないわけでもない

最初にもご紹介したように、猫と過ごすことは副交感神経を優位にして心疾患や循環器系疾患のリスクを下げたり、オキシトシンの分泌を促して免疫力をアップしたり、ゴロゴロ音によって骨や筋肉を損傷したときの自然治癒力をアップしたりすることがさまざまな研究からも報告されています。

猫と過ごすことで得られる、精神的な効果とは?

猫と過ごすことが精神的な癒しになることは体感的にもわかりやすいですが、具体的に表すと以下のような効果が得られます。

イライラや怒り、不安を解消して幸福感をアップ
猫に触れて分泌されるオキシトシンは、怒りや不安などのネガティブな感情を払拭し、幸福感をアップする
人が一方的にオキシトシンの分泌効果を得るのではなく、撫でられた猫にもオキシトシンが分泌される
猫が触ってほしいときに触ることで、人間も猫もお互いに幸福感を得られる
孤独感が減る
2003年にオーストラリアで行われた研究によると、猫がいると恋人や子どもがいるのと同等の満足感を感じられる
心理学の研究によれば、猫の脳と人の脳は9割程度構造が似ているとされるため、感情も似ていると考えられる
つまり、猫と過ごすことは他の人間と暮らすことと感情面で非常に近いと言える
仕事が捗る
インディアナ大学の調査によれば、猫の動画を見ると仕事が捗ると報告される
仕事がうまく行かないときや、集中できないときは手を止めて猫の動画や画像を見ると良い
知らず緊張していた身体の力も抜け、再び仕事に集中できるようになる
恋人探しになるかも?
猫が好き、または飼っている男性を魅力的だと感じる女性は多い
イギリスで行われたアンケートでは、90%の女性が上記のように答えたとのこと
ただし、モテるために猫を飼うのではなく、好きで猫を飼っていることが重要

猫に触れるとオキシトシンが出ることは最初にご紹介しましたが、これは「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などと呼ばれるように、心を穏やかにして幸福感を得られるほか、他者への信頼の気持ちが増したり、社交的になったりするとされています。また、オキシトシンは触れた人間だけでなく、猫の方も分泌されますので、猫が撫でられたがっているときにはたくさん撫でてあげましょう。

猫と過ごすことで得られる、子どもへの効果とは?

猫は、子どもへの癒し効果もあるとされています。

喘息やアレルギーになるリスクが減る
2012年にアメリカ微生物学会で発表された調査結果によれば、子どもの頃から猫と暮らしていると、猫のホコリ中の微生物が胃腸に免疫反応を起こし、喘息の病原体から身体を守る
犬でも同様だが、猫の場合はさらにトキソプラズマに対する抗体も得られる
1歳になるまでに猫と暮らした子どもは、さらに動物アレルギーやハウスダスト、花粉などのアレルギーになりにくくなるという報告も
ただし、生まれつき猫アレルギーを持っている可能性はあるため、飼い始める前に注意が必要
自閉症や発達障害の子どもへの癒し効果
オーストラリアのクイーンズ大学で行われた研究によれば、猫と接している自閉症児は、接していない自閉症児よりも笑顔や会話が多く、人の顔を見ることもできる
アメリカのミズーリ大学研究センターによれば、猫を含むペットを飼っている発達障害の子どもは、飼っていない子どもよりも人と付き合うスキルが高いとされる
ただし、どんな性格の猫が良いのかはまだ研究段階
責任感や共感力が育つ
言葉でのコミュニケーションができない猫の世話をすることで、責任感や共感力が育つ
子どもの頃に猫を飼っていた人は、他人の気持ちを察する能力が高いとされる
子どもの親友になってくれる
8割の子どもが、親や友人よりも猫に自分の本音を話すという研究結果がある
9割近い子どもが、猫は親友だと思っているという研究結果も
マイアミ大学で学生に行った聞き取り調査によれば、猫のことを考えると自分が否定された気持ちを感じずに済むとのこと

猫は大人にとっての癒し効果だけではなく、子どもの成長や免疫獲得にも効果を発揮するとされています。また、情操教育として責任感や共感力を育てられることはもちろん、子どもにとって良い親友になってくれる可能性も高いです。

猫を癒し、自分が癒されるにはマッサージが良い!?

