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GABA(ギャバ)は本当にストレスに効果がある?自分で増やす方法はある?

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ストレス
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ストレスを和らげてくれるという触れ込みで有名な「GABA(ギャバ)」という物質は、チョコレートなどのお菓子のパッケージで見かけることも多いのではないでしょうか。ストレス社会で戦う現代人にとって非常に魅力的な効果ですが、本当にGABAはストレスに効果があるのでしょうか。

今回は、そんなGABAに期待される作用や自分で増やせるのかどうか、安全性に問題はないのかなどをご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • GABAがストレスに良い影響を与えるメカニズム
  • GABAをとるのにおすすめの食べもの&飲みもの
  • GABAを上手にとりいれるコツ
  • GABAをとるときの注意点
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GABAがストレスに良いのはなぜ?

GABAとは、いわゆる「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンややる気を司るドーパミン、ストレスに抵抗するためのノルアドレナリンなどと同様の「神経伝達物質」の一種です。例えば、うまみ成分として有名な「グルタミン酸」は「興奮性」の神経伝達物質ですが、GABAは反対に「抑制性」の神経伝達物質とされています。

つまり、ざっくり言えば身体を活動モードにし、緊張状態にするタイプの神経伝達物質が「興奮性」、身体をリラックスモードにし、休息状態にするタイプの神経伝達物質が「抑制性」と言えるでしょう。GABAはこの「抑制性」の神経伝達物質ですから、身体をリラックスモードに導いてくれると言ってよさそうです。

実際に、体内では脳内の血流を活発にして酸素の供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高めたりする働きがあることがわかっています。また、身体のさまざまな機能を調節している自律神経のうち、身体を活動モードにする「交感神経」の末端からノルアドレナリンが分泌されるのを抑制して血管をゆるめ、血圧を下げる作用もあるとされています。

GABAとは「Gamma Amino Butyric Acid」の頭文字を取った略称で、日本語訳は「γ-アミノ酪酸」となります。つまり、前述のグルタミン酸などと同じようにアミノ酸の一種ですが、タンパク質を作る18種類のアミノ酸とは異なり、ヒトをはじめとする哺乳動物の脳や脊髄、甲殻類の神経筋接合部などに多く存在することが知られています。

動物のほか、植物にも広く存在し、米・茶・野菜、特に発芽玄米や納豆などの発酵食品で含有率が高いとされています。人体では通常、睡眠中(特に深い眠りに入っている最中)にGABAが作られます。日本では「血圧が高めな方へ」という表示で特定保健用食品(トクホ)素材として許可もされており、血圧低下に一定の効果が期待できるでしょう。

GABAに期待される作用をまとめると、以下の4つのポイントがあります。

血圧を下げる
利尿作用を促し、血圧を下げる
肝臓や腎臓の働きを高める
腎臓の動きを活発にして血圧を下げるだけでなく、肝臓の働きを促す効果も
この作用により、アルコールの代謝も早くなると考えられている
リラックス効果
脳の神経が興奮しすぎないよう、抑制してくれる
興奮を抑えることで、結果的にリラックス効果につながる
記憶改善作用
脳への酸素供給量を増加させ、脳及び脳細胞の代謝を高め、活性化する作用があるとされる

このように、GABAは血圧を下げたりリラックスさせたりする効果のほか、肝臓や腎臓の働きを高めたり、脳にたくさんの酸素を送り込んで代謝を活性化し、記憶力を回復したりする働きがあるとされています。ストレスが多く脳や神経が興奮しっぱなしになりやすい現代社会において、重要な物質の一つであることは間違いないでしょう。

関連記事:脳の疲労を回復し、リラックスするための対処法とは?

GABAを増やすにはどんな食べものを食べればいいの?

GABAを増やすには、体内でGABAを効率よく生成できるよう、GABAの材料となる物質を摂取するのが良いでしょう。GABAはアミノ酸の一種「グルタミン酸」から作られますので、アミノ酸が多く含まれる魚や肉、卵などを意識的に摂取するのがおすすめです。

また、体内でのGABAの合成に関わる「ビタミンB6」も一緒に摂取すると、より効率的にGABAを生成できるでしょう。ビタミンB6はかつお・まぐろ・鮭などの赤身魚や豚ヒレ、バナナ、玄米などに多く含まれています。

さらに、ある種の腸内細菌は生体の腸内でGABAを生成することがわかっています。抗ストレス効果のある乳酸菌も何種類か発見されていますが、今後の研究によってはGABAとの関連性が明らかになるかもしれません。また、GABAの受容体は腸管にあります。これらの理由から、GABAを効率良く作るためには腸内環境を整えることも重要だと考えられます。

また、GABAを多く含む食べ物から直接摂取する方法もあります。具体的には、以下のような食品に多く含まれています。

野菜・果物
トマト、じゃがいも、ナス、アスパラガス、きゅうり、メロン、かぼちゃ、みかんなど
発酵食品
キムチ、納豆など
その他
発芽玄米、蕎麦、チョコレートなど

特に発芽玄米にはGABAが多く含まれているとされ、100g中に4mgものGABAが含まれます。お茶碗1杯を150gとすると、1食で6mgのGABAが摂取できるということです。GABAがヒトにリラックス効果をもたらすためには、1食あたり30mg以上が目安とされています。血圧の上昇を抑える作用については、10〜20mgでも効果が認められたそうです。

