癒される空間の作り方 ― どんなインテリア・雑貨を選べばいい?

癒し

そこに来るとなんとなく落ち着く、癒されるという場所は誰にでもあるでしょう。こうした場所があることは良いことなのですが、できれば自宅を癒しの空間にして、帰宅したときにほっとできる場所にしたいものです。

そこで、今回は癒される空間の作り方についてご紹介します。そもそも人間はどんな空間に癒しを感じるのか、インテリアや雑貨をどう選べばいいのか見ていきましょう。

人間はどんな空間に癒しを感じるの?

人間は、主に五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)によって癒しを感じます。実際に目で見たり、耳で聞いたり、匂いを嗅いだり、味わったり、身体で触れたりする感覚を通じてさまざまな欲求が満たされることで「癒された」と感じるわけです。中でも、空間から満たされる感覚としては視覚・触覚が重要です。

視覚から感じる癒し
自然、動物、色などの情報で気持ちがリラックスしたり、無意識的にストレスが解消されたりすることがある
起きて活動している間、ほとんどの時間で何かを見て情報を得ているため、視覚から感じる情報は癒しと重要な関係がある
触覚から感じる癒し
心理的な疾患の治療にも用いられるほど、触覚と癒しには重要な関係性がある
柔らかいものに触れたり、身体全体を包み込むような感覚を得たり、温かいものに触れたりすると癒しを感じる

一説には、五感から得る情報の合計を100%としたとき、視覚から得る情報は80%を超えるともされており、目に映る情報は人間にとって非常に重要な影響を及ぼすことがわかります。一方、癒しという効果に特化したとき、触覚は精神疾患の治療にも使われるほど重要な役割を持っています。

癒しの空間「ホリスティック空間」効果と重要性とは?

では、なぜ癒しを空間で考える必要があるのでしょうか。それは、人間は誰しも1日の多くを自宅やオフィスなどの建物内(空間)で過ごしているからです。夜、ベッドで眠りにつく時間は平均で6時間〜8時間ですが、これだけでも人生の1/3〜1/4は寝室で過ごしているという計算になります。個人差はあるものの、人間は人生の85〜90%くらいの時間をどこかしらの空間の中で過ごしていると考えられるのです。

つまり、空間は人間が生きる上で不可欠であり、かつ、人生の大半の時間を過ごす空間からはさまざまな影響を受けます。例えば、毎日キレイなものや整頓されているもの、木や植物などの美しい自然を見ていると、それだけで人間は気分や身体の調子が良くなったりします。

これは、心地よいと感じられるものを見ていると脳から幸せホルモンが分泌され、細胞を活性化したり気持ちを明るくしたりしてくれるからです。逆に、汚いものや散らかった部屋、不快感を感じるものがいつも視界に入っていると、ストレスを感じたときと同じホルモンが分泌され、気分や体調が不快になってしまいます。

他にも、心地よい自然素材の家具に囲まれていると、安らぎやぬくもりを感じながら生活できます。逆に、固く冷たい素材が多い無機質なインテリアに囲まれていると、心身ともに冷えたり緊張しやすくなったりします。冷たい金属に触れると血管が収縮し、生命にも危険なヒートショックを起こしてしまうこともあります。

光が差し込む風通しの良い空間の中では自然と呼吸が深くなり、副交感神経が活性化されてリラックスでき、穏やかで幸せな気持ちになりやすいですが、暗く淀んで空気がこもりがちな部屋の中では呼吸が浅くなり、仕事から帰ってきても交感神経から副交感神経に切り替わらず、自律神経のバランスを崩してしまいやすくなります。やがて脳に酸素が届かなくなったり、免疫力が低下したりする可能性もあります。

これらはごく一部の事例ですが、毎日を過ごしている空間が人間の心身の状態や幸福度に大きな影響を及ぼすのは事実です。ですから、毎日健康で穏やかに、幸福感を感じながら生きていくためには、環境が人間に与える影響について知るとともに、部屋をより良い空間に整えていく必要があります。

このような「癒し空間」のことを「ホリスティック空間」と呼ぶこともあります。ホリスティック空間とは「人がそこにいるだけで、心身が癒され健康で幸せになれる空間」のことを指し、住まいやインテリアの中に自然界の要素を取り入れ、動物としての人間の本来の自然で健康な状態を実現していくものです。

人間も動物の一種で、かつては豊かな自然の中で暮らしていました。ですから、人間も健康かつ幸せに過ごすためには、やはり自然とのつながりを感じながら生きることが不可欠なのです。ビルや機械の多い都会に住んでいたり、仕事で忙しくしていたりするとどうしても自然を感じたり、リラックスしたりして過ごす機会が少なく、自律神経のバランスを崩したり精神疾患を発症したりしやすいです。住まいやオフィスの空間も冷たく無機質だったり、自然のぬくもりを感じられない空間だったりした場合はなおさらですから、ホリスティック空間で生命力あふれる自然のエネルギーを感じることが重要なのです。