猫も癒され、自分自身も癒されるためには、マッサージがおすすめです。マッサージをすると、猫も飼い主もオキシトシンが分泌され、副交感神経が優位になってリラックスできます。猫の全身の皮膚には「感覚受容器」と呼ばれる、虫などから身を守るセンサーのようなものがたくさんあり、信頼した人にそのセンサーを触れられると非常に幸福感が高まるそうです。

猫をマッサージすることで、他にも人間と猫が得られる効果はそれぞれ以下のようになっています。

マッサージで人間が癒される理由

ゴロゴロ音の振動
猫のゴロゴロ音は音を聞くことでも癒し効果が得られるが、マッサージで手のひらからゴロゴロ音を感じるとより効果が高まる可能性がある
人への効果が認められているイルカの鳴き声「クリックス音」にもそっくり
信頼関係を感じられる
猫は用心深く、簡単には触らせてくれないことから、信頼関係を感じられる
猫をマッサージする飼い主は信頼されている幸福感を得られ、マッサージで猫が飼い主のことをより好きになるというように、お互いに信頼関係が深まる

マッサージで猫が癒される理由

血流が良くなる
猫の身体の末端までしっかり血液が循環すると身体が温まり、代謝や免疫力をアップさせる
マッサージでツボを刺激すると、さまざまな臓器が活性化され、猫の心身のバランスが整う
むくみがとれて、身体や頭がスッキリする
血流やリンパの流れが滞ると猫の身体がむくんでしまうが、マッサージで流すとスッキリする
顔周りのリンパが滞ると、視界がぼやけるのか目元がぼんやりしていることがあるため、マッサージで流してあげると良い

猫のマッサージはどうやればいい?

猫は音に敏感な動物なので、できるだけ静かで落ち着け、猫も飼い主も楽な体勢でマッサージできる場所で行いましょう。また、忙しい時間帯や出かける前などでは飼い主の焦りが伝わって猫がリラックスできない可能性がありますので、時間にゆとりがあるときに行うことも重要です。マッサージの強さは、押したときに爪の下の皮膚の色が白くなるくらいで、猫の好みの力加減を試してみましょう。飼い主からすると、少し強いかなと思うくらいがちょうどいいようです。

マッサージで猫がリラックスし始めると、以下のような反応を示してくれます。

  • 喉をゴロゴロ鳴らしている
  • 人の手を舐めている
  • 目を細めている
  • 前足をグーパーしている
  • 力を抜き、だらんとしている
  • 動向が適度な大きさに開いている

身体に力が入っていたり、こわばっていたり、しっぽをぺしぺしと床に叩きつけたり、瞳孔が大きく開いていたりする場合は、リラックスしていないと考えられます。とはいえ、マッサージを始めたばかりのときにリラックスしていなくても、噛んだり引っ掻いたり、明らかに嫌がっているようでなければ、5分くらいはマッサージを続けてみるのが良いでしょう。徐々に緊張が解けて、リラックスしてくるかもしれません。

マッサージの頻度はできるだけ毎日、30〜45分くらいかけて全身を一通り行いましょう。逆にこれ以上長い時間行っても、飼い主も猫も疲れてしまいます。時間がなければ週に1〜2回程度でも良いでしょう。また、マッサージを始める前に以下のようなことを毎回行うと、猫に「これからマッサージをするよ」とわかりやすくなります。

合図を決めておく
マットを運んでくる、飼い主さんの手を温めるなど、必ず行う動作を決めておく
あごまわりをこちょこちょくすぐってみる
最初にこの動作をして、ゴロゴロ喉を鳴らしたり目を細めたりして気持ちよさそうであればマッサージしてOK
深呼吸をする
飼い主も力を抜いて、落ち着いてマッサージを行うことが大切

猫を飼いたいな、と思ったときに準備することは?