発芽玄米にキムチや納豆などの発酵食品、野菜などをうまく組み合わせ、GABAの多いメニューを食事に取り入れましょう。また、GABAを摂取するときは以下のポイントに注意しましょう。

1日の摂取量は?
1回に30mg〜100mgでリラックス効果が、10〜20mg以上で血圧抑制効果が見込める
食べると眠くなる?
GABAは睡眠の質を高めるが、眠りそのものを誘発する効果はない
GABAの摂取に良いタイミングは?
血中のGABA濃度は摂取してから1時間程度でピーク、その後減少するとされる
血圧の上昇を抑える作用は、摂取直後から5時間持続したという報告も
昼間に摂取したGABAが、夜間の安眠に効果を及ぼしたという例も
結論として、摂取しやすい時間に摂取して良い
普通の玄米ではダメ?
発芽玄米は、通常の玄米の1.3倍のGABAが含まれるとされる
普通の玄米でも良いが、発芽玄米ならさらに効率よくGABAを摂取できる

また、GABAの血圧抑制作用から、過剰に摂取したり、もともと正常な血圧値の人がせっしゅしたりすると低血圧になってしまうのではないかと考える人もいますが、そのようなことはないとされています。ただし、血圧降下剤などの薬剤を飲んでいる人がGABAを摂取すると、場合によっては副作用が出る可能性もあります。こうした薬を既に服用している人は、GABAを摂取する前に主治医に相談しましょう

関連記事:ストレス対策に役立つ甘いものとは?頼りすぎるとどんな危険がある?

GABAを直接とっても効かないって話は本当なの?

前章ではGABAを直接摂取する方法もご紹介しましたが、この方法ではGABAの効果が十分に得られないとする説もあります。GABAは摂取すると腸管から吸収され、血液中に移行するのですが、血液中には入れても脳との間にある「血液脳関門」という部分を通過できないため、脳の中には入れないからです。

このことから「GABAを体外から摂取して血中を巡らせても、実際に脳内で神経伝達物質として機能するわけではなく、効果がない」とする説が生まれました。一方、これについては「脳に入るかどうか」ではなく、「腸管から吸収される」ことに意味がある、とする説があります。ある海外の研究によれば、GABAを直接摂取することで抗ストレス効果が期待できる仕組みを以下のように説明しています。

  • 腸には、脳と同様にGABAの受容体がある
  • 腸と脳の間をつなぐ「瞑想経路」を介して、GABAの効果が脳に伝わっている可能性
  • GABAが「血液脳関門」を全く通過できなくても、腸管神経を介して間接的な影響があり、GABAを含む食品やサプリメントの効果が発揮された可能性

腸は、自律神経回路によって神経細胞同士の間に神経伝達物質を飛ばせるネットワークを持っています。これによって脳と同じように、身体の他の臓器に腸が指令を飛ばすこともあるため、「第2の脳」と呼ばれることもあるのです。重要な神経伝達物質の一つである「セロトニン」も、そのほとんどが腸で作られます。

近年では、こうした腸で作られる神経伝達物質の働きに着目し、腸内環境とうつ病などのメンタルヘルスとの関係についてもたくさんの研究がなされています。詳しい仕組みの解明は今後の研究によりますが、GABAが腸を介して身体の他の臓器に働きかけている可能性は十分に考えられることなのです。

関連記事:ストレスで食事を食べたくなくなってしまう原因と対処法とは?

GABAに副作用はある?安全性は問題ないの?

GABAの安全性を検証した研究はあまり多くありませんが、大量のGABAを口から摂取しても血液や脳内にほとんど到達しないと報告されています。つまり、人体の環境を大きく変えてしまうような影響を与えるものではなく、比較的安全な物質であると言えそうです。近年ではGABAを多く含む食品が実用化されており、健康食品市場でも人気ですが、どのように人体に作用するかはまだ明らかになっていないことも多いのです。

また、GABAの摂取による副作用としては、「胃のむかつき・頭痛・眠気・筋力低下」などがよく報告されています。これもまだまだ研究が少なく、正確に知られているものではありませんが、人によってはこうした副作用が生じる可能性もあることを念頭に置いて摂取する必要がありそうです。

そして、GABAはリラックス効果などから、眠気を誘う可能性があることは重要なポイントです。ですから、自分の身体にどのような影響があるのかわからない状態で、GABAを積極的に摂取して車や機械を操作するのは避けておきましょう。他のサプリメントや薬品と同時に摂取したときにどのような相互作用があるのかも、まだまだ不明な点が多いのです。服薬中の人は、必ず主治医の判断を仰いでからサプリメントなどを摂取しましょう。

おわりに:GABAはリラックスや血圧抑制に作用するとされている

GABAは脳内で神経細胞から神経細胞へ指令を飛ばす「神経伝達物質」の一つであり、興奮しすぎた神経の働きを抑える「抑制性」の神経伝達物質として働きます。リラックス効果のほか、血圧を下げたり記憶を改善したりといった作用が期待できます。

一方で、GABAが人体に作用する仕組みや副作用など、まだまだわかっていないことも多いです。血圧降下剤などを服薬中の人は、必ず主治医に相談して許可を得てからGABAを摂取しましょう。

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