こうしたホリスティック空間には、以下のような効果が期待できます。

  • 深くリラックスできる
  • 心身が癒され、健康になる
  • やる気や生きる意欲が湧く
  • 明るく、前向きになる
  • 思考がクリアになり、問題解決能力が増す
  • 自律神経が整い、生命力が向上する
  • 脳が活性化し、インスピレーションやアイデアが湧きやすくなる
  • 感受性が豊かになる
  • 人間関係やコミュニケーションが円滑になる

もし、家にいても落ち着かない、疲れがなかなか取れない、気分が晴れないなどと感じているようなら、部屋やインテリアをホリスティック空間になるよう整えてみてはいかがでしょうか。自然と調和するホリスティック空間で過ごすことで、疲れや落ち込みを回復し、毎日を元気に明るく過ごせるようになるはずです。

また、2020年に世界的に流行した新型コロナウイルスなどの影響により、職場と住居は別である「職住分離」の生活から、職場と住居が同じ「職住融合」の生活へと徐々に変化しつつあります。すると、ますます自宅で過ごす時間は長くなりますので、できるだけ快適かつ癒しを感じる空間が必要になってきます。

職住融合の暮らしでは、1日の1/3を占める睡眠・寝室の環境も大切です。仕事をする場所と寝る場所をしっかり分け、活動する時間と休息する時間のメリハリをつけましょう。こうすることで、寝るときにも交感神経が働きっぱなしになって自律神経が乱れるのを防ぎ、寝るときには身体の疲れをとるとともに気持ちをリフレッシュさせられます。

自分だけの「癒し空間」を作るインテリア・雑貨の探し方とは?

ここまでご紹介してきたように、癒し空間を作るためには視覚・触覚が特に重要であり、かつホリスティック空間となるように整えていくことが重要だと考えられます。そこで、最後に視覚と触覚に分け、具体的にホリスティック空間を作るためのポイントをご紹介します。

視覚的に癒しを感じる部屋の作り方って?

部屋の作り方において、特に視覚的に重要なのは「配色」「家具」「照明」の3つのポイントです。まずは、部屋全体のイメージを司る配色から見ていきましょう。人が好ましいと思う色はさまざまですが、癒しを感じるため、休息のためのホリスティック空間を作るためという意図に限れば、やはり自然界に存在する「ナチュラルカラー」がおすすめです。海や空の色、夕焼けを感じさせるパープル系も良いでしょう。

ブルー系:海や空の色を連想させ、イライラを落ち着かせる
心を静かに安定させる視覚効果があることから、自分の気持ちをコントロールしたいときに
帰宅したとき、最初に目に入るリビングルームなどの配色に使うのがおすすめ
パープル系:花や夕焼けに見られ、気持ちを穏やかに
前述のブルー系の効果に赤みが加わり、気持ちを落ち着かせながら明るくする効果も
ブルーベースにパープルを差し色として使うとより効果的
グリーン系:葉や木の色を連想させ、ほっと和ませてくれる
寝室・書斎などプライベート空間の配色におすすめ
ブラウン系:木の幹や大地を連想させ、リラックス効果が期待できる
ゆったりとした印象から、緊張感をほぐす働きも

部屋ごとに配色のテイストを多少変えるのは良いですが、家全体や部屋全体として色の統一感があることも大切です。同じように、家具の色やデザインにも統一性を持たせるように気をつけましょう。また、いくら統一性があっても圧迫感を感じてしまう家具では落ち着けませんので、背が高すぎるものや重厚すぎるデザインのものを選ばないよう気をつけましょう。

デザインが同じ家具で部屋を統一すると、それだけでもすっきりした印象になりますし、同じシリーズの家具であれば高さや幅などのバランスもとりやすく、ごちゃつかずストレスフリーな空間を作れます。お気に入りのデザインの家具をシリーズで揃えることは、満足感や達成感にもつながります。

ここで重要なのが、圧迫感を感じないデザインや家具シリーズを選ぶということです。部屋に適度なスペースがあることは、心にも余裕をもたらします。高さが低いもの、抜け感があるデザインのものなどを選ぶと視界が広がり、スッキリとした部屋になります。特に、ソファ・テレビボード・収納類など、生活に欠かせない家具はこうしたポイントに注目して選びましょう。

また、癒しを感じる部屋を作るためには照明も非常に重要です。蛍光灯の光やスマホ・パソコンのブルーライト、テレビの光など、我々は日常生活の中で気がつかないうちに目に疲れを溜めてしまっています。疲れてしまった目を癒すには、白い光よりも光量が少なく目に優しいオレンジ色の光が良いでしょう。オレンジ色の光は夕日を連想させるため、気持ちを穏やかにしたり緊張感をほぐしたりしてくれます。

部屋の光量を調節しやすい間接照明を利用するのも重要です。見た目にもお洒落ですし、フロアランプとテーブルランプの組み合わせで光に高低差をつけると部屋全体がよく照らされますので、生活に困ることもありません。心身ともにほっとできるオレンジ色の光で、ホリスティック空間の視覚効果を仕上げましょう。

触覚から癒しを感じる部屋の作り方って?