ここまでご紹介してきたように、猫にはさまざまな癒し効果があり、猫を飼ってみたいと思った人も多いでしょう。そこで、最後に猫を飼うための準備についてご紹介します。まず、猫を飼うと長期間家を開けられなくなること、部屋の間取りや広さを考慮しなくてはならないこと、日中に部屋を空けるときの対策に気をつけましょう。

長期間、家を開けられなくなる
猫の餌やりや水やり、トイレの世話などをするためには、長期間家を開けられない
どうしても出張や旅行がある場合は、ペットホテルの利用や友人宅に預けるなどの対処が必要
外出や外泊が苦手なタイプの猫なら、ペットシッターを利用する方法もある
猫を飼う前に、事前に預け先や利用できるサービスを調べておくとベスト
部屋の間取りや広さ、トイレの場所
猫は上下運動で運動することが多いため、広さにはこだわらなくても大丈夫
高さのある空間にキャットタワーを置くなど、運動できる環境を作ることは重要
お互いに距離を置きたいとき、多頭飼いをしていて感染症にかかった猫を隔離したい、などの場合は部屋を分けられるようにした方が良い
猫のトイレはかなり臭うので、リビングや寝室に置くのはおすすめできない
猫自身が安心して排泄できる場所かどうかも重要
トイレの場所が気に入らないと、トイレの外で粗相してしまうこともあるので注意
日中に部屋を空けるときの対策
仕事や学校に行くとき、猫が家で快適に過ごせるよう工夫が必要
日中ごはんが食べられるよう、自動給餌器を利用したり、出かける前にトイレをキレイにしておいたり、爪とぎやキャットタワーを設置しておいたりして退屈しないようにする
留守中は外に出して自由に散歩させれば良いと考える人もいるが、出先での事故や猫どうしのケンカに巻き込まれたり、感染症にかかったりするリスクがあるため、家の中で

また、猫を飼うときには最初のお迎え費用以外にも、毎月の餌代やおやつ代、おもちゃやトイレの砂代などさまざまな費用がかかります。アニコム損保が発表した「ペットの年間支出調査」の結果によれば、猫の1年間の飼育費は総額23万1,450円とされています。つまり、猫1匹につき、月19,000円くらいの飼育費が必要と考えられます。

具体的には、月々の餌代としてかかるのは3,600円程度(アニコム損保による)、その他に夏や冬の光熱費、トイレの砂代などが避けられずかかってくる費用です。食器やトイレ、爪切り、ブラシ、おもちゃやキャットタワー、ケージ、首輪などは一度買えば長く使えますが、それでも数年経つうちに汚れたり壊れたりすることもありますので、買い替えなくてはならないこともあります。

また、その他の注意点として、以下の3つを心がけましょう。

猫の寝床を用意する
専用ベッドでなくても、クッションや人用の布団でも猫が安心して眠れればOK
特に寒い冬には、猫が冷えないよう入り込める布団や毛布を用意しよう
危険物を置きっぱなしにしない
ドアを閉めたり柵を設けたりするなど、危険な場所や近づいてほしくない場所には防止策を
輪っか状の紐にじゃれて首に巻きついたり、小さいプラスチックを誤飲してしまったり、電気コードをかじって感電したりしてしまう可能性もある
コードカバーをしたり、危険物は家具の後ろに隠したり、細かいものを散らかしたりしないよう片づけておく
家に帰ったら遊んであげる
猫は比較的マイペースな動物だが、放置されすぎるとストレスが溜まる
家に帰ったときに猫が甘えてきたら、構ったりたくさん遊んだりしてあげよう

猫は癒しを与えてくれる動物ですが、飼ってずっと一緒に過ごすためにはさまざまな準備や費用がかかることを考えなくてはなりません。特に、ひとり暮らしの場合はお世話をする人も遊ぶ人も自分一人ですから、飼い始める前にさまざまなケースを想定し、よくシミュレーションしておきましょう。

おわりに:猫をマッサージすると、人間も猫自身も癒される

猫にはさまざまな癒し効果があり、一緒に過ごしたり触れ合ったり、お世話をしたりすることで気持ちが穏やかになったり、心疾患系のリスクを下げられたり、ゴロゴロ音によって骨や筋肉の治りが早くなったりします。

また、猫をマッサージすることで、人間だけでなく猫自身も血流改善やむくみが取れるなど癒し効果を得られます。忙しくても週に1〜2回は愛猫と触れ合い、猫の体調をチェックしてあげましょう。

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