癒しを感じる空間づくりでもう一つ重要なポイントが、触覚です。触り心地、座り心地、寝心地など、身体と肌で感じる癒しも疲れをとったりリラックス効果を高めたりする重要な要素です。ソファやベッドの座り心地や寝心地が悪いと、せっかくのリラックスタイムや睡眠時間を有意義に過ごせません。ホリスティックな空間を作るためには、室内で触れる家具の素材なども意識しましょう。

ソファなどはカバーに多く触れることになりますから、フレームの素材よりもカバーの素材にこだわりましょう。天然素材を使った上質なファブリックは吸湿発散性に優れ、さらりとしているのに柔らかくボリューミーな肌触りに癒されます。特に、低刺激で肌触りの良いコットン素材などがおすすめです。

リビングルームでくつろぐとき、ソファにいる時間が一番長いという人も多いでしょう。一般的な椅子よりも身体を預けてゆっくりできる反面、身体に合っていない、好みの硬さや座り心地でない、という場合はリラックス効果が下がってしまう可能性もあります。カバーだけでなく、中身の材質にも実際に座るなどしてこだわりましょう

また、クッションは差し色などのアクセントとして使うだけでなく、触覚による癒しとしても重要な役割を持っています。何かを抱えるという時間そのものに癒し効果があるのはもちろん、ソファに座っているときにクッションを抱えるとリラックス効果が増すとされています。腕の支えにもなるので、安定した姿勢で長時間座っていられて疲れにくいというメリットもあります。

日本の文化として古くから親しまれてきた畳の触り心地も、また癒しをもたらしてくれるものです。畳はい草を使って作りますので、天然素材の吸湿性があり、日本の気候に適していてさらりとした触り心地が味わえます。空気を含んでいてクッション性もあり、長時間畳の部屋に座っていても疲れにくいことも大きなメリットです。

畳を敷いた和室では、正座など床に近い姿勢で過ごすことが多くなりますので、より畳の癒し効果を感じやすいでしょう。ローテーブル・座椅子・座布団などの家具を置いて、ゆっくりリラックスタイムを楽しむのもおすすめです。

人生の3分の1を過ごす寝室を快適に

睡眠に使う寝室で人生の1/4〜1/3を過ごすことになるのはホリスティック空間の章でもご紹介しましたが、したがって睡眠中に快適な寝心地を実現することは、癒しに大きな効果をもたらします。適切なベッドサイズやマットレスのフィット感、睡眠時に適温が保てることなどが快適な寝具の条件です。

ベッドサイズ(ベッドフレーム)
寝心地を大きく左右するのがベッドフレームのサイズで、男性と女性、体格や使用人数で快適なベッドの広さは異なる
自然に寝返りを打て、窮屈感を感じないサイズのベッドを選ぶのがカギ
シングル〜セミダブル:大人一人用。身体の大きい男性や、ゆったりとした寝心地が好みな人はセミダブルがおすすめ
ダブル〜クイーン:大人二人用。子どもと三人でクイーンサイズに寝るのもおすすめ
マットレス
身体に合わないマットレスで睡眠を続けていると、疲れがとれず溜め込んでしまう
身体に合う好みのマットレスを探し、快適な寝心地を実現しよう
掛け布団や毛布で適温の睡眠を
暑い、寒いと感じながら眠るのは大きなストレスに
季節に関係なく、常に「適温」と感じられることが快眠につながる
毛布などの肌触りも季節に応じて変えられると、不快感を感じることなく眠りやすい

睡眠の質は、そのまま毎日の生活の質を左右すると言っても過言ではありません。身体に余計な負担やストレスをかけることなく快適に過ごすためにも、快適な寝具にこだわりましょう。

おわりに:癒しの空間「ホリスティック空間」を作り、毎日を快適に過ごそう

人が癒しを感じるのは、五感を通じてさまざまな欲求が満たされるからです。1日の大半を何らかの空間で過ごす人間は、自然とのつながりを感じられる「ホリスティック空間」にいるとき、心身ともに癒されて健康・幸せになれるでしょう。

ホリスティック空間を作るには、主に視覚と触覚の面からインテリアや家具を選びましょう。特に、人生の1/3を過ごす寝室を快適な空間にすれば、毎日の生活の質もアップすると考えられます。

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